運動耐容能は小児白血病既往者の認知面の健康に影響する可能性がある [2019-10-29]
Exercise capacity may affect cognitive health of survivors of childhood leukemia

急性リンパ芽球性白血病既往者における運動耐容能低下と神経認知的問題との関連が CANCER 早期オンライン版に掲載された。コントロールに比べ、既往者は心肺持久力が低く、注意力、記憶力、および学力などの神経心理学的検査の結果が不良であった。年齢、性別、放射線治療および化学療法、喫煙の有無、そして身体活動で補正後、運動耐容能の向上は、既往者の様々な神経心理学的検査の結果が良好であることと関連していた。1日30分のウォーキングなどの運動耐容能の小さな改善が、白血病既往者の知的健康度に顕著な影響を及ぼし得る、と筆者らは述べている。

スタディの結果、がん疼痛に対処する時は心理症状を早期に評価する必要性が強調された [2019-10-29]
Study emphasizes need to evaluate psychological symptoms early when addressing cancer pain

重度の不安や抑うつを訴えるがん患者は、がんによる疼痛をより強く感じる、と2019 Supportive Care in Oncology Symposium で発表された。人種、低所得、腫瘍部位、および進行がんなどの患者特性は、疼痛強度の予測因子であった。さらに、不安、抑うつ、およびソーシャルサポートは疼痛強度に影響する有意な因子であった;これらの関連は患者特性で補正しても、依然として認められた。診断1年後に苦痛のスクリーニングを行った結果、不安や抑うつの疼痛に対する影響は、受けているソーシャルサポートのレベルにより差があった。

高気圧酸素治療は遅発性の放射線性膀胱炎の自己申告による症状を軽減する [2019-10-23]
Hyperbaric oxygen therapy relieves self-reported symptoms of late radiation cystitis

高気圧酸素治療(HBOT)は、骨盤領域のがんに対する放射線療法の自己申告による症状および副作用を緩和する可能性がある、と Lancet Oncology に掲載された。これは、高気圧酸素治療と標準治療とを比較した、初めてのランダム化コントロールスタディである。高気圧酸素治療を30〜40回行った結果、多くの患者は出血、失禁、および疼痛が軽減した。高気圧酸素治療群において、3人に2人が回復したと感じ、一部の症例では全ての症状が消失した。コントロール群を含む他の患者においては、大きな変化は認めなかった。

モノクローナル抗体治療と導入化学療法の併用は高リスク神経芽腫の予後改善において有望である [2019-10-23]
Monoclonal antibody treatment combined with induction chemotherapy yields promising outcomes in high-risk neuroblastoma

治験薬抗GD2 モノクローナル抗体と導入化学療法の併用は、新たに高リスク神経芽腫と診断された小児患者の2年無イベント生存率において有望である、との第II相試験の結果が Clinical Cancer Research に掲載された。研究者らは、dinutuximab と同じエピトープに結合するがアレルギー反応を軽減するようにヒト化され、疼痛を軽減するように修正され、抗体依存性細胞介在性傷害が増強した抗GD2抗体、hu14.18K322A を用いた。2年無イベント率はhu14.18K322A 群で85.7% であったのに対し、導入化学療法中に抗GD2 抗体を投与されなかった従来通りのコントロール群では50% であった。

女性のQOLに対しホルモン療法は化学療法よりも大きな影響を及ぼす [2019-10-15]
Hormone therapy has bigger impact than chemotherapy on women's quality of life

一般的に考えられているのとは逆に、乳がんに対するホルモン療法は化学療法よりも広範かつ長期にわたりQOL を悪化させる、とのCANTO コホートの解析結果が Annals of Oncology に掲載された。調査対象全体において、診断から2年後のQOL は全体的に低下していた。この低下度は、特に閉経後にホルモン療法を受けた患者において大であった。対照的に、化学療法は閉経前女性において、特に認知機能悪化に関して、QOL に大きな影響を及ぼした。

運動をするがん患者は化学療法による心血管系へのダメージが少ない [2019-10-15]
Cancer patients who exercise have less cardiovascular damage from chemotherapy

がん患者は心臓を保護するために個別の運動処方を受けるべきである、との論文が European Journal of Preventive Cardiology に掲載された。この研究は、病歴、がん治療、運動の奏効度、さらに好みを考慮に入れた、個々の患者に対する個別の運動計画の重要性を強調している。心血管系の機能を改善し炎症を軽減するには持久力トレーニングが有効であるが、虚弱ながん患者には筋力トレーニングから始めるのがより良いだろう、と筆者らは述べている。がん治療の心血管系に対する悪影響を軽減することに加え、運動は嘔気や倦怠感などの症状を緩和し、望ましくない体重変化の予防にも役立つ。

卵巣がんに対する維持療法としてベバシズマブにオラパリブを併用することにより無増悪生存期間が延長する [2019-10-08]
Prolonged progression free survival with olaparib added to bevacizumab as maintenance therapy for ovarian cancer

ESMO Congress 2019 で発表された新たなデータから、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず全体集団において、ベバシズマブにPARP 阻害薬オラパリブを併用する卵巣がんに対するより強化した維持療法の有益性が示された。PAOLA-1/ENGOT-ov25 試験のレイトブレイキング結果によると、無増悪生存期間中央値はオラパリブ群で22.1か月、プラセボ群で16.6か月であった(ハザード比0.59、p<0.0001)。事前に規定されたサブグループ解析において、プラセボに対するオラパリブの無増悪生存期間に関する有益性は、BRCA 遺伝子変異を有する患者、相同組み換え修復不全を有する患者でより顕著であり、ハザード比はそれぞれ0.31および0.33であった。

化学療法に免疫療法を併用することにより膀胱がんにおける無増悪生存期間が延長する [2019-10-08]
Adding immunotherapy to chemotherapy prolongs progression free survival in bladder cancer

転移性尿路上皮がん患者は、化学療法単独の代わりにファーストラインである免疫療法と化学療法で治療することにより無増悪生存期間が延長する、とのIMvigor130 試験のレイトブレイキング結果が ESMO Congress 2019 で発表された。化学療法単独に比べ、化学療法とatezolizumab の併用は、転移性腫瘍の無増悪期間中央値を2か月延長した。この併用療法を受けた患者は、増悪の確率が18% 低かった。全生存期間に関する中間解析は、併用療法による改善傾向を示したが、統計学的に有意ではなかった。PD-L1 過剰発現を有する患者において、atezolizumab 単独で治療された者は化学療法で治療された者に比べ生存期間が延長する傾向にあった。

放射線誘発性脳神経障害は頭頸部がん治療から最長10年後に発現した [2019-10-01]
Radiation-induced cranial neuropathy occurred up to 10 years after head and neck cancer treatment

頭頸部がん既往者は治療後10年も経過した後に放射線誘発性脳神経障害を経験する可能性がある、と Oral Oncology に掲載された。調査された患者112人中、14% が少なくとも1つの脳神経障害を発現した。脳神経障害発現までの期間中央値は7年以上であり、一部の患者は10年以上後に脳神経障害を発現した。これらの障害は、画像または生検で器質的あるいは悪性疾患が原因であることが示されない場合、放射線誘発性が原因と考えられた。筆者らは、これらの患者は生涯にわたりフォローされるべきである、と述べている。

授業形式の基本的な睡眠教育によりがん既往者の慢性不眠症を治療することができる [2019-10-01]
Chronic insomnia can be cured in cancer survivors with a basic sleep education class

がん既往者に対する睡眠教育プログラムの1回の講義で多くの参加者の不眠症を治療することができる、と Cancer オンライン版に掲載された。この結果は、中等度から重度の不眠症を有するがん既往者51人が参加した試験に基づいている。1回の睡眠教育プログラムに参加した後、41% の参加者が不眠症の治療に成功したと認識した。依然として不眠症の者のうち、14人は次の段階のプログラムに参加した。このプログラムは、研究者らがその有効性を過去に示した、不眠に対する認知行動療法を用いた3部から成っていた。このグループのうち、71% がこのプログラム終了後に不眠症が解決した。