遺伝子組み換えタンパク質は化学療法を向上させる
治療抵抗性細胞内の新たな標的が膠芽腫の再発を止める可能性がある

9月10日、17日、24日のDOL NewsはESC特集のため、Oncologyニュースは
お休みさせていただきました。

大腸がん細胞内のPD-L1タンパク質発現を増加させることは化学療法の奏効率を改善する [2019-09-03]
Increasing the expression of the PD-L1 protein in colorectal cancer cells improves effectiveness of chemotherapy

がん細胞内の免疫調節タンパク質を遺伝子組み換えし、細胞の化学療法への感受性を高めることにより大腸がんの予後が改善する可能性がある、とOncogene に掲載された。このスタディの結果、腫瘍細胞のPD-L1 発現が増加することは、ステージ3およびステージ4のがん患者の標準治療である化学療法を受けたと思われる患者の予後が良いことと関連があった。今後の研究で実証されれば、今回の結果は、PD-L1 ががん治療への奏効率を予測するバイオマーカーとなり得、より広範な役割を果たすことや、PD-L1 発現を増強させることによりこの悪性疾患の治療転帰が改善する可能性があることを示唆している。

膠芽腫幹細胞の体内時計を標的にすることによる活性化を抑制 [2019-09-03]
Targeting the biological clocks of glioblastoma stem cells to disrupt their activity

膠芽腫治療の新たな標的となる可能性のあるものが発見された、とCancer Discovery に掲載された。この標的は腫瘍幹細胞内で明らかになった概日"時計"で、腫瘍がどのように増殖、増大し、現在の治療に抵抗性を発現するかを決定する。研究者らは、幹細胞の概日時計内のタンパク質を標的とする低分子薬を用いて、細胞の活性化を抑制した。強化された代謝は弱められ、細胞は即座に死滅した。次に、膠芽腫の動物モデルに対し低分子薬を試し、その結果、動物モデルの生存期間は延長し腫瘍は退縮したことを明らかにした。今回の研究は、これを膠芽腫の新たな治療として探求する基礎となる。