Tadalafilは前立腺がんに対する両側nerve-sparing恥骨後式前立腺全摘術後の勃起障害の治療薬として期待される、とSexual
Medicine Society 学会で発表された。臨床治験phase IIIの対象となった、治験開始前12〜48ヵ月に手術を受けた男性303人のうち、62%がtadalafilにより改善を認めたのに対し、プラセボを与えられたものにおけるその割合は23%であった。勃起機能が一部保たれていたものに関しては、実薬群の71%において改善が認められたが、一方プラセボ群におけるその割合は24%であった。
外科医が初期の乳がん患者に対しルーチンにセンチネルリンパ節生検を施行している現状は、現在進行中の臨床研究の結果をどの程度日常臨床に適用できるかを大きく左右するかもしれない、という報告がJournal
of the National Cancer Institute 10月15日号に掲載された。米国の研究者らは、1997〜2000年の間に5つのがんセンターにおいてセンチネルリンパ節生検のみ、センチネルリンパ節生検の後に腋かリンパ節隔清を施行、腋かリンパ節隔清のみ、そして腋か手術を施行されなかった、stage
I またはIIの乳がん患者3,003人の医療記録を評価した。センチネルリンパ節生検は1997年には8%においてしか施行されなかったが2000年後半には58%において施行されていた。センチネルリンパ節生検のみの増加に伴い、センチネルリンパ節生検および腋かリンパ節隔清の頻度は減少した。
PTEN腫瘍抑制遺伝子により暗号化された蛋白のレベルにより、腫瘍が良性か、がんであるが進行が緩徐であるか、または進行の速いものであるかが決定される、という報告がPublic
Library of Science創刊号10月27日オンライン版に掲載された。患者の70%においては診断の時点でこのPTEN遺伝子複写の片方または両方が失われており、研究者らは片方の遺伝子の複写により転移が防がれていると以前は考えていた。マウスモデルにおける研究において、彼らは一つの特異な部分的活性化遺伝子(正常蛋白レベルの30%)においては前立腺がんが発生したが完全に活性化した複写遺伝子があることにより腫瘍は発生しないことを示した。筆者らはこの結果から、PTEN蛋白レベルを改善することにより前立腺がんを予防あるいは治療するような研究が進められることを期待している。
閉経後女性における初期段階の乳がん患者に、タモキシフェンによる治療を最初の5年間継続した後letrozoleを使用することにより乳がんの再発が有意に減少する、という報告がNew
England Journal of Medicine 10月9日号先行オンライン版に掲載された。乳がん患者1,587人をletrozoleまたはプラセボ群に無作為に割り付けたところ、207人に再発が認められた(プラセボ群132人、letrozole群75人)。4年後、letrozoleにより再発のリスクは43%減少した。Letrozoleはまた、病巣と反対側への初発の乳がんの発症、転移、および乳がんによる死亡率も低下させた。この国際的トライアルは初期の段階で有意な結果が認められたため、中断となった。
フィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病に対する初期治療としては、インターフェロンαとシタラビンの併用よりもイマチニブの方が優れているとの結果が分子反応により示された、という報告がNew
England Journal of Medicine 10月9日号に掲載された。ある国際研究で、1,106人の患者が前述の治療法のどちらかに無作為に割り付けられた。12ヵ月後に血中BCR-ABL転写因子レベルの低下が1,000倍以上認められ細胞遺伝学的完全寛解に到った患者(イマチニブ群68%、2剤併用群7%)は、その後12ヵ月間は進行が認められる可能性が100%なかった。BCR-ABL転写因子レベルの低下がイマチニブ群において57%に認められたのに対し、2剤併用群におけるその割合は24%であった。筆者らは、この血液検査が長期予後の予測因子としての臨床的意義を有する可能性がある、と述べている。