自殺企図の既往のある者の生物学上の子供は自殺を企てる可能性が高い [2002-09-24]

Biological children of depressed people who have attempted suicide are at higher risk themselves for a suicide attempt
自殺企図の既往のある者の生物学上の子供は自殺を企てる可能性が高い、と言う報告がArchives of General Psychiatry 9月号に掲載された。研究者らは自殺企図の既往のある親81人の子供183人と自殺企図のない親55人の子供116人を比較した。その結果、自殺企図のある親の子供の12%に自殺企図が認められたが、自殺企図のない親の子供のそれはたったの2%であり、6倍の差が認められた。
 

新しい研究結果によると、ある種の冠動脈手術後長期の認知力低下は必然的なものではない [2002-09-24]

New study suggests that long-term cognitive decline is not inevitable after certain coronary procedures
ある種の冠動脈バイパス術後の認知力低下は必然的なものではない、という報告がNeurology 9月号に掲載された。ドイツの研究者らは冠動脈バイパス術前の患者52人に対し、術前のベースラインと術後5年の認知力の検査を行った。その結果、認知力の有意な変化を認めた者(Wilcoxonテスト7部のうち少なくとも2部において1標準偏差以上の低下)は1人も存在しなかった。体力的な消耗が陽性のバイアスを産み出している可能性はあるが、筆者らは、禁煙や病気に伴う体調のコントロールなどのリスク軽減によりこれらの患者の長期予後を改善している可能性があると述べている。術前に認知力および感情的に問題のあった患者においては、術後のリスク軽減はさらに明らかに認められた。

不特定多数の人々が暴力に曝された後の早期の精神ケアは、被害者の心理的影響を軽減する [2002-09-17]

Early mental-health intervention after exposure to mass violence reduces psychiatric impact on survivors
不特定多数への暴力曝露後、早期に認定精神介護者による介入を行うことによって、被害者が暴力に曝露されたことによる有害な心理的感情的効果を軽減することが可能である、と いうU.S. national conference の報告が9月上旬に公表された。米国とその他5ヵ国の精神ケア専門家らのメンバー58人によるその報告は、暴力または災害による被害者に対して行なわれた介入の様式やタイミングを含む、エビデンスに基づいた調査であり、特に精神ケア部門の専門家および研究者に見てもらいたいとしている。この報告書はウエブサイト http://www.nimh.nih.gov/research/massviolence.pdf で見ることができる。
 

自発的な運動により脳の柔軟性が増強し、神経の状態を維持する可能性がある [2002-09-17]

Voluntary physical exercise may improve brain plasticity and support neuron health
動物実験の結果によると、運動による遺伝子発現変化により、時間経過による脳神経損失を予防または遅延させることが示唆された、という報告が Trends in Neurosciences 6 月号に掲載された。研究 者らの報告によると、自発的な運動は脳由来の神経栄養因子および他の増殖因子レベルを増加させ、それにより学習や精神的動作能力が向上し脳損傷に対する神経抵抗性が増強する。彼らは、3週間の車輪走行を行ったのみのラットにおいて海馬の活動性が変化したことを認めた。彼らは加齢の課程における脳機能に対する身体活動性の役割や運動によりアルツハイマー病が予防できるかどうかを引続き研究する。

専門家は米国におけるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の多さは昨年9月11日の同時多発テロ事件が原因と考えている [2002-09-10]

Experts evaluate U.S. prevalence of posttraumatic stress disorder attributable to the September eleventh attacks
ニューヨークメトロポリタン地域の人々の、昨年9月11日の同時多発テロ事件によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、他の可能な影響因子を取り除いても別の地域の米国民と比較して2.9倍多いとJournal of the American Medical Association 8月7日号に掲載された。2,273人の成人を対象に行われたこの疫学調査の結果は、PTSDのリスクが増加しているのは外傷事件そのものに直接影響を受けている者に限定されている可能性があることを示唆している。この一般国民に広がったPTSDや全体の精神的苦痛の経験が、将来テロリストの攻撃を受けた時に精神的ケアを行うメンタルヘルス専門家にとって役に立つ可能性がある。
 

スポーツは精神的ストレスの心血管系に対する影響を軽減させる可能性がある [2002-09-10]

Physical fitness may decrease effects of mental stress on cardiovascular system
女性はスポーツをすることで精神的ストレスによる高血圧のリスクを軽減することができる可能性がある、という報告がPsychophysiology 9月号に掲載された。米国の研究グループは正常血圧(平均年齢25歳)の男女それぞれ13人に暗算、アイスバッグを前頭で保持する、手を冷水に漬ける、という3つの検査を行い評価した。これらの評価の結果、スポーツをすることは女性にとって高度のストレス、ストレスによる精神的傷害および他の心血管危険因子を有する女性にとって重要であることを示唆している。

亜急性心筋梗塞あるいは不安定狭心症患者のうつ治療に、セルトラリンは安全かつ有効に使用できる [2002-09-03]

Use of sertraline for depression is safe and effective for patients with recent myocardial infarction or unstable angina
亜急性心筋梗塞あるいは不安定狭心症患者のうつ治療に、セルトラリンは安全かつ有効に使用できる、とJournal of the American Medical Association 8月14日号に掲載された。入院中の患者369人(亜急性心筋梗塞74%、不安定狭心症26%)に対する無作為二重盲検試験の結果、セルトラリンを投与することにより重症または再発性うつ病が有意に改善した。心血管系の副作用は実薬群においてプラセボ群よりも軽度に少なかったが、その差は有意ではなかった。同誌の論評の筆者は、急性冠症候群患者における重症のうつの認識、および治療を立証したこの研究は可能かつ重要であると述べている。
 

統合失調症(精神分裂病患者)の脳においては重要なシグナルを伝達する蛋白レベルが減少している [2002-09-03]

Levels of crucial signal processing protein are decreased in brains of people with schizophrenia
統合失調症(精神分裂病患者)の脳においては重要なシグナルを伝達する蛋白レベルが減少している、という報告がArchives of General Psychiatry 8月号に掲載された。DARPP-32と呼ばれるその蛋白は、統合失調症を有していた患者14人の死後の前頭前皮質背外側部においては、統合失調症を有しない患者よりもはるかに少量しか認められなかった。その調整蛋白は、ドパミン、グルタミン、セロトニン活性を仲介する物質として既に発見されていたが、その統合失調症の症候に対する役割の明白化およびその蛋白の調整障害の治療をゴールとした研究がさらになされることであろう。
 


 
 

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