術後のトロポニンまたはクレアチンキナーゼMBの上昇は、たとえ軽度でも生存率低下の予測因子となる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 11月5日号に掲載された。研究者らは大血管手術を受けた患者447人に心電図、心筋トロポニンIおよびT、そしてクレアチンキナーゼMBの計測を行い評価した。追跡期間中(平均32.3ヵ月)、たとえわずかでもマーカーのレベルが上昇することにより死亡率は上昇した。筆者らは、マーカーの上昇を認めた患者のほとんどが臨床上、急性心筋梗塞の徴候を示さなかったと記している。筆者および編集局は、ハイリスクと思われた患者に関しては、積極的なリスクの層別化およびリスクの軽減とともにこれらのマーカーのモニターをルーチンに行うことを勧めている。
ニトロから一酸化窒素(NO)が生成されることにより血流が改善するという発見により、高血圧、心筋梗塞、および末梢血管疾患などのさまざまな心血管疾患の新たな治療が生み出される可能性がある、とNasture
Medicineオンライン版で11月2日に発表され、同誌の12月号に掲載される。米国の研究者らは健常なボランティア18人の前腕橈骨動脈に硝酸薬を注入し、ニトロが減少しデオキシヘモグロビンによりNOが生成されることにより血流が175%増加することを確認した。現在、この研究が指揮されたNational
Institutes of Health (NIH)で臨床治験を施行中である。
小児期のLDLコレステロールレベルとbody
mass indexを組み合わせることにより成人早期の動脈硬化のリスクを予測することができる、という報告がJournal
of the American Medical Association 11月5日号に掲載された。米国の研究者らは、小児期および成人になってから古典的なリスクファクターの計測を3回以上施行された25〜37歳の成人486人について、頚動脈中内膜の厚さを評価した。編集局は、コレステロールレベルおよびbody
mass indexの計測は簡単で経費もかからないと述べている。彼らは、方針決定者らがスクリーニングを早期に開始することを推奨し、親たちは、検査の結果心疾患のリスクが高いと判断された小児のライフスタイルを変化させる必要があると述べている。
70歳以上の介護不要な高齢者においては軽度の高血圧によって認知能力が保護される、という報告がAmerican
Journal of Hypertension 10月号に掲載された。イスラエルの研究者らは385人(女性71.5%)の高齢者を正常血圧、治療により正常化された血圧、治療されているがコントロールされていない高血圧、治療されていない高血圧の4つのグループに分け評価した。詳細な認知能力試験の解析の結果、記憶力、集中力、視覚記銘検査、および認知機能評価の結果は全て高血圧の程度と関連があり、最もスコアが高かったのは、治療されているがコントロールされていない高血圧の群であった(平均血圧159/85)。編集局は、この結果から医師や患者らが、とくに軽度の高血圧の治療選択をどのようにするかに関する情報をより多く与えるものである、と述べている。
青年期の怒りや切迫感は長期の高血圧のリスクとなる、という報告がJournal
of the American Medical Association 10月22日号に掲載された。米国の研究者らは試験開始時18歳〜30歳の成人を対象とした長期研究の対象者3,308人のデータを使用し、怒り、切迫感または我慢のなさ、成功しようと競うことまたは競争心、うつ、および不安と長期の高血圧のリスクの関係を調査した。他の可変因子で補正した結果、怒りと切迫感のみが有意なリスクファクターとして残った。編集局は、適切な処置が見極められそれを標準的に実践するにはさらに多くの研究が必要である、と述べている。
冠動脈疾患患者における現在の喫煙は心臓突然死のリスクを有意に増加させる、という報告が
Archives of Internal Medicine 10月27日号に掲載された。研究者らはBezafibrate
Infarction Prevention Trialの対象患者3,122人(45〜74歳)を前向きに平均8年間追跡調査した。ベースラインの時点で対象者全員が陳旧性心筋梗塞または安定狭心症を有していた。追跡期間中に現役の喫煙者370人中30人(8.1%)において心臓突然死が発生した。この割合は過去の喫煙者または非喫煙者(両者とも4.6%)のほぼ2.5倍であった。心臓突然死のリスクは、禁煙後速やかに軽減が認められた。