EZH2遺伝子の過剰発現によって転移性前立腺がんと非転移性前立腺がんが鑑別できる [2002-10-29]
Overexpression of EZH2 gene distinguishes metastatic prostate cancer from localized disease
著明なEZH2遺伝子の過剰発現は生物学的に進行性の前立腺がんのマーカーとして有用である、という報告がNature 10月10日号に掲載された。米国の研究者らはマイクロアッセイ法を用いて正常の前立腺、良性疾患、非転移性がん、および転移性がんの組織を評価した。EZH2遺伝子の過剰発現の度合いは、転移性がんにおいてより活動性の高い55の遺伝子において最も高かった。筆者らはEZH2の発現の検査を他の生物学的指標と組み合わせることにより、個々人の前立腺がんの早期診断と最も有効な低侵襲性の治療が決定できると主張している。
 
強度変調放射線治療により腫瘍に対する線量は最大化し健常組織に対する線量は最小化する [2002-10-29]
Intensity modulated radiation therapy optimizes dose to tumor while minimizing exposure of healthy tissue
強度変調放射線治療は従来のホジキン病に対する放射線療法より優れている、とAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology年次学会で報告された。3次元スキャンの治療が可能な患者3人に対する実際および架空治療の線量(ドシメトリ)を比較したところ、新たな技術による放射線治療により腫瘍の線量を最大にし、健常領域の放射線暴露量を軽減できることを発見した。放射線療法によるホジキン病治癒率はきわめて高いため、治療成績を悪化させずに短期および長期の治療による合併症を軽減させることは特に重要である。
血清中蛋白分画により前立腺がんと他の良性疾患を鑑別できる [2002-10-22]
New serum protein profile testing accurately distinguishes prostate cancer from benign conditions
血清中の蛋白パターンを検査することにより前立腺がんと他の良性疾患を鑑別できる、という報告がJournal of the National Cancer Institute10月16日号に掲載された。研究者らは人工知能のソフトウエアを使用して、既に診断の下されているがん症例と良性前立腺疾患のパターンの違いを同定した。その後彼らは生検の結果を知らされない状態でそのソフトウエアを使用して診断した。研究者らは前立腺がん38例中36例(95%)、良性疾患228例中177例(78%)を正しく診断した。この結果は、血清蛋白パターンから卵巣がんと他の良性疾患を鑑別できるという同グループの以前の報告に継ぐものである 。
 
エストロゲン補充療法は局所乳がん治療後の閉経後女性の新たながん発生の原因にはならない [2002-10-22]
Estrogen therapy does not cause new cancer in menopausal women with treated localized breast cancer
エストロゲン補充療法は局所乳がんの既往を有する閉経後女性に対 し安全である、という報告がCANCER誌11月1日号に掲載された。この研究はstageIまたはIIのエストロゲンレセプター陰性の乳がん治療後の女性を対象とした、これまでで最も追跡期間の長い研究の1つである。77人の患者は無作為研究(治療群34人、無治療群43人)、222人は非無作為研究(治療群22人、無治療群200人)に組みこまれた。エストロゲン補充療法群と無治療群との間で無病生存率、総生存率、新たなあるいは再発性乳癌発症率に統計上の差はなかった。筆者らは、この患者群に対するホルモン補充療法の安全性を確認するべくより大規模な前向き研究が必要であると述べている。
技術の進歩により乳がん患者のセンチネルリンパ節生検の正確性がより改善する [2002-10-15]
Change in technique improves accuracy of sentinel node biopsy for breast cancer patients
乳がんのセンチネルリンパ節の生検技術が進歩したことによりその正確性が改善した、という報告がAmerican Surgeon 誌 8月号に掲載された。研究者らは乳がん患者118人を対象に後ろ向き研究を実施した。あるグループ(65人)は腫瘍表面の皮膚に放射線トレーサーを注入され、6人は腫瘍に隣接した組織に注入され、47人は両者に注入された。センチネルリンパ節は腫瘍表面の皮膚に注入された者の98.5%、隣接組織に注入された者の83.3%、そして両者に注入された者の100%において同定された。両者ヘの注入により、リンパ路のみならず胸部に位置するセンチネルリンパ節までも有意に高率に同定できることから、これらの患者に対し解剖学的に正確な放射線照射部位を決定することが可能である。
 
放射線および手術併用療法に化学療法を追加しても切除後ハイリスク頭頚部がんのコントロールは改善しない [2002-10-15]
Addition of chemotherapy to radiotherapy and surgery does not improve control of high-risk resected head and neck cancers
放射線および手術併用療法に化学療法を追加しても切除後ハイリスク頭頚部がんのコントロールは改善しない、という報告がAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。2つ以上のリンパ節へのがん浸潤、リンパ節被膜を越えて広がったがんあるいは顕微鏡的に不完全切除と診断されたハイリスクと考えられる腫瘍切除術後患者459人が、放射線療法群または放射線および化学療法併用群に無作為に割り付けられた。2年後の局所または領域内コントロール率は放射線療法群で74%、放射線および化学療法併用群で79%であった。局所または領域内再発、あるいは初回の再発として遠隔転移の認められた率もこれらの二群間に差は見られなかった。筆者らは、これらの治療抵抗性の患者群に有効と考えられる化学療法薬を同定するべく更なる研究が必要である、と述べている。
放射線療法5年後の前立腺特異抗原のレベルにより無病生存率が予測できる [2002-10-08]
Prostate-specific antigen level five years after radiation predicts disease-free survival
放射線療法5年後に存在する血中前立腺特異抗原によりその後数年の無病生存率が予測できる、という報告がInternational Journal of Radiation Oncology, Biology and Physics 2002年10月号に掲載された。米国の研究グループは前立腺がんに対し放射線療法を受け、その後5年間生化学的に無病の患者328人を評価した。治療8,10,13年後の前立腺特異抗原の非増加率はそれぞれ87、79、67%であった。研究者らは、前立腺特異抗原が放射線療法5年間低値(< 2ng/ml)である場合はそれらの患者の大半が10年後にも生化学的に無病であろう、と述べている。
 
麻薬の髄腔内注入療法は経口または静注投与よりも鎮痛に優れ副作用も少ない [2002-10-08]
Infusion delivery of narcotics appears to provide better pain relief with fewer side effects than delivery by oral or injectable means
植え込み型注入装置による麻薬の髄腔内注入療法は、中等度から重度のがん性疼痛に対し経口、経皮または静注投与よりも鎮痛に優れている、という報告がJournal of Clinical Oncology 10月1日号に掲載された。202人の患者を対象としたこの国際的無作為研究からは、髄板内投与も従来の投与法に比べ少量の薬剤投与で済み、副作用が有意に少ないとの結果が得られた。生存率についての結果は得られていないが、髄腔内投与群において生存期間が延長しているようである。筆者らは、従来の鎮痛療法の無効な患者における鎮痛剤投与法およびその研究結果の検討が必要である、と主張している。
新たな免疫療法は進行性メラノーマに有効である [2002-10-01]
New approach to immunotherapy shows promise against advanced melanoma
患者の腫瘍を攻撃するように活性化された大量の患者本人のT細胞を使用した新たな技術、養子細胞移植法(adoptive transfer)は進行性メラノーマの治療に有効性を示すとScienceオンライン版9月19日号に掲載された。研究者らは患者のT細胞を腫瘍検体に曝露させ、細胞分裂をおこさせ、活性化された大量の細胞を、化学療法を施行され不活化細胞の枯渇した患者の体内に戻した。通常の治療に抵抗性の転移性メラノーマ患者13人中、6人において腫瘍が少なくとも50%縮小した。その他の4人においてもある程度の腫瘍の縮小が認められた。腫瘍の成長や新たな腫瘍の出現が認められた者はいなかった。活性化された細胞は血流中に4ヵ月以上残存した。
BRCA1およびBRCA2遺伝子は卵巣がんにおいて重要な役割を果たす [2002-10-01]
BRCA1 and BRCA2 genes found to play major role in ovarian cancer
BRCA1遺伝子が卵巣がんにおいて重要な役割を果たすことを同定した研究者らがBRCA2においても同様であることを発見した、という報告がJournal of the National Cancer Institute 9月18日号に掲載された。米国の研究チームはBRCA1研究に組み込まれていた、卵巣がんを有する女性92人の腫瘍におけるBRCA2遺伝子の機能不全を検査した。それらのうち82%においてBRCA1またはBRCA2遺伝子の機能不全が認められた。それとは対照的に、過去の研究結果ではそれらの遺伝子のいずれかまたは両者の機能不全が認められる腫瘍は、5%から10%にすぎなかった。遺伝子機能の評価に新たな技術を使用した今回の研究は、家族性の疾患に焦点を当てるのではなく、無作為に選んだ卵巣がんの検体を検査するという研究に発展するであろう。
 


 
 

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