降圧薬はアルツハイマー病患者にとって有望である
心房細動と認知症との関連
LDL コレステロール高値は早期発症アルツハイマー病と関連がある
孤独が服薬コンプライアンスを予測する(Heart Failure 2019, Abstract P1186)

6月11日、18日のDOL NewsはASCO特集のため、Psychiatryニュースは
お休みさせていただきました。

アルツハイマー病患者において知られている脳血流低下はニルバジピンにより回復する可能性がある [2019-06-25]
The known decrease in cerebral blood flow in patients with Alzheimer's can be reversed with nilvadipine

アルツハイマー病患者においてカルシウムチャネル遮断薬であるニルバジピンは、脳の他領域に影響することなく、脳の記憶および学習の中核への血流を増加させた、とHypertension に掲載された。研究者らは、軽度から中等度のアルツハイマー病患者44人を、ニルバジピンまたはプラセボを6か月間内服する群にランダムに割り付けた。海馬への血流は、ニルバジピン群でプラセボ群に比べ20% 増加した。脳の他領域への血流は両群とも不変であった。この脳血流増加の脳構造や認知機能に対する影響について、信頼性をもって評価するには今回のスタディは検体数が小さく期間が短すぎた。

スタディにより心房細動と認知症リスクが脳卒中を発症していない患者においても関連付けられた [2019-06-25]
Study links atrial fibrillation to increased risk of dementia, even in stroke-free patients

高齢者を調査したこの最大規模のスタディによると、心房細動(AF)は、脳卒中を発症していない患者においても、認知症リスク上昇と関連がある。European Heart Journal に掲載されたこのスタディは、AF発症患者はAF非発症者に比べ、認知症発症リスクが50% 高いことを明らかにした。経口抗凝固薬内服AF患者が将来的に認知症を発症するリスクは、非内服患者に比べ40% 低かった。AFはまたアルツハイマー病リスクを30% 上昇させ、血管性認知症のリスクを倍にした。

早期発症アルツハイマー病とLDL コレステロール高値との関連が認められた [2019-06-04]
Connection found between early-onset Alzheimer's disease and high LDL cholesterol

LDL コレステロール高値と早期発症アルツハイマー病との関連が明らかにされた、とJAMA Neurology に掲載された。LDL コレステロール高値の参加者は、低値の参加者に比べ早期発症アルツハイマー病を有する率が高かった。これはAPOE 変異症例を考慮し補正しても認められ、問題のあるAPOE 遺伝子多様体の有無にかかわらず、コレステロールがアルツハイマー病の独立したリスクファクターであり得ることを意味している。HDL コレステロール高値と早期発症アルツハイマー病に関連は認められず、中性脂肪値とはわずかな関連が認められたのみであった。

孤独な心不全患者は治療勧告に従う確率が最も低い [2019-06-04]
Lonely patients with heart failure least likely to follow treatment recommendations

塩分および水分制限、毎日の体重測定、さらに身体活動に関するアドバイスに従う心不全患者は10% に満たず、患者がアドバイスを取り入れるか否かを予測する最も重要な因子は孤独である、とHeart Failure 2019 で発表された。これらすべての生活習慣に関するアドバイスを取り入れたのは、10人に1人もいなかった。女性は男性に比べコンプライアンス率が低く、65歳超の患者は若年患者に比べスコアが低かった。多変量解析の結果、孤独、併存疾患の多さ、および身体制限の多い心不全が、これら4つの勧告に対するノンコンプライアンスの独立した予測因子であった。