青年期または成人期初期、特に早期のアルコールおよび他の薬物の使用は大うつ病やアルコール依存症などの精神疾患の予測因子となりうる、という報告がArchives
of General Psychiatry 11月号に掲載された。米国の地域住民736人に14、16、22および27歳時に行われた広範囲にわたるアンケートの結果、早期のアルコールまたは薬物の使用は大うつ病などの精神的障害と関連があった。この結果は年齢、性別、両親の教育レベル、家庭の収入、および過去の大うつ病または薬物使用歴の有無に関わりはなかった。
術前評価の結果によると、根治的消化管バイパス術を希望する患者には精神疾患またはその既往を有することが有意に多い、という報告がObesity
Surgery 10月号に掲載された。この研究の対象となった115人の手術希望者のうち70%が現在または過去に精神疾患を有しており、一生涯におけるうつ病の有病率は一般の集団で17%のところこの集団では56%であった。問診の際に患者の17%は不安性障害を有していた。筆者らは消化管バイパス術希望者には日常的に精神的な評価を行い必要に応じては治療を行うべきである、と述べている。
大規模な医療記録を検討した結果によると、向精神薬によるU型糖尿病発症のリスクは向精神薬の種類により大きく異なり、最もリスクが高いのはオランザピン、クロザピン、および効能の低い従来の薬剤である、という報告がJournal
of Clinical Psychiatry 10月号に掲載された。効能の高い従来の薬剤はリスクが低く、リスペリドンのリスクは統計的に向精神薬を投与されていない患者のそれと同様であった。筆者らは、オランザピンによる糖尿病発症のリスクは投与量に応じて高くなると述べている。過去の研究結果を確認したこの結果を踏まえ、医師らは向精神薬を処方する際にはこの因子も考慮すべきであろう。
慢性うつ病の患者が抗うつ薬内服を中断することによりうつ再発のリスクが有意に高くなる、という報告がArchives
of General Psychiatry 8月号に掲載された。慢性うつ病患者635人にセルトラリンを12週間投与し、その結果有効であった患者209人にさらに4ヵ月間同薬を投与したところ、その95%(199人)において有効であり治療継続が可能であった。これらの患者をさらにセルトラリン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、18ヵ月間追跡調査した。この最後の18ヵ月間にセルトラリンを投与された患者群においては機能、態度、QOLなどの心理学的動態検査において58〜84%の改善が認められた。これらの患者でうつの再発が認められたのはわずか6%であったが、一方プラセボ群においては23%の患者に再発がみられ心理社会的能力の喪失が認められた。
セロトニンおよびノルエピネフリンの再吸収阻害薬であるデュロキセチンは迅速かつ持続性のうつの改善をもたらす、とU.S.
Psychiatric and Mental Health Congressで報告された。研究者らは二種類の9週間に渡る二重盲検試験を試行した。患者らはプラセボ群(261人)またはデュロキセチン1日60mg投与群(251人)に無作為に割り付けられた。さらに1,279人の患者を対象とした80mgまたは120mg投与群に割り付けた52週間のオープンラベル法による試験の結果も加えられた。二重盲検試験の結果によると、デュロキセチンにより、試験開始後1週間目から気分や不安感の有意な改善が認められ、それは試験終了まで持続した。オープンラベル法の試験結果から長期投与にも問題がないことが示された。
自傷的行為はストレスに対するホルモン系の反応により発症する可能性がある、とSociety
of Neuroscience年次学会で発表された。発表者らの実験によると同胞よりもよりストレスを多く受けたラットは自傷行為を発症しやすかった。彼らは50%のラットが自傷行為を発症する程度の刺激薬剤の力価を計算しそれをラットに与えた。試験の結果、自傷行為を発症したラットにおいては、影響の見られなかったラットと比較し、ストレス関連性物質の血中レベルが明らかに高かった。自傷行為を発症したラットおよび影響を受けなかったラットの遺伝子発現や脳内神経伝達物質レベルの分子学的解析が計画されている。筆者らは、この結果により自閉症の小児などの高リスク集団におけるそのような行為を理解するのに役立つであろう、と述べている。