T型糖尿病に対する厳密な血糖コントロールは動脈硬化のリスクを少なくとも5年間軽減する [2003-06-24]

Tight glucose control in type 1 diabetes reduces the risk for atherosclerosis for at least for 5 years

T型糖尿病に対する厳密な血糖コントロールは動脈硬化のリスクを少なくとも5年間軽減する とNew England Journal of Medicine 6月5日号に掲載された。6.5年間のDiabetes Control and Complications試験の結果、集中的に治療された患者は従来どおりに治療された患者よりもヘモグロビンA1cレベルが有意に低かった(正常値6%以下のところ7%対9%)。また、頚動脈壁厚はベースラインの時点では糖尿病患者と健常人とでは有意差がなかったが、5年後には糖尿病患者のそれは有意に厚かった。しかし、集中的に治療された患者においては従来通りの治療を受けた患者よりも薄かった。他の因子で補正した結果、この頚動脈壁厚(動脈硬化と推測される)の違いは平均の血糖レベルの違いによるもの、と筆者らは結論付けた。
フルバスタチンは腎移植を受けた患者を早期発症心血管疾患から保護するようである [2003-06-24]
Fluvastatin appears to protect people with kidney transplants from early-onset cardiovascular disease
フルバスタチンは腎移植を受けた患者を早期発症心血管疾患から保護するようである、とLancetウエブサイト版6月3日号に掲載された。腎移植を受けた患者約2,100人をフルバスタチンまたはプラセボ群に無作為に割り付けたところ、5-6年後のコレステロール値はフルバスタチン群においてプラセボ群の3分の1に低下していた。一次エンドポイントに達する割合全体で両群間に差はなかったものの、心臓死、非致死性心筋梗塞発症率はフラバスタチン群においてプラセボ群よりも少なかった(70人対104人)。筆者らは、フルバスタチンは抗免疫療法との相互作用が非常に少なく、これらのハイリスクの患者集団に対し有意な長期の臨床的な利益を与える可能性がある、と記している。

ペースメーカーや埋め込み型除細動器は空港の金属探知機の影響を感知しない [2003-06-17]

Tests of pacemakers and implantable cardioverter-defibrillators do not indentify any interference from airport metal detectors
ペースメーカーや除細動器を埋め込んでいる患者は空港の金属探知ゲートを通っても問題がないようである、という報告がJournal of the American College of Cardiology 6月4日号に掲載された。ドイツの研究者らはペースメーカー患者200人と埋め込み型除細動器患者148人を評価した。警備装置をくぐる間、ペースメーカー患者には心電図検査を施行した。また、除細動器患者においては電気ショック能力の電源を切り心拍センサーは作動させ、検査終了後除細動器の内臓モニターのデータをダウンロードした。データを解析したところ、どちらのデバイスにも問題がないことが示された。この結果から循環器医らは、これらの患者が空港の安全装置をくぐっても安全であると確信できるようである。
心房細動の再発のリスクは睡眠時無呼吸をも有し未治療であるものにおいて有意に高い [2003-06-17]
Risk for recurrence of atrial fibrillation is significantly higher among patients who also have untreated sleep apnea
未治療の閉塞性睡眠時無呼吸を有する患者はそれを有さない患者と比較し心房細動の再発のリスクが有意に高い、という報告がCirculation 5月27日号に掲載された。研究者らは心房細動と閉塞性睡眠時無呼吸を合併した患者39人とコントロールとして睡眠時無呼吸を合併していない患者79人を追跡調査した。患者は全て同じ不整脈クリニックで治療を受けた。39人の合併患者のうち27人は睡眠障害に対し無治療か、または適切でない治療を受けていた。これらの未治療、または不完全治療を受けた患者の82%において心房細動の再発が認められた。一方、睡眠時無呼吸に対し適切な治療を受けているものにおける再発率は42%であり、睡眠時無呼吸を有さないものにおいては53%であった。筆者らは、これらの患者において心房細動の再発のリスクが高い直接的な原因は睡眠時無呼吸であり、適切な診断と治療が特に重要であるとの仮説を立てている。

高血圧の予防と治療に対する米国の新たなガイドラインは賞賛と批判の両方をもたらしている [2003-06-10]

New U.S. guidelines on prevention and treatment of hypertension trigger both praise and criticism
新たな高血圧のガイドラインの筆者らはこのガイドラインによって心血管死亡率を低下させると主張しているが、他の専門家らは彼らが誤っていると考えている。高血圧の予防、発見、診断、および治療に関する米国合同委員会の第7次報告がJournal of the American Medical Association 5月21日号に掲載されたが、これに対する循環器、内分泌、および腎臓病医からの批判の記事がAmerican Journal of Hypertension 5月号に掲載されている。このレポート(ガイドライン)の焦点は血圧レベルと心血管疾患、ハイリスク患者の予防的治療、および治療計画を成功させるために患者の動機を考慮することである。批判記事はAntihypertensive and Lipid Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT study)がこのガイドラインに影響を与えていることに大きく注目し、他の臨床知見から、このガイドラインではサイアザイドの有効性を強調しているが、それは余りにも単純化しすぎている、あるいは間違っていると主張している。
乳児用人工乳に含まれる多価不飽和脂肪酸は成人期の心疾患のリスクを軽減させる可能性がある [2003-06-10]
Presence of long chain polyunsaturated fatty acids in infant formula may decrease the risk of heart disease in adulthood
多価不飽和脂肪酸を含む乳児用人工乳で育った子供は通常の乳児用人工乳で育った子供よりも血圧が低い、という報告がBritish Medical Journal 5月3日号に掲載された。過去の研究で、新生児126人は通常の人工乳、111人は多価不飽和脂肪酸を含む人工乳に無作為に割り付けられた。今回の研究は彼らが6歳の時点で行われたが、平均血圧および拡張期血圧が不飽和脂肪酸乳群で有意に低かった。母乳で育った子供88人の平均拡張期血圧は通常の人工乳で育った子どもよりも有意に低かったが、不飽和脂肪酸乳で育った子供とは同等であった。筆者らは、早期の不飽和脂肪酸の摂取は将来の血圧のみならず心血管系疾患全体のリスクに影響する可能性がある、と述べている。

運動のコレステロールに対する有益な作用は運動を中止した後も継続する [2003-06-03]

Beneficial effect of exercise on cholesterol level persists after cessation of program
運動誘発性の血中脂質低下作用は運動中止後も継続する、という報告がAmerican College of Sports Medicine 学会で発表された。研究者らは運動不足の過剰体重の男女182人を、強度群(1週間にジョギング20マイルのカロリー消費分に相当)、中等度群 (1週間にジョギング12マイルのカロリー消費量に相当)、低強度群(1週間に早足12マイルのカロリー消費量に相当)の3群に割り付け、8週間の運動療法を行った。運動療法終了後ベースライン、1、5、14日後に採血を施行した。運動のみの効果を見極めるために対象者はこのスタディの期間中食餌療法は維持した。全グループにおいて運動終了1日後にも効果は持続していたが、14日後まで効果が維持されていたのは強度群のみであった。さらに今後、効果の持続期間や性差の可能性を含んだ研究が行われるであろう。
植え込み型ペースメーカー除細動器は心不全患者のQOLおよび運動能力を改善する [2003-06-03]
Implantable pacemaker-defibrillators improve quality of life and exercise capacity in patients with heart failure
中等度から重度の心不全患者はペースメーカー植え込みにより再同期療法や除細動療法を受けることにより有益な効果が認められる、という報告がJournal of the American Medical Association 5月28日号に掲載された。心室性不整脈を有しNYHA分類のIII-IV度の心不全患者369人に対し両方の性能を持つデバイスが埋め込まれた。そのうち182人はコントロール群(除細動器は機能させ、再同期機能はオフ)とし、187人においては両方とも機能させた。6ヵ月後、両者を機能させていた患者においてはコントロール群と比較し、QOLスコアおよびNYHA分類の多大な改善を認めたが、左室の大きさや機能、心臓全体の状態、生存率、および入院の割合に変化は認められなかった。不整脈を停止させる作用は維持された。
 

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