食餌療法、運動、およびスタチン系薬剤の内服を集中的に行っている冠動脈疾患患者は、非常に有意な効果が得られる可能性があるという報告がJournal
of the American College of Cardiology 1月15日号に掲載された。米国および日本の研究者らはポジトロン断層スキャン検査の結果、安定した冠動脈疾患患者409人を追跡調査した。患者は通常の治療プログラムか集中的な療法かどちらかを選択した。試験開始から約7年後の臨床上の結果を調査したところ、通常の治療を受けた患者では心血管系のイベントが20.3%において発症したが、集中的な療法を続けた患者におけるその割合は6.6%であった。この研究は無作為化試験ではないため、その結果の今後の臨床における適用に関しては議論されるであろう。
医療記録の大規模解析によると、拡張不全は年齢よりも女性であることと相関が強い、という報告がJournal
of the American College of Cardiology1月15日号に掲載された。米国の研究チームが19,710件の医療記録を解析した結果、拡張不全のほぼ80%の症例が女性であることがわかった。精巧な統計的解析によると、その関連は全ての年齢層において認められ、また合併症に関わらず一貫していた。筆者らは、性別と心不全の型に関連があるという認識は研究および臨床の場のいずれにおいても意味がある、と述べている。
定期的な頻回の中等量のアルコール摂取は、アルコールの種類に関わらず、男性において心筋梗塞のリスクを軽減する可能性がある、という報告がNew
England Journal of Medicine1月9日号に掲載された。40〜75歳の男性40,000人近くを12年間追跡した米国の観察研究結果によると、中等量のアルコールを週3回以上飲む男性は非飲酒者と比較し心筋梗塞発症のリスクが30〜35%低かった。筆者らは、患者個人に対しカウンセリングをする際には飲酒に伴うアルコール乱用や肝疾患などの因子も含めて話すべきである、と警告している。
家族性高コレステロール血症に対するスタチン系薬物療法は10歳児から効果が得られる可能性がある、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 12月18日号に掲載された。研究者らは家族性高コレステロール血症の小児50人およびその兄弟姉妹で健常な者19人を評価した。高コレステロール血症の小児のうち30人がシンバスタチンを28日間投与され、他の20人はプラセボを投与された。スタチン内服により血中のコレステロールレベルは、その兄弟のレベルと同等な値近くにまで低下した。より重要と思われることには、高コレステロール血症の小児全員が血流増加誘発性血管拡張反応検査において血管内皮機能の異常を示していたが、シンバスタチンを投与された小児においては研究終了時までにこの検査結果が彼らの兄弟と同様のレベルにまで改善していた。
急性冠症候群患者に対し、発症4〜48時間以内の心臓カテーテルを含む早期侵襲的治療戦略に基づき治療を行った場合の、死亡、心筋梗塞発症、および6ヵ月以内の再入院の低下率は男女間で差がない、という報告がJournal
of the American Medical Association12月25日号に掲載された。2,200人(女性757人、男性1463人)の患者を組み込んだこの国際的大規模研究において、患者らは早期侵襲的治療を施された。1,114人が適応であれば血管造影および血管形成術を施行され、1,106人は保存的治療を受けた。早期侵襲的治療戦略の効果は、ベースラインの時点で心筋の損傷が明らかであったものにおいてより大きかったが、性別による差はなかった。