飲酒歴によりホルモン感受性乳がんのリスクが有意に増加する [2003-11-25]
History of alcohol use significantly increases risk for hormone-sensitive breast cancer tumors
飲酒をする高齢女性は小葉がんやエストロゲンおよびプロゲステロン受容体陽性腫瘍を含めたホルモン感受性乳がんを発症しやすい、という報告がCancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention 10月号に掲載された。研究者らは65歳から79歳の女性2,000人(その半数が乳がん歴を有していた)に面接を行った。その結果、一日少なくとも30gのアルコールを摂取するものは飲酒をしないものと比較し乳がんリスクが80%高く、小葉がんのリスクは3倍、乳管がんのリスクは50%高かった。現在も飲酒をしているものはホルモン感受性乳がんのリスクが40%高かった。筆者らは、アルコールによるエストロゲンレベルの上昇によりホルモン反応性腫瘍の成長が促されている、との仮説を立てている。
 

Tadalafilはnerve-sparing恥骨後式前立腺全摘術後の勃起不全の治療薬として期待される [2003-11-25]

Tadalafil shows promise as therapy for erectile dysfunction following nerve-sparing radical retropubic prostatectomy
Tadalafilは前立腺がんに対する両側nerve-sparing恥骨後式前立腺全摘術後の勃起障害の治療薬として期待される、とSexual Medicine Society 学会で発表された。臨床治験phase IIIの対象となった、治験開始前12〜48ヵ月に手術を受けた男性303人のうち、62%がtadalafilにより改善を認めたのに対し、プラセボを与えられたものにおけるその割合は23%であった。勃起機能が一部保たれていたものに関しては、実薬群の71%において改善が認められたが、一方プラセボ群におけるその割合は24%であった。
肝細胞がん患者に肝臓移植を行うことにより劇的に生存率が改善する [2003-11-18]
Liver transplantation for patients with hepatocellular carcinoma dramatically improves survival
肝細胞がん患者に肝臓移植を施行することにより、移植を行わなければほとんどゼロである5年生存率が60%以上上昇するとJournal of Clinical Oncology 12月1日号に掲載され、10月27日以降オンラインで閲覧可能である。米国の研究者らは肝がんに対し肝移植を受けた患者985人と他の疾患に対して肝移植を受けた患者(コントロール群)33,339人のデータベース情報を用いた。肝がんおよびコントロール群の症例は1987〜1991年、 1992〜1996年、 そして1997〜2001年の期間別に分けられた。その結果、肝細胞がん患者における5年生存率は、1987〜1991年には25.3%であったものが 1992〜1996には47%、1997〜2001には61.1%と時間の経過とともに安定した進歩を示した。
 

正常なBRCA1遺伝子による腫瘍抑制活性のきっかけとなる蛋白リン酸化に対する見識により新たな治療目的が与えられる可能性がある [2003-11-18]

Insight into protein phosphorylation as trigger of tumor suppression activity by BRCA1 gene may provide new therapeutic targets
正常なBRCA1 遺伝子の腫瘍抑制活性に関する蛋白リン酸化の新たな知見により、変異BRCA1を有する細胞の新たな治療標的 が得られる、という報告がScience 10月23日号に掲載された。米国の研究者らは、BRCTドメイン蛋白と呼ばれる細胞調節蛋白がBRCA1蛋白に結合し腫瘍抑制活性が発現する前にBRCTドメイン蛋白のリン酸化が起こっていることを示した。この極めて重要なリン酸化の発見により科学者らは、特に一つ以上の有意ながん化変異を有する細胞の細胞周期の調節を改善する方法を発見できるであろう。
センチネルリンパ節生検についてはその研究結果に関わらず、外科医は初期の乳がん患者に対しルーチンに施行している [2003-11-11]
Surgeons routinely perform sentinel node biopsy on women with early-stage breast cancer despite its investigational status
外科医が初期の乳がん患者に対しルーチンにセンチネルリンパ節生検を施行している現状は、現在進行中の臨床研究の結果をどの程度日常臨床に適用できるかを大きく左右するかもしれない、という報告がJournal of the National Cancer Institute 10月15日号に掲載された。米国の研究者らは、1997〜2000年の間に5つのがんセンターにおいてセンチネルリンパ節生検のみ、センチネルリンパ節生検の後に腋かリンパ節隔清を施行、腋かリンパ節隔清のみ、そして腋か手術を施行されなかった、stage I またはIIの乳がん患者3,003人の医療記録を評価した。センチネルリンパ節生検は1997年には8%においてしか施行されなかったが2000年後半には58%において施行されていた。センチネルリンパ節生検のみの増加に伴い、センチネルリンパ節生検および腋かリンパ節隔清の頻度は減少した。
 

PTEN蛋白レベルにより、前立腺がんが緩徐に進行するか進行が速く転移しやすいかが決定される [2003-11-11]

Level of PTEN protein determines whether prostate cancers grow slowly or are aggressive and metastasize rapidly
PTEN腫瘍抑制遺伝子により暗号化された蛋白のレベルにより、腫瘍が良性か、がんであるが進行が緩徐であるか、または進行の速いものであるかが決定される、という報告がPublic Library of Science創刊号10月27日オンライン版に掲載された。患者の70%においては診断の時点でこのPTEN遺伝子複写の片方または両方が失われており、研究者らは片方の遺伝子の複写により転移が防がれていると以前は考えていた。マウスモデルにおける研究において、彼らは一つの特異な部分的活性化遺伝子(正常蛋白レベルの30%)においては前立腺がんが発生したが完全に活性化した複写遺伝子があることにより腫瘍は発生しないことを示した。筆者らはこの結果から、PTEN蛋白レベルを改善することにより前立腺がんを予防あるいは治療するような研究が進められることを期待している。
タモキシフェンによる治療を5年間継続した後にletrozoleを使用することにより乳がんの再発が有意に減少する [2003-11-04]
Use of letrozole after a 5-year course of tamoxifen significantly decreases risk for recurrent breast cancer
閉経後女性における初期段階の乳がん患者に、タモキシフェンによる治療を最初の5年間継続した後letrozoleを使用することにより乳がんの再発が有意に減少する、という報告がNew England Journal of Medicine 10月9日号先行オンライン版に掲載された。乳がん患者1,587人をletrozoleまたはプラセボ群に無作為に割り付けたところ、207人に再発が認められた(プラセボ群132人、letrozole群75人)。4年後、letrozoleにより再発のリスクは43%減少した。Letrozoleはまた、病巣と反対側への初発の乳がんの発症、転移、および乳がんによる死亡率も低下させた。この国際的トライアルは初期の段階で有意な結果が認められたため、中断となった。
 

慢性骨髄性白血病に対する初期治療としてはインターフェロンαとシタラビンの併用よりもイマチニブの方が優れているとの結果が分子反応により示された [2003-11-04]

Molecular response indicates imatinib is superior to interferon alfa plus cytarabine as initial therapy for chronic myeloid leukemia
フィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病に対する初期治療としては、インターフェロンαとシタラビンの併用よりもイマチニブの方が優れているとの結果が分子反応により示された、という報告がNew England Journal of Medicine 10月9日号に掲載された。ある国際研究で、1,106人の患者が前述の治療法のどちらかに無作為に割り付けられた。12ヵ月後に血中BCR-ABL転写因子レベルの低下が1,000倍以上認められ細胞遺伝学的完全寛解に到った患者(イマチニブ群68%、2剤併用群7%)は、その後12ヵ月間は進行が認められる可能性が100%なかった。BCR-ABL転写因子レベルの低下がイマチニブ群において57%に認められたのに対し、2剤併用群におけるその割合は24%であった。筆者らは、この血液検査が長期予後の予測因子としての臨床的意義を有する可能性がある、と述べている。
 


 

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