◆外科手術リスクの低い患者に対するTAVRは外科手術と同様に優れている(ACC 2019, Abstracts 19-LB-19883 and 19-LB-19835)
American College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で取り上げられた2つのスタディの結果、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)が外科手術リスクの低い大動脈弁狭窄症患者に拡大された。
大いに期待されていたトライアルは、全てのリスク群に対しTAVRは外科手術と同等あるいは優れていることを示した [2019-03-26]
Highly anticipated trials show TAVR equal to or better than surgery across all risk groups
American College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で取り上げられた2つのスタディの結果、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)が外科手術リスクの低い大動脈弁狭窄症患者に拡大された。1つ目のスタディでは、後遺症を伴う脳卒中または総死亡を合計した発現率が、TAVR を施行された低リスク患者において5.3% であったのに対し、外科的大動脈弁置換術(SAVR)では6.7% であった。もう1つのスタディPARTNER-3 では、TAVR は1年後の一次エンドポイントである死亡、脳卒中および再入院を46% と、有意に減少させた。このスタディ結果は同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。
二尖弁性大動脈弁狭窄に対する治療選択肢は開心術のみではない(ACC 2019, Abstract 19-LB-20683)
経カテーテル弁置換術は弁の解剖学的異常を有する患者において安全である [2019-03-26]
Transcatheter valve replacement safe in those with unusual valve anatomy

典型的な大動脈三尖弁を有する患者に比べ、大動脈二尖弁患者においては、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)施行後の死亡率は同等であるが、脳卒中の確率は高かった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。研究者らは大動脈二尖弁を有する患者2,691人と同人数の大動脈三尖弁患者を比較した。30日間および1年間の総死亡率は2群間で同等であった。このスタディは、大動脈弁狭窄症を来した大動脈二尖弁患者において、TAVRを施行することの正当性を裏付けるものである。

ベンペド酸は12週後のLDLコレステロールを低下させる(ACC 2019, Abstract 19-LB-20667)
CLEAR:スタチンへの追加治療は高リスク患者におけるLDLコレステロール降下のもう1つの選択肢である [2019-03-26]
CLEAR: Statin add-on may offer another option for reducing LDL in high risk patients

スタチンに加えベンペド酸を併用した心筋梗塞または脳卒中の高リスク患者は、12週後のLDLコレステロール値が有意に低かった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。12週の治療後、この治験薬を投与された患者のLDLコレステロール値は、プラセボ群に比べ17.4% 低かった。このコレステロール値低下は52週持続し、重篤な有害事象および筋肉関連副作用を含む有害事象に差はなかった。筆者らは、動脈硬化性心血管疾患の高リスク患者に対し、この薬剤が既存の治療への追加治療の選択肢となり得る、と述べている。

AFibとACSを有する患者に対するアスピリンを用いない2剤併用療法は最も安全である(ACC 2019, Abstract 19-LB-19653)
AUGUSTUS:AFibとACSを有する患者に対するアピキサバンとP2Y12阻害薬の併用は最も有効であり有害事象が最も少ない [2019-03-26]
AUGUSTUS: Apixaban plus P2Y12 inhibitor most effective with fewest adverse events for patients with both AFib and ACS

心筋梗塞、脳卒中および血栓のリスクが高く、アピキサバンとクロピドグレルなどの抗血小板薬で治療された患者は、ワルファリンなどの古いタイプの抗凝固薬を投与された患者に比べ、出血および入院のリスクが有意に低かった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。さらに、アスピリンを併用せずクロピドグレルを投与された患者は出血リスクが47% 低く、MI、脳卒中または血栓のイベントは増加しなかった。このスタディ結果は公表と同時にNew England Journal of Medicine オンライン版に掲載された。

生体吸収性エンベロープはデバイス関連感染症を減少させる(ACC 2019, Abstract 19-LB-20224)
WRAP-IT:抗菌性のエンベロープは心臓デバイス関連感染症のリスクを著明に低下させる [2019-03-26]
WRAP-IT: Antibiotic envelope markedly cuts risk of cardiac device-related infection

ペースメーカーや除細動器などの心臓デバイスを生体吸収性の抗菌性エンベロープで包むことにより、1年以内の重大なデバイス関連感染リスクが40% 減少し合併症は増加しない、とAmerican College of Cardiology's 68thAnnual Scientific Session で発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。25か国の患者計6,983人がWRAP-IT トライアルに参加した。この抗菌性エンベロープを挿入された患者のうち、25人(0.7%)が1年以内に重大なデバイス感染を発症したのに対し、コントロール群では42人(1.2%)であった。

ダパグリフロジンは駆出率の低下した患者に有益である(ACC 2019, Abstract 19-LB-20165)
DECLARE-TIMI 58:糖尿病治療薬は広範な心不全に対し有効である [2019-03-26]
DECLARE-TIMI 58: Diabetes drug effective against heart failure in wide spectrum of patients

糖尿病治療薬ダパグリフロジンの心血管系に対する有益性は広範な患者に認められ、特に駆出率の低下した患者において顕著である、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表され、同時にCirculation に掲載された。研究者らは、ダパグリフロジンが駆出率やスタディ開始時の心不全の有無に関係なく、全ての患者を通じて心不全による入院を減少させたことを明らかにした。しかし、この薬剤が心血管死亡率および総死亡率を有意に減少させたのは、駆出率の低下した患者においてのみであった。この結果はDECLARE-TIMI 58から得られたものである。

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