慢性的に孤独な人々は心疾患のリスクが高くなり、それはストレスに対する心血管系の反応の相違による可能性がある、という報告がPsychosomatic
Medicine 5/6月号に掲載された。研究者らは、大学の学生89人(男性45人、女性44人)に気分に関する質問表と、計算や書き物などの課題を与えた。その結果、健常な学生においては心拍出量増加のために血圧が上昇したが、孤独な学生においては血管の抵抗が増したために血圧が上昇した。孤独な学生においては血流に対する抵抗の上昇が認められた。筆者らは、孤独な人々やストレスに対する反応がそれらの人々と同様な者においてはその生理機能により、将来的に本態性高血圧が発症する可能性が高いとの仮説をたてている
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家庭における肉親の介護者の約半数は臨床的にうつになっており、精神衛生上の改善を促進するような手段を施したり治療をしたりする必要があることに精神神経科医は気付く必要がある、という報告が米国Rosalynn
Carter Institute for Human Developmentで開催された2日間に渡るパネルディスカッションで発表された。専門家らは、1500万人以上の米国人が介護者として、高齢で病気の障害をもった親類に無償で奉仕している、と推定している。
うつ病患者に対する脳機能画像解析の結果、University
of Texas Health Science CenterのHelen Mayberg博士らは、抗うつ薬フルオキセチンあるいはプラセボ薬に反応した患者においては大脳皮質の活動性が高まり辺縁系の活動性が低下していることを示した。
American Journal of Psychiatry5月号に掲載されたこの研究において、博士らは、単極性うつ病で入院した17人の中年男性にフルオキセチンあるいはプラセボ薬を6週間投与する無作為二重盲検試験を施行した。評価尺度で評価したところ、プラセボ薬に反応した患者においては実薬投与群の患者と同様の改善が認められた。この新しいエビデンスは、脳には薬剤あるいは認知機能に対する介入などによる治療により変化したり対応したりする能力があることを示唆している。
Stanford
University School of Medicineの研究者らは、うつ病患者が受ける治療の質は選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の導入により改善されたことを明らかにした。Primary
Care Companion to the Journal of Clinical Psychiatry4月29日号に掲載されたこの研究は、診療所の医師らを対象にした調査National
Disease and Therapeutic Indexから得られた処方の情報をもとに解析したものである。1987年(SSRIが導入される前)には約70%のうつ病患者が抗うつ薬で治療されていたが、2001年には89%の患者が薬剤で治療されていた。安全性が高く比較的副作用が少ないことから、SSRIは医師および患者にとっても魅力的な薬剤である。過去の研究結果によるとうつ病は過少治療されがちであったが、治療を受ける患者の数は増加してきている。