Herceptinは心筋細胞に直接作用することによって心不全の原因となりうる可能性がある[2002-05-28]
Herceptin may cause heart failure through direct action on myocardial cells
乳がん治療薬Herceptinと心不全には関連がある確率が高く、それは心筋細胞と抗体との相互作用のようである、という研究結果がNature Medicine 4月30日号に掲載された。 Salk Instituteの研究者らはHerceptinのターゲットである受容体蛋白を欠如させたマウスにおいて、自然に心不全が発症し、またそのマウスにおいては特に心筋細胞が anthracycline毒性に対してより敏感になるようであることを見出した。筆者らはHerceptinの強力な抗がん作用を失わせることなく、心不全の誘発を予防するような心筋保護薬が 発見されることを望んでいる。
遺伝学的卵巣がんの女性は散発性卵巣がんの女性と比較し生存率は同等である[2002-05-28]
Genetic ovarian cancers appear to have survival comparable with that for sporadic ovarian cancers
遺伝学的卵巣がんを有する女性は散発性卵巣がんを有する女性と比較し特に生存率が良好ではない可能性がある、 という報告がClinical Cancer Research5月号に掲載された。卵巣がん患者のうち少なくとも10%は遺伝性と考えられ、 その多くはBRCA1対立遺伝子の変異である。米国のRichard Buller博士らは、遺伝性の不良対立遺伝子、非遺伝性の変異、 またはがんにおける遺伝子機能の欠如のいずれかの原因によるBRCA1機能不全を示した卵巣がん59症例、およびBRCA1機能が正常な卵巣がん症 例59例を評価した。BRCA1機能不全3群それぞれについてその遺伝子機能以外の点で匹敵する、BRCA1機能の正常な患者との生存率を比較したところ、有意差は認められなかった。
子宮頚がんスクリーニングには、papスメアとヒトパピローマウイルス検査の組み合わせがpapスメアだけよりも優れている可能性がある[2002-05-21]
Combination of Pap smear and human papillomavirus screening may be superior to Pap smear only
子宮頚がんのスクリーニングとしてヒトパピローマウイルス検査とpapスメアの組み合わせを2年にT度施行することは、年1回のpapスメアに比べ、少ない頻度でコスト面でも妥当である、という報告が The Journal of the American Medical Association (JAMA)5月8日号に掲載された 。 米国のJeanne S. Mandelblatt博士らの研究チームは、ウイルスによりがんが発生する自然経過に関するデータを組み入れた数学的模型を使用して、papスメアのみ、ヒトパピローマウイルス検査のみ、および両者の組み合わせによる子宮頚がんスクリーニングの3群における2〜3年おきの経過を、20〜65歳、75歳および死亡時についてシミュレーションを行った。
ホジキン病に対して胸部放射線照射治療を施行された若年女性の多くは、乳がんのリスクが増加することを知らない[2002-05-21]
Many young women treated for Hodgkin's disease with chest radiation are unaware of increased risk for breast cancer
ホジキン病に対して胸部放射線照射治療を施行された若年女性の多くは乳がんのリスクが増加することを知らない、という報告が Journal of Clinical Oncology4月15日号に掲載された。米国のLisa Diller博士らは、8年以上前に放射線照射を施行された90人の女性を対象に調査を行い、そのうち40%が同年代の女性と乳がんの発症率が同等と考えられた。しかし過去2年間に乳房X線検査を受けたのはたったの47%であった。10人の患者に乳がんが発症し、それらは全て乳房撮影により発見できたことから、乳がんのリスクやスクリーニングに関しての情報が重要であることが追跡調査中に明らかとなった 。
研究者らはマウスにおいて肺がんを減少させる3つの腫瘍抑制遺伝子を発見した[2002-05-14]
Researchers Find 3 Tumor Suppressor Genes that Reduce Lung Cancer in Mice
The University of Texas M. D. Anderson Cancer Center およびThe University of Texas Southwestern Medical Centerの研究者らが、第3染色体上の小領域上に存在する3つの腫瘍抑制遺伝子を同定した、とCancer Research 5月1日号に掲載された。研究者らは3つの遺伝子101F6、NPRL2 および FUS1が腫瘍の成長や転移を抑制するのみでなく、ヒト肺がん細胞の細胞死を誘発することを示した。この染色体 3p領域の発見は、肺がんの発生の過程で発見された最も早い遺伝子学的変化である。この発見は肺がんの早期発見、診断、予防そして治療開発への大きなきっかけとなるであろう。
ブラックラズベリーは強力な抗酸化作用を有し、これにより発がんを抑制する[2002-05-14]
Black Raspberries Contain a Powerful Anti-oxidant, which Reduced Tumor Production in Rats
Ohio State University Comprehensive Cancer Centerの研究者らは、ベリー類に富んだ食事を与えられたラットはベリー類を含まない食事をさせたラットと比較し、悪性腫瘍発生率が80%少ない、とNutrition and Cancer5月号で報告した。研究者らはラットに大腸がんを誘発する発がん性物質azoxymethaneを注射した。フリーズドライにされたブラックラズベリーを混ぜた食事をラットに与えたところ、悪性腫瘍の減少数は摂取されたフリーズドライのラズベリー量に相当するようであった。筆者らは、ベリー類にはアントシアン、クマル酸、フェルラ酸、カルシウムやビタミンA,C,E,そして葉酸などの多くの化学予防物質が含まれている、と述べている 。
化学療法抵抗性リンパ腫患者に対しては、高容量放射線照射と骨髄幹細胞移植の併用が治療法となりうる[2002-05-07]
Combined high-dose radiation and stem cell transplant is a potentially curative therapy for select chemo-resistant lymphoma cases
化学療法抵抗性リンパ腫患者に対しては高容量放射線照射と幹細胞移植の併用が効果的であり、有効な治療法となりうる、という報告がInternational Journal of Radiation Oncology, Biology, and Physics 5月号に掲載された。一次性不応性あるいは治療抵抗性再発性ホジキン病あるいは非ホジキンリンフォーマ患者9人のうち4人においては完全寛解が認められ、そのうち3人では完全寛解の状態が1年以上持続した。9人中2人においては部分寛解が認められた。1人の患者はステロイド誘発性胃腸炎および術後感染症により幹細胞移植429日後に死亡した。
予備試験の結果、ドキソルビシンに砂糖および重合体を加えることにより抗腫瘍効果が増大することが示された[2002-05-07]
Addition of sugar and polymer to doxorubicin enhances anti-tumor efficacy in preliminary laboratory testing
ドキソルビシンと砂糖ヒアルロン酸および共重合体を化学的結合させることにより、がん細胞に対する薬剤特異性および毒性が強化される、という報告がPharmaceutical Research 4月号に掲載された。Glenn D. Prestwich博士らは、その共重合体を加えることにより薬剤の細胞内貯留が強化され、それにより薬剤抵抗性の培養がん細胞に対しその薬剤が有効となることを発見した。さらに砂糖を加えることにより悪性細胞に対する特異性は顕著に増大した。3者を結合させると、培養乳がん細胞に対する効果はドキソルビシン−共重合体2者結合薬の10倍であった。この3者の結合薬は、ヨーロッパでは人に対する安全性試験がすでに終了している。
 


 
 

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