うつ病を有する者は、うつ病のない者と比較し、パーキンソン氏病発症率が有意に高い[2002-05-28]

Patients with depression have significantly higher risk for developing Parkinson's disease than peers without depression
うつ病を有する者は、年齢を調整したうつ病のない対称集団と比較しパーキンソン氏病の発症率が高い、という報告が Neurology誌5月28日号に掲載された。オランダの研究者らはある地域のデータベースからうつ病と診断された患者1,358人と年齢を合致させたうつ病のない対称集団67,570人を同定し、25年間追跡調査した。そのうち、うつ病患者19人およびうつ病のない集団の259人にパーキンソン氏病の発症が認められた。筆者らは、パーキンソン氏病発症前の初期の神経変性に伴うセロトニンレベルの低下が臨床的なうつ病を引き起こす可能性があると仮定している。

慢性的に孤独な人々は心疾患のリスクが高くなり、それはストレスに対する生理的な反応である可能性がある[2002-05-28]

Chronically lonely people have an increased risk of heart disease that may lie in physiologic responses to stress
慢性的に孤独な人々は心疾患のリスクが高くなり、それはストレスに対する心血管系の反応の相違による可能性がある、という報告がPsychosomatic Medicine 5/6月号に掲載された。研究者らは、大学の学生89人(男性45人、女性44人)に気分に関する質問表と、計算や書き物などの課題を与えた。その結果、健常な学生においては心拍出量増加のために血圧が上昇したが、孤独な学生においては血管の抵抗が増したために血圧が上昇した。孤独な学生においては血流に対する抵抗の上昇が認められた。筆者らは、孤独な人々やストレスに対する反応がそれらの人々と同様な者においてはその生理機能により、将来的に本態性高血圧が発症する可能性が高いとの仮説をたてている 。

妊娠後期におけるパロキセチン使用は新生児の合併症を増加させる[2002-05-21]

Paroxetine use in the third trimester is associated with increased rate of neonatal complications.
妊娠後期にパロキセチンに暴露された新生児は合併症率が高い、という報告が Pediatric Academic Societiesの年次会議で発表された。カナダのGideon Koren博士らは、妊娠後期にパロキセチンを使用していた妊婦55人から出産された新生児のうち12人(呼吸困難9人、低血糖2人を含む)が合併症を有していたことを示した。妊娠初・中期に内服していた妊婦27人および催奇形性のない薬剤を内服していた妊婦27人(計54人)中、合併症を有する新生児は3人であった。このうち2人は妊娠初・中期にパロキセチンを内服しており、他の1人は薬剤無使用であった。

家庭における介護者の半数は臨床的にうつであり、医学的な助けを必要としている[2002-05-21]

Half of all family caregivers are clinically depressed and need medical help .
家庭における肉親の介護者の約半数は臨床的にうつになっており、精神衛生上の改善を促進するような手段を施したり治療をしたりする必要があることに精神神経科医は気付く必要がある、という報告が米国Rosalynn Carter Institute for Human Developmentで開催された2日間に渡るパネルディスカッションで発表された。専門家らは、1500万人以上の米国人が介護者として、高齢で病気の障害をもった親類に無償で奉仕している、と推定している。

脳機能画像解析の結果によると、抗うつ薬とプラセボ薬に反応したうつ病患者の脳の活動性は同様の変化を示す[2002-05-14]

Functional brain imaging shows similar activity in patients who responded to either an antidepressant or to a placebo.
うつ病患者に対する脳機能画像解析の結果、University of Texas Health Science CenterのHelen Mayberg博士らは、抗うつ薬フルオキセチンあるいはプラセボ薬に反応した患者においては大脳皮質の活動性が高まり辺縁系の活動性が低下していることを示した。 American Journal of Psychiatry5月号に掲載されたこの研究において、博士らは、単極性うつ病で入院した17人の中年男性にフルオキセチンあるいはプラセボ薬を6週間投与する無作為二重盲検試験を施行した。評価尺度で評価したところ、プラセボ薬に反応した患者においては実薬投与群の患者と同様の改善が認められた。この新しいエビデンスは、脳には薬剤あるいは認知機能に対する介入などによる治療により変化したり対応したりする能力があることを示唆している。

SSRIの登場により、医師らはうつ病を積極的に治療することが可能となった[2002-05-14]

Advent of SSRI's Enable Doctors to Aggressively Treat Depression
Stanford University School of Medicineの研究者らは、うつ病患者が受ける治療の質は選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の導入により改善されたことを明らかにした。Primary Care Companion to the Journal of Clinical Psychiatry4月29日号に掲載されたこの研究は、診療所の医師らを対象にした調査National Disease and Therapeutic Indexから得られた処方の情報をもとに解析したものである。1987年(SSRIが導入される前)には約70%のうつ病患者が抗うつ薬で治療されていたが、2001年には89%の患者が薬剤で治療されていた。安全性が高く比較的副作用が少ないことから、SSRIは医師および患者にとっても魅力的な薬剤である。過去の研究結果によるとうつ病は過少治療されがちであったが、治療を受ける患者の数は増加してきている。

精神分裂病の主要遺伝子の同定は現在のところ失敗に終わっている[2002-05-07]

Genetic research to date fails to identify major gene for schizophrenia
精神分裂病に関連した遺伝子はヒト第一染色体上に発見されるであろうというエビデンスが見込まれたにもかかわらず、精神分裂病患者1,900人以上のDNAを調査した研究者らはその遺伝子はその部位には存在しないと結論付けた、という報告がScience 4月26日号に掲載された。国際研究グループは遺伝子連鎖テクニックを使用し、精神分裂病患者が2人以上存在する家族の染色体と第一染色体長腕上に存在する既存のマーカー遺伝子との相関を調べた。精神分裂病の研究に対するレビューが同誌に掲載されている 。

患者の報告によると、人との活動に携わったり楽しんだりできることがうつからの回復の大切なステップである[2002-05-07]

Patients report that ability to engage in and enjoy personal activities is key step in recovery from depression
患者からの報告をもとに治療効果を評価した調査結果によると、人との活動に携わったり楽しんだりできることがうつからの回復の大切なステップである。症状的に寛解が認められた18歳以上の米国人うつ病患者704人の3分の1近くが、治療成功の最強の指標は家庭生活への復帰、またそれにより趣味や団体活動へ参加できることであると報告している。この調査はWyeth Pharmaceuticals社提供による大衆意識キャンペーンGOAL!の一環として施行された。
 


 
 

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