大麻を使用する10代の少年少女はうつ病の発症および自殺関連行動のリスクが高い [2019-02-26]
Teens who use cannabis at higher risk of developing depression and exhibiting suicidal behavior

大麻を使用する10代の少年少女は、非使用の者に比べ、若年成人期におけるうつ病の発症および自殺関連行動のリスクが高い、とJAMA Psychiatry に掲載された。研究者らは、計23,317人を対象とした11のスタディのシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。不安症のリスクは統計学的に有意ではなかったが、毎日〜毎週の大麻使用は自殺企図の高リスクであり、うつ病発症の低〜中等度リスクであった。早期の大麻使用は、うつ病の若年成人の約7% と関連している、と推定される。

退役軍人においてPTSD単独では心血管疾患発症との関連が説明できない [2019-02-26]
No single comorbid condition explains association between PTSD and incident cardiovascular disease in veterans

心的外傷後ストレス障害(PTSD)を有する退役軍人において、PTSDそのものでは心血管疾患リスク上昇は説明できない、とJournal of the American Heart Association に掲載された。PTSDと診断された退役軍人は、PTSDを有さない退役軍人に比べ、循環器疾患および心疾患を発症する確率が41% 高かった。喫煙、うつ病、他の不安障害、睡眠障害、2型糖尿病、肥満、高血圧、およびコレステロールはPTSDを有する者において有さない者よりも、有意に多かった。しかし、この関連性を単独で説明できるものはなかった。その代わりに筆者らは、身体疾患、精神疾患および喫煙によりこの関連性が説明できる、と推測している。

運動中に分泌されるホルモンは記憶力を改善し認知機能低下を予防するようである [2019-02-19]
Hormone released during physical activity appears to improve memory and protect against cognitive decline

運動によりイリシンというホルモンが産生され、それが記憶力を改善しアルツハイマー病を予防する可能性がある、とNature Medicine に掲載された。この研究により、運動中に血中に放出されるイリシンが、学習や記憶において重要な領域である脳の海馬における神経細胞を増殖させる可能性があることが示された。脳バンクの組織検体を用いて、研究者らはイリシンがヒトの海馬に存在し、このホルモンの海馬におけるレベルがアルツハイマー病患者において低下していることを明らかにした。健康なマウスにおいてイリシンが無効であると、シナプスおよび記憶能が弱まる。同様に、脳内のイリシンレベルを押し上げることにより、脳の健康尺度が改善した。

スタディの結果、教育の認知症に対する予防効果を示した過去の研究が否定される [2019-02-19]
Study contradicts previous research that showed protective effect of education against dementia

過去のスタディの結果、高レベルの学歴を有することはある程度認知症から脳を防御することが示唆され、認知症を減らす"認知予備能"を提供していることが示唆された。しかし結果は様々であり、Neurology® オンライン版に掲載された新たなスタディの結果、教育は認知症が発症する時期や進行速度には影響しないことが示された。高レベルの学歴を有することと、正式な教育が終了して数十年が経過したスタディ開始時に、思考力や記憶力が優れていることとには相関が認められた。しかし高学歴と認知機能低下が遅いことには相関がなかった。

運動は認知症発症を遅らせるような脳血流への影響を及ぼす可能性がある [2019-02-12]
Exercise can impact blood flow to the brain in a way that postpones the onset of dementia

高齢者において運動は脳血流を変化させ認知機能を向上させるが、一般的に考えられているのとは異なる機序によるものかもしれない。Journal of Alzheimer's Disease に掲載された新たなスタディの結果、軽度認知障害(MCI)と診断され脳の重要な領域の血流が低下している成人群において、運動が脳機能改善と関連のあることが示された。特に、MCI患者のうち左島皮質および左前帯状皮質の脳血流が減少している者は、記憶能や認知上の健康状態を計測するのに用いられる、単語完成課題の成績向上と強力に相関した。

血液凝固タンパク質が脳内記憶保存領域を破壊し認知機能低下に繋がる [2019-02-12]
Blood clotting protein destroys memory storage sites in brain resulting in cognitive decline

フィブリノゲンが脳内のニューロン間の結合を破壊し得る分子および細胞の一連のイベント、および認知機能低下の原因であることが発見された、とNeuron に掲載された。研究者らは最先端の画像技術を用いて、マウスおよびアルツハイマー病患者から得たヒトの脳を調査した。彼らはまた、初めての三次元容積画像を作成し、アルツハイマー病において血液脳関門漏出が起こっていることも示した。フィブリノゲンが血液から脳内へ漏出した後に、フィブリノゲンが脳の免疫細胞を活性化し、ニューロン間の重要なシナプスを破壊させるきっかけとなっていることも明らかにした。

SPRINT MIND:臨床試験により脳と血管の健康を関連付けるニュアンスがあるエビデンスが加わった [2019-02-05]
SPRINT MIND: Clinical trial adds nuanced evidence linking brain and vascular health

積極的な降圧は認知症リスクを有意に軽減しないが、軽度認知障害(MCI)に対しある程度の影響を及ぼす、との SPRINT MIND トライアルの最終結果が JAMA に掲載された。この解析の一次結果では、標準治療と積極的治療とで、認知症と診断された参加者の割合に統計学的有意差は認めなかった。しかし、この研究では予想したよりも認知症症例数が少なく、それはおそらくこのトライアルが早期に終了したことによるものであった。しかしながら、二次結果からは、積極的治療により MCI および MCI と認知症の合計のリスクが低下することが示唆された。

飽食ホルモンが高レベルであるとアルツハイマー病発症リスクが低下する可能性がある [2019-02-05]
High levels of a satiety hormone could decrease a person's risk of developing Alzheimer's disease

飽食ホルモンコレシストキニン(CCK)が高レベルの人は、軽度認知障害またはアルツハイマー病を発症する確率が65% 低下する、と Neurobiology of Aging にアクセプトされた。CCKは小腸および脳のいずれにおいても認められる。小腸において、CCKは脂肪および蛋白質の吸収を促す。脳において、CCK は記憶形成部位である海馬に存在する。研究者らはまたp-tau およびtau 蛋白質についても観察し、その結果tauレベルが上昇するとCCKはもはや記憶力低下が軽度であることと関連がなくなることを示した。