自殺企図の既往のある者の生物学上の子供は自殺を企てる可能性が高い、と言う報告がArchives of General
Psychiatry 9月号に掲載された。研究者らは自殺企図の既往のある親81人の子供183人と自殺企図のない親55人の子供116人を比較した。その結果、自殺企図のある親の子供の12%に自殺企図が認められたが、自殺企図のない親の子供のそれはたったの2%であり、6倍の差が認められた。
ニューヨークメトロポリタン地域の人々の、昨年9月11日の同時多発テロ事件によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、他の可能な影響因子を取り除いても別の地域の米国民と比較して2.9倍多いとJournal
of the American Medical Association 8月7日号に掲載された。2,273人の成人を対象に行われたこの疫学調査の結果は、PTSDのリスクが増加しているのは外傷事件そのものに直接影響を受けている者に限定されている可能性があることを示唆している。この一般国民に広がったPTSDや全体の精神的苦痛の経験が、将来テロリストの攻撃を受けた時に精神的ケアを行うメンタルヘルス専門家にとって役に立つ可能性がある。
亜急性心筋梗塞あるいは不安定狭心症患者のうつ治療に、セルトラリンは安全かつ有効に使用できる、とJournal
of the American Medical Association 8月14日号に掲載された。入院中の患者369人(亜急性心筋梗塞74%、不安定狭心症26%)に対する無作為二重盲検試験の結果、セルトラリンを投与することにより重症または再発性うつ病が有意に改善した。心血管系の副作用は実薬群においてプラセボ群よりも軽度に少なかったが、その差は有意ではなかった。同誌の論評の筆者は、急性冠症候群患者における重症のうつの認識、および治療を立証したこの研究は可能かつ重要であると述べている。
統合失調症(精神分裂病患者)の脳においては重要なシグナルを伝達する蛋白レベルが減少している、という報告がArchives
of General Psychiatry 8月号に掲載された。DARPP-32と呼ばれるその蛋白は、統合失調症を有していた患者14人の死後の前頭前皮質背外側部においては、統合失調症を有しない患者よりもはるかに少量しか認められなかった。その調整蛋白は、ドパミン、グルタミン、セロトニン活性を仲介する物質として既に発見されていたが、その統合失調症の症候に対する役割の明白化およびその蛋白の調整障害の治療をゴールとした研究がさらになされることであろう。