強度変調放射線治療は従来のホジキン病に対する放射線療法より優れている、とAmerican
Society for Therapeutic Radiology and Oncology年次学会で報告された。3次元スキャンの治療が可能な患者3人に対する実際および架空治療の線量(ドシメトリ)を比較したところ、新たな技術による放射線治療により腫瘍の線量を最大にし、健常領域の放射線暴露量を軽減できることを発見した。放射線療法によるホジキン病治癒率はきわめて高いため、治療成績を悪化させずに短期および長期の治療による合併症を軽減させることは特に重要である。
血清中の蛋白パターンを検査することにより前立腺がんと他の良性疾患を鑑別できる、という報告がJournal of
the National Cancer Institute10月16日号に掲載された。研究者らは人工知能のソフトウエアを使用して、既に診断の下されているがん症例と良性前立腺疾患のパターンの違いを同定した。その後彼らは生検の結果を知らされない状態でそのソフトウエアを使用して診断した。研究者らは前立腺がん38例中36例(95%)、良性疾患228例中177例(78%)を正しく診断した。この結果は、血清蛋白パターンから卵巣がんと他の良性疾患を鑑別できるという同グループの以前の報告に継ぐものである
。
放射線および手術併用療法に化学療法を追加しても切除後ハイリスク頭頚部がんのコントロールは改善しない、という報告がAmerican
Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。2つ以上のリンパ節へのがん浸潤、リンパ節被膜を越えて広がったがんあるいは顕微鏡的に不完全切除と診断されたハイリスクと考えられる腫瘍切除術後患者459人が、放射線療法群または放射線および化学療法併用群に無作為に割り付けられた。2年後の局所または領域内コントロール率は放射線療法群で74%、放射線および化学療法併用群で79%であった。局所または領域内再発、あるいは初回の再発として遠隔転移の認められた率もこれらの二群間に差は見られなかった。筆者らは、これらの治療抵抗性の患者群に有効と考えられる化学療法薬を同定するべく更なる研究が必要である、と述べている。
放射線療法5年後に存在する血中前立腺特異抗原によりその後数年の無病生存率が予測できる、という報告がInternational
Journal of Radiation Oncology, Biology and Physics 2002年10月号に掲載された。米国の研究グループは前立腺がんに対し放射線療法を受け、その後5年間生化学的に無病の患者328人を評価した。治療8,10,13年後の前立腺特異抗原の非増加率はそれぞれ87、79、67%であった。研究者らは、前立腺特異抗原が放射線療法5年間低値(<
2ng/ml)である場合はそれらの患者の大半が10年後にも生化学的に無病であろう、と述べている。
植え込み型注入装置による麻薬の髄腔内注入療法は、中等度から重度のがん性疼痛に対し経口、経皮または静注投与よりも鎮痛に優れている、という報告がJournal
of Clinical Oncology 10月1日号に掲載された。202人の患者を対象としたこの国際的無作為研究からは、髄板内投与も従来の投与法に比べ少量の薬剤投与で済み、副作用が有意に少ないとの結果が得られた。生存率についての結果は得られていないが、髄腔内投与群において生存期間が延長しているようである。筆者らは、従来の鎮痛療法の無効な患者における鎮痛剤投与法およびその研究結果の検討が必要である、と主張している。
BRCA1遺伝子が卵巣がんにおいて重要な役割を果たすことを同定した研究者らがBRCA2においても同様であることを発見した、という報告がJournal
of the National Cancer Institute 9月18日号に掲載された。米国の研究チームはBRCA1研究に組み込まれていた、卵巣がんを有する女性92人の腫瘍におけるBRCA2遺伝子の機能不全を検査した。それらのうち82%においてBRCA1またはBRCA2遺伝子の機能不全が認められた。それとは対照的に、過去の研究結果ではそれらの遺伝子のいずれかまたは両者の機能不全が認められる腫瘍は、5%から10%にすぎなかった。遺伝子機能の評価に新たな技術を使用した今回の研究は、家族性の疾患に焦点を当てるのではなく、無作為に選んだ卵巣がんの検体を検査するという研究に発展するであろう。