マウスの実験から胚の心臓の形成および遺伝子レベルの先天性心奇形に関する新たな見識が供給された、という報告がNature
Medicine 7月22日号に掲載された。米国の研究グループはノックアウトマウスを使用して、ポリサッカロイドヒアルロン酸が欠失することにより中隔および弁を形成する組織が欠乏することを発見した。研究者らは短期的にはこの研究は他の臓器における組織の形成についての大きな理解につながるであろうと期待している。長期的には先天性の心奇形が遺伝子によるものか否かを明らかにする遺伝子検査が可能になることを期待している。
年齢、性別、および健康状態全般が心不全による初回入院後の生存率の予測因子である、という報告がArchives
of Internal Medicine 8月12日号に掲載された。研究者らは38,702人の患者に関して退院後30日および1年後の状態を調査した。30日後および1年後の死亡率は年齢とともに急激に上昇した。30日後の生存率に男女差はなかったが、1年後の生存率は女性において約20%高かった。合併症の有無は強力な予後規定因子であった。筆者らは、臨床試験の生存率は患者選択にバイアスがかかっているため高く、またそのために医師たちはさらに患者全体を対象とした臨床研究を行うよう駆り立てられている、と述べている。
急性心筋梗塞の新たな診断基準に基づいて診断すると同疾患の発症率は増加することになる、という研究が
Archives of Internal Medicine 7月22日号に掲載された。急性心筋梗塞疑いの患者連続493人を、従来のWHO(世界保健機関)診断基準に基づき診断したところ、224人が急性心筋梗塞と診断された。一方トロポニンの計測結果を含めた新たなAmerican
College of Cardiologyによる診断基準に基づくと、224人に加えさらに51人が同疾患と診断された。発症後6ヵ月の死亡率は新たな診断基準のみに基づき診断された患者群で高かったが、年齢、性別、その他の因子で補正したところ、その差は有意ではなかった。筆者らは、新たな診断基準を導入することにより将来的な心血管イベントのハイリスク患者を同定することが可能であると述べている。
たとえ中等度の体重超過であっても心不全のリスクと強力な独立した関連が認められる、という報告がNew England
Journal of Medicine 8月1日号に掲載された。Framingham Heart Studyに登録された5,000人を超える参加者を解析したところ、心不全の発症のリスクは、体重増加とともに上昇するが、体重超過の人々で34%、肥満の人々で104%上昇することが示された。
長時間作用型ナイアシンはII型糖尿病患者の脂質代謝異常を有意に改善する、という報告がArchives
of Internal Medicine 6月21日号に掲載された。Scott M. Grundy博士らは146人の患者について、49人をプラセボ群、45人をナイアシン1日1000mg投与群、52人をナイアシン1日1500mg投与群に無作為に割り付けた。患者全体のうち69人(47%)がスタチン系薬剤を同時に内服していた。ナイアシンはプラセボと比較し、HDLコレステロールを24%も増加させ、中性脂肪を36%も減少させた。空腹時血糖値に関してはプラセボ群とナイアシン投与群に差はなかったが、高用量ナイアシン投与群においてのみ、16週内服継続後のHbA1cがプラセボ群と比較し低値であった。