ストレスに対して怒りで反応するタイプの若年者は若年性心疾患発症のリスクが3倍高い、という報告がArchives
of Internal Medicine 4月22日号に掲載された。Patricia P. Chang博士らは平均年齢36歳の医学部を卒業した米国人1,055人を卒業後追跡調査した。その結果、学生時代に怒り、いらいら、不満を表したり感じていた者は早期に心筋梗塞や脳卒中を発症する可能性が高く、怒り指数の最も高い群に所属した者においては早期心血管イベントを発症する確立が最も高かった。怒り反応は高血圧や糖尿病などのリスクファクターよりも数年前に顕性になりうることから、怒りやストレスの処理を含めた精神的管理は健康管理の上で大きな役割を占めている可能性がある。
パーキンソン病患者における痴呆の合併はその運動性疾患の重症度と関係なく死亡のリスクを高める、と2002年のAmerican
Academy of Neurology 学会で発表された 。 米国の研究グループはパーキンソン病患者180人を評価し、4年間追跡した。その結果、痴呆の合併および運動性疾患の重症度は、死亡リスクの上昇を予測するそれぞれ独立した予後因子であった。精神神経医にとって特記すべきことは、痴呆に伴うリスクは幻覚やうつの進行による影響を調整してもなお不変であったという点である
。
臨床試験の結果、セイヨウオトギリソウは中等度に重症のうつに対してはプラセボと比較し有効性が勝らないことが明らかとなった、という報告がJournal
of the American Medical Association 4月10日号に掲載された。セイヨウオトギリソウとプラセボおよび抗うつ薬セルトラリンを比較した無作為二重盲検試験では、340人の中等度重症うつ病患者を、セイヨウオトギリソウ、プラセボ、またはセルトラリン8週間投与群に割り付けた。セイヨウオトギリソウを投与された患者の約24%において十分な効果が認められたが、その一方、プラセボ群で32%、セルトラリン群で25%に同様の効果が認められた。セルトラリンを投与された患者においては他の2群と比較し、一部の改善が有意に認められた。
妊婦はドコヘキサン酸(DHA)と呼ばれる必須脂肪酸に富んだ食事をすることにより産後のうつのリスクを軽減することができる可能性がある、とAmerican
Chemical Societyの年次会議で発表された。最近の研究結果から、ドコヘキサン酸の食事からの摂取量と臨床的なうつとの間、および母乳中のドコヘキサン酸レベルと産後うつの間に相関が認められた。アメリカ人の典型的な食事で摂取するドコヘキサン酸は非常に少なく(1日40〜50mg)、一方典型的な日本食では1日に約600mgのドコヘキサン酸を摂取している。David
Kyle博士は、女性は食事内容を評価し、魚の摂取量を増やしたり必要であればサプリメントを内服するよう奨めた。
American
Psychological Associationが最近世界に向けて発表した報告書Summit on Women
and Depression: Proceedings and Recommendationsには、男性よりも女性にうつ病の頻度が高く、女性の生涯のさまざまな時期において発症しうる、というデータが示されており、またヘルスケアの政策や実地を改善する方法が提案されている。この報告には女性にうつ病の頻度が高い原因と考えられる要素が数多く列記されており、その中には遺伝的素因、性ホルモンの影響、生活のストレス、幼少期に受けた虐待や成人後も恋人や配偶者による暴力等の心的外傷が含まれている。女性のうつ病の頻度や有病率に関しての情報を一般公衆に提供し、精神衛生医学以外の専門家を教育する計画を立てることが重要である、と報告者らは強調している。
Neurology3月号に掲載された論文によると、アルツハイマー病患者における精神病の発症は遺伝的素因により影響されている可能性がある。アメリカのRobert
A. Sweet博士らは、2人以上の家族内発症のあるアルツハイマー患者800人以上を調査した。その結果、本人と兄弟のアルツハイマー病発症年令を補正すると、同病に罹患する兄弟が精神病を発症した場合、本人が同様に精神病を発症するリスクは2倍以上高いことを見出した。さらなる研究で、この関連が遺伝的素因によるのか、もしくは若年期に共有している環境因子によるのか、が明らかになるだろう。