リスクファクターを有する有さないに関わらず、心血管疾患を有さない男性における血管内皮前駆細胞の血中レベルは、フラミングハムリスクファクタースコアおよび臨床的に計測した血管内皮機能と強力な相関を示す、という報告がNew
England Journal of Medicine 2月13日号に掲載された。研究者らは年齢50 + 2歳の男性45人を評価し、血中の同細胞レベルが低いものはフラミングハムリスクファクタースコアが高いことを発見した。さらに、彼らは血管内皮機能を計測する橈骨動脈の血流誘発性拡張反応が血管内皮前駆細胞の血中レベルによって、従来のリスクファクターのあるなしよりも正確に予測されることも示した。この結果は、血中の血管内皮前駆細胞は血管内皮機能および心血管疾患の補助的な生物学的マーカーになりうることを示唆している。
40歳前に冠動脈疾患と診断された者を対象とした最大規模の研究によると、そのうちの3分の1は15年以内に死亡していることが
Journal of the American College of Cardiology 2月19日号に掲載された。糖尿病を合併するものにおいてはさらに予後が不良であり、15年以内の死亡率は3人中2人であった。
少なくとも1枝病変を有する患者843人を解析した結果、最も死亡率が高いのは、糖尿病を有し喫煙し心筋梗塞または心不全の既往がある者であった。この結果から、特に若年性の冠動脈疾患の家族歴を有する者あるいはリスクファクターを複数有する者においては、若年のうちからリスクファクターをコントロールする必要があることが強調される。
重症の慢性心不全患者に対するカルベジロール投与は初期の重大な副作用のリスクを上昇させることなく生存率を改善する、という報告がJournal
of the American Medical Association 2月12日号に掲載された。Carvedilol
Prospective Randomized Cumulative Survival (COPERNICUS)研究において、患者2,289人はカルベジロールまたはプラセボを従来の薬物療法に追加する群に無作為に割り付けられた。平均追跡期間10.4ヵ月の後、カルベジロールはプラセボと比較し死亡のリスクを35%減少させた。筆者らは、この研究の対象は重症の心不全患者であったことから、如何に重症の心不全患者であってもベータブロッカー療法により利益が得られると述べている。
エストロゲンレベルの低下が閉経前の女性における冠動脈疾患の重要な原因となっている可能性がある、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 2月号に掲載された。米国の研究チームが21〜54歳までの女性95人を評価したところ、そのうち冠動脈疾患を有していた患者の69%(13人中9人)において視床下部機能不全による二次性のエストロゲンレベルの低下が認められた。一方、冠動脈疾患を有さない群においては視床下部機能不全によるエストロゲンレベルの低下は29%(82人中24人)に認められるに過ぎなかった。筆者らは、さらに大規模の前向き研究を行うことにより、視床下部機能とホルモンレベル、および冠動脈疾患の発症の関係を確認すると共にこの関係の基礎となっている手がかりをつかむことができるであろう、と期待している。
酸化LDLコレステロールによって心筋梗塞の正確な予測が可能になる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 2月5日号に掲載された。研究者らは、心筋梗塞後患者8人、不安定狭心症患者15人、安定狭心症患者17人、冠動脈造影において有意狭窄を有さない患者8人、および健常人18人に7ヵ月間にわたって検査を行った。その結果、急性冠症候群(心筋梗塞および不安定狭心症)患者においてのみ、初期の段階で血中の酸化LDLコレステロールのマーカーレベルが上昇し、その後横ばいとなりそして低下するという現象が観察された。筆者らは、マーカーの上昇は不安定プラークが破裂しプラーク内の物質が血中に流出していることを表しているものと考えている。
American
Heart Associationおよび Centers for Disease Control and Preventionの専門委員会は高感度C反応性蛋白検査の使用を限定するよう呼びかけている、という報告がCirculation
1月28日号に掲載された。最近の入手できる研究結果に基づき、委員会では以下の3つの結論に達した。一般のスクリーニングとしての広範な検査は不必要である。ただし蛋白レベルはリスクの独立因子となりうるため、中等度リスクの患者には有用である可能性がある。また、治療効果を評価するのに同蛋白レベルを使用するにはエビデンスが不十分である。さらに、検査結果はmg/Lで表示されるべきであり、1.0
mg/L未満は低リスク、1.0-3.0 mg/Lは中等度リスク、3.0mg/Lより高い場合には高リスクとみなされる。高リスク群に含まれた者は低リスクの者と比較し心血管系疾患の相対リスクが2倍である。