パートナーのことを考えることでストレスを軽減し血圧を良好にコントロールする可能性がある [2019-01-29]
Thinking about a partner reduces stress and may keep blood pressure under control

ストレスフルな状況に直面した時に恋愛パートナーのことを考えることは、実際にその特定の人が同じ部屋にいるのと同じように血圧を良好にコントロールするのに役立つ可能性がある、とPsychophysiology に掲載された。スタディにおいて、参加者102人がストレスフルな課題(片足を冷水に入れる)を行うように指示された。パートナーが物理的に部屋の中に居るかまたはパートナーのことを考えた者は、その日のことを考えるように指示されたコントロール群に比べ、ストレスに対する血圧反応が低かった。心拍数および心拍変動は、群間で差はなかった。

血中蛋白レベルが症状出現のかなり前に将来的な認知機能低下を予測する [2019-01-29]
Protein blood levels predict eventual cognitive decline long before symptoms occur

アルツハイマー病発症に向かっている人々において、混乱や記憶障害の症状を示すかなり前に簡便な血液検査により脳損傷の徴候が確実に検出できる、とNature Medicine に掲載された。この検査は、神経細胞の内部骨格の一部を形成する構造タンパク質であるニューロフィラメント軽鎖を検出する。脳脊髄液内のこの蛋白レベルが高いことは、脳細胞の一部が損傷されていることの強力なエビデンスとなる。この検査は将来、多発性硬化症、外傷性脳損傷または脳卒中などの他の脳疾患における神経変性を同定するのに適用される可能性がある。

胎児期の抗てんかん薬への曝露は小児のADHDリスクを上昇させる [2019-01-22]
Prenatal exposure to antiepileptic drug increases risk of ADHD in children

胎児期の抗てんかん薬バルプロ酸ナトリウムへの曝露は小児の注意欠如・多動性障害(ADHD)のリスクを上昇させる、とJAMA Network Open に掲載された。デンマークの小児913,000人超がこの観察研究に組み入れられた。合計で580人の小児が妊娠中にバルプロ酸ナトリウムに曝露されていた(妊娠中に母親が薬物療法として1回以上の処方を受けていたことで定義)ことが明らかにされた。このうち、8.4% がADHD を有していたのに対し、バルプロ酸ナトリウムに曝露されなかった小児におけるADHD の割合は3.2% であった。このスタディで使用されたその他の抗てんかん薬とADHD には、関連がなかった。

脳機能と社会的行動との関連は従来の診断カテゴリーとは関連しない [2019-01-22]
Relationship between brain function and social behavior not related to conventional diagnostic categories

American Journal of Psychiatry に掲載された新たな多施設脳画像スタディの結果、社会的交流能力を反映する課題である、顔で感情を装う際の脳の使い方が、サブグループで異なることが示された。興味深いことに、統合失調症を有する者は精神疾患を有さない者と社会的脳機能は分類上異なっていなかったが、異なるタイプの治療に反応する可能性のある他のサブグループに分類された。今回のスタディにおいて、脳機能と社会的行動との関連はDSM-5 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders) における従来の診断カテゴリーと何も関係がなかった。これらの結果は、メンタルヘルスにおける多くの一般的な研究法に対する疑問を投げかけている。

うつ病、PTSDおよび不安はREM睡眠行動障害のリスクファクターのようである [2019-01-15]
Depression, PTSD and anxiety appear to be risk factors for REM sleep behavior disorder

うつ病に対し抗うつ薬を内服していること、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を有していること、あるいは不安症と医師から診断されていることは、急速眼球運動(REM)を伴う睡眠行動障害と呼ばれる破壊的なおよび時に暴力的な睡眠障害のリスクファクターである、と Neurology® オンライン版に掲載された。この障害を有する者は、うつ病治療目的で抗うつ薬を内服している確率が2.5倍高く、PTSD を有する確率も2.5倍高かった。また、精神疾患を有する確率が2倍高く、心理的苦痛を有する確率が1.5倍高かった。男性は、REM睡眠行動障害を有する確率が女性の2倍高かった。

認知機能障害リスクは進行性脳小血管病を伴う高血圧患者において高い [2019-01-15]
Risk of cognitive impairment increased in hypertensive patients with progressive cerebral small vessel disease

高血圧および脳室周囲白質高信号域の進行を有する患者は、降圧薬を内服しているにもかかわらず認知機能障害の徴候を示した、と Hypertension に掲載された。高血圧は認知症のリスクを上昇させることが知られているが、認知機能に影響するどのような種類の微小な負の変化が脳内に起こっているかは、明らかではない。今回の4年間のスタディの間に、高血圧患者(年齢中央値65歳)の9% が軽度認知障害を発症した。また、MRI において脳室周囲白質異常の進行を有する患者は、軽度認知障害のリスクが6倍高いことも明らかにされた。

早期アルツハイマー病に関連する脳細胞内の機能的な変化が発見された [2019-01-08]
New functional changes in brain cells found related to early Alzheimer's disease

あるタイプの脳細胞の機能的変化と、アルツハイマー病早期段階に発現するアルツハイマー病関連リン酸化タウタンパク質蓄積との関連が示された。研究者らは、マルチオミクスアプローチを用いてRNA、タンパク質、およびリン酸化レベルを判定し、それらに対しさらにニューロバイオインフォマティックス解析を行った。また、選択された遺伝子群の発現変化を観察するだけで、患者を異なる病期に分類するために機械学習を用いることができることも示した。脳組織検体に関するフィンランドバイオバンクから得られたデータを利用したこの結果は、Neurobiology of Disease に掲載された。

新たな検査はアルツハイマー病およびCTEに対する早期診断とよりよい治療を導く可能性がある [2019-01-08]
New test could lead to early diagnosis and better treatment for Alzheimer's disease and CTE

アルツハイマー病、およびアスリート、退役軍人、繰り返しの脳外傷歴を有する者にみられる慢性外傷性脳症(CTE)に伴う破壊されたタンパク質を検出する、超高感度検査が開発された。この検査は、アルツハイマー病 Real-Time Quaking Induced Conversion (AD RT-QuIC) と呼ばれる。臨床現場において、孤発性Creutzfeldt-Jakob病やその他のプリオン病の診断に既に用いられているこの検査は、その迅速で正確な結果で注目されている。Acta Neuropathologica に掲載されたこの研究によると、この進歩がこれらの疾患の早期診断に繋がり、その発症機序に関する新たな研究を導く可能性がある。