C反応性蛋白は血栓溶解を阻害することにより心筋梗塞や脳卒中の発症の契機に大きな役割を果たしている [2003-01-28]
C-reactive protein has a major role in initiating myocardial infarctions and strokes through inhibition of clot lysis
C反応性蛋白(CRP)は血栓溶解を直接阻害することにより心筋梗塞や脳卒中の発症の契機に大きな役割を果たしている、という報告がCirculation 1月25日号に掲載された。大動脈血管内皮細胞を研究している研究者らは、CRPにより血管内皮細胞のプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(血栓溶解を阻害する酵素であり、特に糖尿病患者における心疾患の強力なリスクファクター)産生を促すことを発見した。この酵素の産生が促されることにより、プラークや血栓の前兆が発生した。筆者らは、今回の発見はCRPが複数の面から心血管疾患および血栓塞栓症発症の直接原因となっている可能性があることを強調している。
冠動脈疾患患者において生活様式の変化とスタチン系薬剤の使用を集中的に行うことにより多大な効果が得られる [2003-01-28]
Large benefits seen for patients with coronary artery disease who combine intense lifestyle changes with statin use
食餌療法、運動、およびスタチン系薬剤の内服を集中的に行っている冠動脈疾患患者は、非常に有意な効果が得られる可能性があるという報告がJournal of the American College of Cardiology 1月15日号に掲載された。米国および日本の研究者らはポジトロン断層スキャン検査の結果、安定した冠動脈疾患患者409人を追跡調査した。患者は通常の治療プログラムか集中的な療法かどちらかを選択した。試験開始から約7年後の臨床上の結果を調査したところ、通常の治療を受けた患者では心血管系のイベントが20.3%において発症したが、集中的な療法を続けた患者におけるその割合は6.6%であった。この研究は無作為化試験ではないため、その結果の今後の臨床における適用に関しては議論されるであろう。
拡張不全は年齢よりも性別(女性)との相関が最も強い [2003-01-21]
Diastolic heart failure is primarily correlated with female gender rather than with age
医療記録の大規模解析によると、拡張不全は年齢よりも女性であることと相関が強い、という報告がJournal of the American College of Cardiology1月15日号に掲載された。米国の研究チームが19,710件の医療記録を解析した結果、拡張不全のほぼ80%の症例が女性であることがわかった。精巧な統計的解析によると、その関連は全ての年齢層において認められ、また合併症に関わらず一貫していた。筆者らは、性別と心不全の型に関連があるという認識は研究および臨床の場のいずれにおいても意味がある、と述べている。
定期的な頻回の中等量のアルコール摂取は男性において心筋梗塞のリスクを軽減する可能性がある [2003-01-21]
Routine frequent consumption of moderate amounts of alcohol may reduce risk for myocardial infarction in men
定期的な頻回の中等量のアルコール摂取は、アルコールの種類に関わらず、男性において心筋梗塞のリスクを軽減する可能性がある、という報告がNew England Journal of Medicine1月9日号に掲載された。40〜75歳の男性40,000人近くを12年間追跡した米国の観察研究結果によると、中等量のアルコールを週3回以上飲む男性は非飲酒者と比較し心筋梗塞発症のリスクが30〜35%低かった。筆者らは、患者個人に対しカウンセリングをする際には飲酒に伴うアルコール乱用や肝疾患などの因子も含めて話すべきである、と警告している。
タウリンまたはビタミンCの補給により臨床的に健常な喫煙者の初期動脈硬化の兆候が消失する [2003-01-14]
Use of taurine or vitamin C is associated with reversal of signs of early atherosclerosis in clinically healthy smokers
アミノ酸の一種であるタウリンまたはビタミンCを補給することにより臨床的に健常な喫煙者の血管内皮機能異常の兆候が消失した、とCirculation オンライン速報1月7日版に掲載された。健常な喫煙者15人および非喫煙者15人の計30人に対し、血流増加誘発性血管拡張反応検査を行い血管の反応性を検査した。ベースラインの検査後の血管径は非喫煙者で3.7mm、喫煙者で3.36mmであった。喫煙者には1日2gのビタミンCを5日間、または1日1.5gのタウリンを内服し、2週間の休薬期間を設けた後、薬物を交換し同様に内服した。その結果、タウリンの内服によってこの血管径の違いは完全に消失した。つまり、両群ともに検査後の血管径は3.7mmであった。ビタミンCもタウリンと同様の効果を示したが、その効果はタウリンと比較すると少なかった。
家族性高コレステロール血症に対するスタチン系薬物療法は10歳児から適応となりうる [2003-01-14]
Statin therapy may be indicated for children as young as 10 years who have familial hypercholesterolemia
家族性高コレステロール血症に対するスタチン系薬物療法は10歳児から効果が得られる可能性がある、という報告がJournal of the American College of Cardiology 12月18日号に掲載された。研究者らは家族性高コレステロール血症の小児50人およびその兄弟姉妹で健常な者19人を評価した。高コレステロール血症の小児のうち30人がシンバスタチンを28日間投与され、他の20人はプラセボを投与された。スタチン内服により血中のコレステロールレベルは、その兄弟のレベルと同等な値近くにまで低下した。より重要と思われることには、高コレステロール血症の小児全員が血流増加誘発性血管拡張反応検査において血管内皮機能の異常を示していたが、シンバスタチンを投与された小児においては研究終了時までにこの検査結果が彼らの兄弟と同様のレベルにまで改善していた。
AHAは2002年の研究分野における進歩上位10項目を掲載した [2003-01-07]
The American Heart Association publishes its Top 10 Research Advances for 2002
1996年以来、AHA(American Heart Association)は年間の研究分野における進歩の上位10項目一覧を作成しており、Robert O. Bonow博士は、2002年のリストには遺伝子操作、細胞移植やrobotic surgeryの躍進に加え心筋梗塞および心不全の新たな治療法を挙げた。他には高血圧や心房細動の内科的治療法の詳細な研究、頚動脈血管形成術の外科技術なども含まれていた。また、肥満が心疾患の独立危険因子として重要であることも明らかにされた。
急性冠症候群に対する早期侵襲的治療戦略においては予後に性差はみられない [2003-01-07]
No gender difference in outcome of acute coronary syndrome is found with an early invasive treatment strategy
急性冠症候群患者に対し、発症4〜48時間以内の心臓カテーテルを含む早期侵襲的治療戦略に基づき治療を行った場合の、死亡、心筋梗塞発症、および6ヵ月以内の再入院の低下率は男女間で差がない、という報告がJournal of the American Medical Association12月25日号に掲載された。2,200人(女性757人、男性1463人)の患者を組み込んだこの国際的大規模研究において、患者らは早期侵襲的治療を施された。1,114人が適応であれば血管造影および血管形成術を施行され、1,106人は保存的治療を受けた。早期侵襲的治療戦略の効果は、ベースラインの時点で心筋の損傷が明らかであったものにおいてより大きかったが、性別による差はなかった。
 

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