脳と腸幹細胞との相関消失は不安や認知機能障害に影響する可能性がある [2019-04-23]
Loss of link between brain and gut stem cells may contribute to anxiety and cognitive disorders

Stem Cell Reports に掲載された論文によると、脳内および腸の幹細胞の維持に必須であり、それが消失すると不安や認知機能障害および消化管疾患の原因となる新たな因子が同定された。マウスモデルの腸において、インスリン様増殖因子II遺伝子が急速に消失することにより、腸管粘膜を補充する循環の速い幹細胞が急速に消失し、体重減少や死亡に繋がった。さらに、神経幹細胞を保有する脳の2つの領域の幹細胞の半分が失われると、学習および記憶の障害、不安増大や嗅覚喪失が引き起こされた。

体脂肪率と脳の形態との明確な関連が明らかにされた [2019-04-23]
Clear associations found between body fat percentage and brain morphology

洗練されたMRI 技術を用いることにより、体脂肪レベルが高いことは灰白質容積の縮小など、脳の形状および構造の違いと関連することが明らかにされた、とRadiology に掲載された。男性において、総体脂肪率が高いことは灰白質全体、特に報酬回路や運動機能に関連する構造の容積が小さいことと関連があった。女性においては、総体脂肪は随意運動に関連する淡蒼球においてのみ、有意な負の相関が認められた。これらの結果は、肥満と認知症などの好ましくない健康状態との関連に関する我々の理解に重要な情報を追加するものである。

網膜毛細血管減少の所見は早期アルツハイマー病診断の新たな手法となる可能性がある [2019-04-16]
Finding reduced capillaries in the retina may be new way to diagnose early Alzheimer's disease

眼球の奥にある毛細血管の減少は、早期認知機能障害を診断する新たな、かつ非侵襲的な方法である可能性がある、とPLOS ONE に掲載された。研究者らは、造影やMRI検査を必要としない赤外線カメラを用いて、ヒトの目の血管の変化を非侵襲的に検出した。彼らは、認知機能検査で認知機能低下に合致する参加者32人を登録し、認知機能の正常な対象とマッチさせた。全ての参加者は、OCT血管造影で目の画像検査を受けた。解析において、認知機能障害を有する患者において血管の変化が認められたが、コントロールにおいては認められなかった。網膜の所見が他の脳のバイオマーカーと関連するかどうかを見極める、さらなる研究が計画されている。

アミロイドPET画像を用いることにより認知症患者の臨床的管理が改善する [2019-04-16]
Use of amyloid PET imaging improves clinical management of patients with dementia

アミロイドPET画像は軽度認知障害および認知症の患者の臨床的管理に有意に影響した、とJAMA に掲載された。臨床医にアミロイドPET画像の結果を提供することにより、3分の2近い症例において医学的管理が変更された。軽度認知障害を有し、脳画像上有意なアミロイド沈着の存在が示された参加者において、臨床医がPET画像診断後にアルツハイマー治療薬を処方する率は2倍になった(診断前40% に対し診断後82%)。PET画像上、有意なアミロイドの蓄積を有する認知症患者において、これらの薬物の処方は63% から91% に増加した。

INFINITY:高齢者においてより積極的な降圧治療は脳機能を維持するのに役立つ可能性がある [2019-04-09]
INFINITY: More aggressive hypertension treatment could help preserve brain function in elderly

高血圧を有する高齢者で3年間にわたり薬物投与を受け、24時間の収縮期血圧を130 mmHgに維持した者は、収縮期血圧を145 mmHg程度に維持した者に比べ、有害な脳病変の蓄積が有意に少なかった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。しかし、核磁気共鳴画像検査(MRI)において明るい白い斑点として見えるこの脳病変の減少は、可動性および認知機能の有意な改善を示すわけではなかった。そのような有益性が明らかになるには3年間は短すぎる可能性がある、と研究者らは述べている。

2つの稀な遺伝子バリアントとアルツハイマー病とが初めて関連付けられた [2019-04-09]
Researchers implicate two rare genetic variants with Alzheimer's disease for the first time

アルツハイマー病(AD)と関連する非常に稀な2つの遺伝子バリアントが同定された、とJAMA Network Open に掲載された。1つはNOTCH3遺伝子に、もう1つはTREM2 遺伝子にあるこれらのバリアントは、AD患者に認められたがコントロール群に認められた者はいなかった。研究者らによると、過去の大規模な遺伝子研究において、NOTCH3 バリアントはADとは関連付けられていなかったが、この遺伝子におけるその他の変異は、若年期に重度の頭痛と脳卒中から始まりその後中年期に認知症を発症するCADASILと呼ばれる、非常に稀な型の認知症を引き起こすことが示された。