ストレスに対して怒りで反応するタイプの若年者は若年性心疾患のリスクが有意に高い[2002-04-30]
Young men who react to stress with anger are at significantly increased risk for premature heart disease
ストレスに対して怒りで反応するタイプの若年者は若年性心疾患発症のリスクが3倍高い、という報告がArchives of Internal Medicine 4月22日号に掲載された。Patricia P. Chang博士らは平均年齢36歳の医学部を卒業した米国人1,055人を卒業後追跡調査した。その結果、学生時代に怒り、いらいら、不満を表したり感じていた者は早期に心筋梗塞や脳卒中を発症する可能性が高く、怒り指数の最も高い群に所属した者においては早期心血管イベントを発症する確立が最も高かった。怒り反応は高血圧や糖尿病などのリスクファクターよりも数年前に顕性になりうることから、怒りやストレスの処理を含めた精神的管理は健康管理の上で大きな役割を占めている可能性がある。

痴呆を合併したパーキンソン病患者は死亡率が3倍高い[2002-04-30]

Parkinson's patients with dementia have up to a three-fold increase in mortality
パーキンソン病患者における痴呆の合併はその運動性疾患の重症度と関係なく死亡のリスクを高める、と2002年のAmerican Academy of Neurology 学会で発表された 。 米国の研究グループはパーキンソン病患者180人を評価し、4年間追跡した。その結果、痴呆の合併および運動性疾患の重症度は、死亡リスクの上昇を予測するそれぞれ独立した予後因子であった。精神神経医にとって特記すべきことは、痴呆に伴うリスクは幻覚やうつの進行による影響を調整してもなお不変であったという点である 。
臨床試験の結果、セントジョンズワート (西洋オトギリソウ)は中等度に重症のうつに対しては無効であることが明らかとなった[2002-04-23]
Clinical trial shows that use of the herb Saint John's wort is ineffective for moderately severe depression
臨床試験の結果、セイヨウオトギリソウは中等度に重症のうつに対してはプラセボと比較し有効性が勝らないことが明らかとなった、という報告がJournal of the American Medical Association 4月10日号に掲載された。セイヨウオトギリソウとプラセボおよび抗うつ薬セルトラリンを比較した無作為二重盲検試験では、340人の中等度重症うつ病患者を、セイヨウオトギリソウ、プラセボ、またはセルトラリン8週間投与群に割り付けた。セイヨウオトギリソウを投与された患者の約24%において十分な効果が認められたが、その一方、プラセボ群で32%、セルトラリン群で25%に同様の効果が認められた。セルトラリンを投与された患者においては他の2群と比較し、一部の改善が有意に認められた。
小児患者の注意欠陥多動性障害およびうつに対する投薬による治療が着実に増加している[2002-04-23]
Use of drugs to treat attention deficit hyperactivity disorder and depression has increased steadily among pediatric patients
アメリカにおける小児患者の注意欠陥多動性障害およびうつに対する投薬による治療が、1995年から1999年にかけて着実に増加している、という報告がAmbulatory Pediatrics3−4月号に掲載された。その間には、中枢性興奮薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSTI)の使用割合が26%から62%に増加した。両者を内服している患者の1,000人当たりの割合は1995年の1.4人から1999年には2.6人に増加した。筆者らはこれらの結果は、過去に論文化されているアメリカの小児および青年に関して行われた研究結果を再確認するものである、と述べている。
神経心理学的検査により医師がアルツハイマー病のリスクのある人を発症前に同定できる可能性がある[2002-04-16]
Neuropsychological testing may enable clinicians to identify people at risk for Alzheimer's disease before symptoms appear
神経心理学的検査により医師がアルツハイマー病のリスクのある人を臨床症状出現前に同定できる可能性がある、という報告がNeuropsychology4月号に掲載された。Mark Jacobson博士らは、言語および視覚解釈認知試験(一般的な物の図をみてその名前を答えたり、印刷された通りにブロックを並べたりする)の結果を比較した。この2つの検査結果の不一致性は、検査が実施された数年の内にアルツハイマー病の可能性が高いと診断された20名の集団においてより多く認められ、同年齢層で追跡期間終了時に問題がないと診断された20名の集団と比較するとさらに厳しい結果であった。博士らはこの研究結果から、前向き試験においてその有効性が確認できれば、有意な脳の損傷が生じる前に医師がリスクのある人を同定し治療を開始することができるであろう、と述べている 。
妊婦は脂肪酸に富んだ食事をすることにより産後のうつのリスクを軽減することができる可能性がある。[2002-04-16]
Pregnant women may be able to reduce risk for postpartum depression with a fatty acid-rich diet
妊婦はドコヘキサン酸(DHA)と呼ばれる必須脂肪酸に富んだ食事をすることにより産後のうつのリスクを軽減することができる可能性がある、とAmerican Chemical Societyの年次会議で発表された。最近の研究結果から、ドコヘキサン酸の食事からの摂取量と臨床的なうつとの間、および母乳中のドコヘキサン酸レベルと産後うつの間に相関が認められた。アメリカ人の典型的な食事で摂取するドコヘキサン酸は非常に少なく(1日40〜50mg)、一方典型的な日本食では1日に約600mgのドコヘキサン酸を摂取している。David Kyle博士は、女性は食事内容を評価し、魚の摂取量を増やしたり必要であればサプリメントを内服するよう奨めた。
うつ病とタバコの宣伝広告への高い関心が組み合わさると、10代の若者の喫煙リスクが増大する[2002-04-09]
Combination of depression and high sensitivity to advertising significantly increases risk that teenagers will smoke
うつ病の10代の若者がタバコの宣伝広告に対して高い感受性を示す場合、喫煙を始めるリスクが高くなる、という報告がJournal of Pediatric Psychology 誌3月号に掲載された。Janet Audrain博士らは米国の高校生1,100人以上を対象に、さまざまな喫煙の生物行動学的予測因子について調査した。その結果、うつ病の若者は喫煙とタバコの広告宣伝でよく見られる社会的成功のイメージとを結びつけて考えやすく、自分も喫煙を始める傾向が強いことが見出された。精神疾患であるうつ病と喫煙を始めるリスクとの関連が今回初めて示され、精神衛生や禁煙運動の専門家にとって有用な情報である、と博士らは主張している。
うつ病の性差に関する新しい知見が得られた[2002-04-09]
New research provides insight into gender differences in depression
American Psychological Associationが最近世界に向けて発表した報告書Summit on Women and Depression: Proceedings and Recommendationsには、男性よりも女性にうつ病の頻度が高く、女性の生涯のさまざまな時期において発症しうる、というデータが示されており、またヘルスケアの政策や実地を改善する方法が提案されている。この報告には女性にうつ病の頻度が高い原因と考えられる要素が数多く列記されており、その中には遺伝的素因、性ホルモンの影響、生活のストレス、幼少期に受けた虐待や成人後も恋人や配偶者による暴力等の心的外傷が含まれている。女性のうつ病の頻度や有病率に関しての情報を一般公衆に提供し、精神衛生医学以外の専門家を教育する計画を立てることが重要である、と報告者らは強調している。
アルツハイマー病患者における精神病は、家族性に発症する可能性がある[2002-04-01]
Psychosis in patients with Alzheimer's disease appears to be familial in incidence
Neurology3月号に掲載された論文によると、アルツハイマー病患者における精神病の発症は遺伝的素因により影響されている可能性がある。アメリカのRobert A. Sweet博士らは、2人以上の家族内発症のあるアルツハイマー患者800人以上を調査した。その結果、本人と兄弟のアルツハイマー病発症年令を補正すると、同病に罹患する兄弟が精神病を発症した場合、本人が同様に精神病を発症するリスクは2倍以上高いことを見出した。さらなる研究で、この関連が遺伝的素因によるのか、もしくは若年期に共有している環境因子によるのか、が明らかになるだろう。
精神的ストレスが契機となり心筋虚血が生じ、冠動脈疾患患者においては死亡のリスクが増加する可能性がある[2002-04-01]
Mental stress can trigger cardiac ischemia and increase risk of death for patients with coronary artery disease
Circulationオンライン速報(rapid access publications)3月26日版に掲載された論文によると、精神的ストレスが契機となり心筋虚血が生じ、冠動脈疾患患者においては死亡のリスクが増加する可能性がある。本研究では、冠動脈疾患と運動誘発性の心筋虚血が証明されている196人の患者を対象として、運動負荷試験、核医学イメージング、および精神的ストレスの検査をベースラインで施行し、以後5年以上にわたり観察した。その結果、20%の患者で精神的ストレス中に、核医学イメージング上壁運動異常がみられた。これらの壁運動異常を呈した患者の死亡率は、呈しなかった患者と比較して2.8倍高かった。著者らは、さらに大規模な前向き試験の必要性を訴えた。
 


 
 

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