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睡眠薬はその他のリスクを予防する一方で認知症リスクを上昇させる [2019-07-30] |
Sleep medications increase dementia risk for some while protecting others |
Alzheimer's Association International Conference 2019 で報告された新たな研究の結果、頻回の睡眠薬使用は将来の認知機能障害リスクを上昇させる可能性があることが示された。1つ目のスタディにおいて、睡眠薬を"しばしば"または"ほとんどいつも"服用すると報告した参加者は、睡眠薬を"服用したことがないか稀に服用する"と報告した参加者に比べ、認知症を発症するリスクが43% 高かった。他のスタディにおいて、睡眠薬を使用する65歳超の男性は、アルツハイマー病を発症するリスクが3.6倍高かった。女性においては、このリスクは睡眠障害を経験したかしないかにより、異なった。 |
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アルツハイマー病患者はてんかん発作を経験する確率が高い [2019-07-30] |
People with Alzheimer's disease more likely to experience epileptic seizures |
アルツハイマー病を患う者は認知症を有さない者に比べ、てんかん発作を発現するリスクが最大6.5倍高い、とAlzheimer's Association International Conference 2019 で発表された。他のスタディの結果、活動性のてんかん罹患率はアルツハイマー病を有する患者において、有さない患者に比べ高いことが示された(1.51% vs. 0.35%)。アルツハイマー病患者は、てんかんの既往を有する確率が2倍高かった(3.14% vs. 1.57%)。てんかん既往歴は、認知機能障害発症年齢が若年であること(てんかん有り64.7歳、てんかんなし70.4歳)、より重症の記憶障害および日常生活スキル障害と関連があった。 |
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高齢者において軽度の感覚重複障害は認知症および認知機能低下と関連がある [2019-07-23] |
Mild multisensory impairment associated with dementia and cognitive decline in older adults |
Alzheimer's Association International Conference (AAIC) 2019 で報告された2つのスタディの結果、視力および聴力などの感覚重複障害を体験することは、高齢者において認知症発症リスクの上昇と関連することが示された。1つ目のスタディにおいて、視力または聴力の障害を有することにより、認知症発症リスクは11%、アルツハイマー病発症リスクは10% 上昇した。視力および聴力両者の障害を有すると、認知症発症リスクは86% 、そしてアルツハイマー病発症リスクは112% 上昇した(両者ともp≤0.01)。もう1つのスタディでは、感覚機能スコアの低い−つまり障害レベルが高い−参加者は、認知症および認知機能低下のリスクが有意に高かった(両者とも<0.001)。 |
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女性において賃金労働に従事することは人生後期の認知上の健康に強力な役割を果たす [2019-07-23] |
Participation in the paid labor force plays strong role in late-life cognitive health in women |
成人早期から中年までの間に賃金労働に従事した女性は、子供の有無にかかわらず、人生後期の記憶力低下速度が遅い、とAlzheimer's Association International Conference (AAIC) 2019で報告された。記憶力低下率は、賃金雇用に従事していない女性において最も速かった。賃金労働に従事している子持ちの既婚者に比べ、賃金労働に全く従事していない子持ちの既婚者は、60〜70歳にかけての平均記憶力の低下率が61% 速かった。長期にわたり賃金労働に従事していないシングルマザーは、60〜70歳にかけての平均記憶力の低下率が83% 速かった。 |
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前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法はアルツハイマー病および認知症リスクを上昇させる可能性がある [2019-07-16] |
Androgen deprivation therapy for prostate cancer may raise risk of Alzheimer's disease and dementia |
前立腺がん患者に対し、アンドロゲン除去療法(ADT)で治療することはアルツハイマー病または認知症と診断される可能性が高いことと関連がある、とJAMA Network Open に掲載された。このホルモン療法を施行された患者のうち、13% が後にアルツハイマー病と診断されたのに対し、ADT を施行されなかった患者におけるその割合は9% であった。認知症に関してはこの数が大きくなった:ADT を施行された患者では22% であり、ADT を施行されなかった患者では16% であった。この研究は、前立腺がん患者におけるホルモン療法と認知症リスクとの類似の関連を示した過去の小規模スタディに基づくものである。 |
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糖尿病患者において抗うつ薬は死亡を3分の1以上減少させる [2019-07-16] |
Antidepressants reduce deaths by more than a third in patients with diabetes |
糖尿病およびうつ病を有する患者において、抗うつ薬は死亡を3分の1以上減少させる、とJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism に掲載された。糖尿病およびうつ病はそれぞれが独立して総死亡上昇に寄与する。今回の大規模な地域住民をベースにしたスタディにおいて、台湾の研究者らは、2000年以降糖尿病およびうつ病と診断された患者53,412 人を同定した。13年後、治療が死亡率を著明に35% 減少させたことを示した。筆者らは、このデータが糖尿病患者のうつ病をスクリーニングし治療することの更なる理論的根拠を提供する、と示唆している。 |
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軽度認知障害患者において音刺激は熟睡を促進し記憶力を向上させる [2019-07-09] |
Sound stimulation boosts deep sleep and memory in patients with mild cognitive impairment |
アルツハイマー病のリスクを有する軽度認知障害の人々に対する、特定の時間に出される穏やかな音刺激は熟睡つまり徐波睡眠を増強させた、とAnnals of Clinical and Translational Neurology に掲載された。脳がこの音刺激に最も強く反応した者は、翌日の記憶応答が改善した。今回のスタディ対象は少人数(9人)であったが、熟睡がより促進されるほど記憶応答がより改善した。音刺激後に徐波活動が20% 以上増加した者は、翌朝の記憶力テストにおいて思い出す言葉が約2個多かった。 |
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血液悪性腫瘍を有する患者においてうつ病は一般的であり早期死亡と関連がある [2019-07-09] |
Depression is common and linked with early death in patients with hematological malignancies |
Psycho-Oncology に掲載されたスタディにおいて、リンパ腫や多発性骨髄腫と新たに診断された患者の3分の1が診断前後のうつ症状を報告し、うつ症状は生存期間がより短期であることと関連があった。生存期間が短期であることは、うつ症状が残存している患者およびうつ症状から回復した患者のいずれにおいても認められた。死亡リスクは、"うつ症状を全く経験しなかった"患者に比べ、"寛解"および"持続"群においてそれぞれ3倍および2倍高かった;しかし、"新規発症"群において死亡リスクは "うつ症状を全く経験しなかった"群に比べ顕著な差はなかった。 |
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小児脳腫瘍既往者は長期にわたる認知的および社会経済的負担を経験する可能性がある [2019-07-02] |
Survivors of childhood brain tumors may experience lasting cognitive and socioeconomic burdens |
幼少時に診断され放射線療法を受けた小児脳腫瘍既往者は、治療後数十年にわたり認知的および社会経済的負担を経験する可能性がある、とCANCER に掲載された。脳腫瘍既往者の診断時年齢中央値は8歳であり、評価時年齢中央値40歳であった。全体的に、手術および放射線療法で治療された既往者の推定IQスコアは、手術のみで治療された既往者に比べ低く、手術のみで治療された既往者は彼らの兄弟姉妹よりもスコアが低かった。既往者−特に手術および放射線療法で治療された者−は教育水準が低く、低所得、兄弟姉妹よりも職業威信が低かった。このような長期の影響を軽減するために、介入が必要であろう。 |
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心筋梗塞および狭心症後に、長期にわたり認知機能低下が加速する可能性がある [2019-07-02] |
Long-term cognitive decline may accelerate after myocardial infarction and angina |
冠動脈疾患(CHD)患者は長期わたり認知機能低下が加速するリスクが高い、とJournal of the American College of Cardiology に掲載された。12年の追跡期間中、CHD を有する患者は認知機能を評価する3つの検査全てにおいて、認知機能低下が速かった。狭心症と診断された患者は時間見当識が確かに低下し、一方、心筋梗塞患者は言語記憶および意味流暢性における著明な認知機能低下を有し、全般的な認知機能低下において不良であった。研究者らは、CHD は脳の酸素不足により認知機能低下を助長する可能性がある、と述べている。 |
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