スタディの結果、若年成人期の外傷後ストレス障害と中年期の脳卒中リスクとの関連が示された [2019-10-29]
Study demonstrates link between trauma-induced stress disorders and risk of stroke in young and middle-age adults

心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患した若年成人は中年期までに一過性脳虚血発作(TIA)または重症脳卒中イベントを発現する可能性が高く、よく知られたリスクファクター以上にリスクを上昇させる、と Stroke に掲載された。イラクやアフガニスタンに従軍していた米国の退役軍人は、TIA 発症率が2倍高く、脳卒中発症率が62% 高かった。複数の脳卒中リスクファクター、併存する精神疾患、および薬物やアルコールの乱用で補正後、PTSD を有する退役軍人はPTSD を有さない退役軍人に比べ、TIA および脳卒中発症率がそれぞれ61% および36% 高かった。

頻繁な飲酒はむちゃ飲みよりも心房細動の強力なリスクファクターである [2019-10-29]
Frequent drinking is greater risk factor for atrial fibrillation than binge drinking

頻繁な少量飲酒は、むちゃ飲みよりも心房細動の発症率を上昇させるようである、と EP Europace に掲載された。週当たりの飲酒の回数は、年齢や性別に関係なく新規発症心房細動の最強のリスクファクターであった。週2回の飲酒(対照群)と比較し、毎日の飲酒はリスクが最大(ハザード比[HR]1.42)であり、週1回の飲酒はリスクが最小(HR0.933)であった。少量飲酒者と比較し、飲酒をしない者、中等度の飲酒者、または大量飲酒者のリスクはそれぞれ、8.6%、7.7%、および21.5% 上昇した。むちゃ飲みは新規発症心房細動とは明らかな相関を示さなかった。

エストロゲン曝露期間の延長および長期ホルモン療法の認知機能低下治療における恩恵 [2019-10-23]
Benefits of extended estrogen exposure and longer-term hormone therapy in treating cognitive decline

Menopause オンライン版に掲載された研究の結果、ホルモン療法による長期の生殖補助医療による認知面の有益性が示唆された。研究者らは閉経後女性2,000人超を12年間追跡し、エストロゲンと認知機能低下との関連を調査した。エストロゲン曝露期間が長いことは、認知機能状態が良好であることと関連があった。さらに、これらの有益な効果は、参加者の中で特に最高齢の女性群において、ホルモン療法を用いることにより拡大された。ホルモン療法を早くに開始した女性ほど、ホルモン療法開始が遅かった女性に比べ、認知機能検査の点数が高く、ホルモン療法に重要な意味をもつ期間についての仮説を支持している。

認知症における攻撃性および興奮は薬物を用いることなく良好に治療できる [2019-10-23]
Aggressive and agitated behaviors in dementia are better treated without medications

認知症患者の攻撃性や興奮を軽減するために、マッサージやタッチ療法などの非薬物療法は薬物療法よりも有効なようである、との系統的レビューおよびメタ解析の結果が Annals of Internal Medicine に掲載された。5つの評価項目において、集学的治療、マッサージおよびタッチ療法、音楽療法、音楽とマッサージおよびタッチ療法の併用、および認知刺激療法は、薬物療法に比べ臨床的に有効であった。サブグループ解析において、一部の薬物療法(デキストロメトルファン‐キニジンおよび大麻類)はプラセボまたは通常治療よりも有効であったが、一部の薬物療法の有害性は知られていることから、非薬物療法が優先されるべきである、と筆者らは述べている。

精神疾患発症に関して脳の発達における性別の違いによる影響 [2019-10-15]
Impact of gender-based differences in brain development on emergence of mental health disorders

海馬および扁桃体発達における性別の違いが明らかにされ、これにより性別が異なって影響するいくつかの精神疾患の生物学が説明できる可能性がある、と NeuroImage に掲載された。研究者らは、発達における最も顕著な男女差は、扁桃体の正中中心核群および海馬内のCA1 やCA2 の吻側-尾側端部−感情処理に最も重要と考えられる脳部位−にあることを明らかにした。扁桃体容積は若年小児期には男女とも同じ割合で発達するが、女性は13歳頃に増加が最も急激に低下するのに対し、男性ではそれが20歳後半であった。男性は女性に比べ、海馬容積が10代後半により速く増加した。

アルツハイマー病患者において抗精神病薬は累積在院日数の長さと関連がある [2019-10-15]
Antipsychotics linked to accumulation of hospital days in persons with Alzheimer's disease

抗精神病薬を使用するアルツハイマー病患者は、それを使用しないアルツハイマー病患者に比べ、累積在院日数が長い、と Journal of American Medical Directors Association に掲載された。2年間の追跡期間中、抗精神病薬内服を開始した患者は1人当たりの1年間在院日数が約11日長かった。在院日数の増加は認知症、精神および行動障害、呼吸器系や泌尿生殖器系疾患、心血管系疾患、さらに倦怠感などの多様な症状が原因であった。さらに、抗精神病薬を開始した患者は介護者の休暇による在院日数がより多かった。

日常の屋外大気汚染レベルと精神疾患症状増悪との関係 [2019-10-08]
Link between daily outdoor air pollution levels and increased symptoms of psychiatric disorders

Environmental Health Perspectives に掲載された研究の結果、環境大気汚染への短期間の曝露が、小児における精神疾患の1〜2日後の増悪(精神的な問題による救急外来の利用増加によって示される)に関連することが明らかにされた。また、恵まれない環境に居住する小児で、特に不安や自殺傾向を有する小児は、大気汚染の影響をより受けやすいことも明らかにされた。今回の研究およびその他の研究は、幼少期および小児期の大気汚染への曝露が、青年期のうつ病、不安、さらにその他の精神の健康問題の原因となる可能性がある、とのエビデンスの増加に寄与するものである。

非侵襲的神経刺激療法は前庭性片頭痛発作の治療に効果的である可能性がある [2019-10-08]
Non-invasive nerve stimulation may effectively treat vestibular migraine attacks

予備研究の結果、非侵襲的神経刺激療法は、現在承認された治療法のない前庭性片頭痛発作の治療として有望である可能性があることが示唆された。前庭性片頭痛発作が発現している際に、首に置いた手持ちの装置を通して電気刺激を与えた後、この発作を有する患者の14人中13人においてめまいが軽減した。2人はその後めまいが出現しなかった;5人はめまい症状が少なくとも50% 改善した。発作時に頭痛を有する5人全員において痛みが改善した。このスタディ結果はNeurology® オンライン版に掲載されている。

最年少就学児はメンタルヘルスの問題のリスクが高い可能性がある [2019-10-01]
Youngest children in school year could be at higher risk of mental health problems

最年少就学児は最年長就学児に比べうつ病リスクが30% 高い、と JAMA Pediatrics に掲載された。研究結果に基づくと、最高16歳までの就学期間において、四分位で最も若年の小児は最も高齢の小児に比べ、500人以上多くうつ病と診断されるであろうと予測された(2,200人対1,700人)。この結果はまた、四分位で最も若年の小児は注意欠如・多動症(4,700人対3,500人)、および学習障害(2,100人対1,600人)と診断されるリスクも同様に多い、との過去の研究結果に類似する。

特有の歩行パターンがアルツハイマー病とレビー小体型認知症のわずかな違いの合図である [2019-10-01]
Unique gait patterns signal subtle differences between Alzheimer's disease and Lewy body dementia

アルツハイマー病またはレビー小体型認知症の患者が特有の歩行パターンを有し、これが2つの疾患のわずかな違いの合図であることが初めて明らかにされた。Journal of the Alzheimer's Association に掲載されたこの研究は、レビー小体型認知症患者はアルツハイマー病患者に比べ、歩幅や一歩ごとの時間がまちまちであり、動くときに非対称であることが示された。これは、歩行を認知症の様々なサブタイプの臨床的バイオマーカーとして確立するための初めての重要な一歩であり、患者の治療計画の改善に結びつく可能性がある。