DNA 修復遺伝子における遺伝子欠損の検査によりPSMA 標的治療が奏効する患者が同定できる [2019-07-30]
Testing for genetic faults in DNA repair genes identifies men who will respond to PSMA-targeted treatment

DNA 修復における遺伝子的弱点を検査することにより、新規標的内用療法の恩恵を受ける可能性のある前立腺がん患者を同定することができる、とEuropean Urology に掲載された。この治療の標的である前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、一部の患者においてその他の患者に比べ、がん細胞表面に高レベルで存在していた。PSMA レベルは同一の患者においても、がんの部位により大幅な差異があった。しかし重要なことに、がん細胞表面のPSMA 量は、DNA 修復遺伝子も欠損している腫瘍において4倍以上多かった。

包括的な代謝物プロファイリングが、がん治療関連心毒性リスク患者を同定するのに役立つ可能性がある [2019-07-30]
Comprehensive metabolite profiling may help identify patients at risk for cancer treatment-related cardiotoxicity

Journal of Cardiovascular Translational Research に掲載されたスタディの結果、後に心機能障害を発症した患者はそうでない患者に比べ、ミトコンドリアと関連のある代謝物が違った変化をすることが明らかにされた。特に、心毒性を発症しなかった患者ではクエン酸レベルが時間とともに上昇したが、心毒性を発現した患者ではそれが変化しないか減少した。筆者らは、クエン酸や関連代謝物を増加させる能力が防御反応であり、それが心毒性を発症した患者では欠如しているかまたは減少している可能性がある、と示唆している。またDNAの分解産物の変化も認められ、これにより2群の患者が鑑別できた。

国際スタディにおいて、たこつぼ型心筋症患者6人に1人はがんも有していた [2019-07-23]
1 in 6 people with takotsubo syndrome also had cancer in international study

"ブロークンハート症候群"とも呼ばれるたこつぼ型心筋症の6人に1人はがんを有しており、これらの患者は発症してから5年生存する確率が他の人よりも低い、とJournal of the American Heart Association に掲載された。がんを有さない者に比べ、がんを有する者はこの疾患を感情的なきっかけで発症する確率が低く(18.0% vs. 30.3%)身体的なきっかけ(医学的介入または身体的外傷)で発症する確率が高かった(47.9% vs. 34.2%)。最も頻度の高い悪性腫瘍は乳がんであり、続いて消化器系がん、呼吸器、内性器、皮膚および他の領域の順であった。

簡便な血液検査により肺がんのサブタイプを鑑別し疾患の病期を同定できる [2019-07-23]
Simple blood test discriminates between lung cancer subtypes and identifies stage of disease

非小細胞肺がん患者の血液検体および腫瘍組織を調査することにより、肺の扁平上皮がんと腺がんを鑑別し肺がんの病期を見極めることのできるマーカーが同定された。この概念実証試験では、研究者らが調査した血液検体が、肺がん手術後の生存期間が短い患者のものか長い患者のものか、早期がん患者を含み正確に予測した。今回の知見は、個々の肺がん患者が標準治療により有益性が得られるか、またはより積極的な治療が必要かを医師が最終的に判断するのに役立つ可能性がある。このスタディはScientific Reports オープンアクセスに掲載されている。

BEACON CRC:3剤併用療法はBRAF変異型転移性大腸がんの生存期間を改善する [2019-07-16]
BEACON CRC: Triple-targeted therapy improves survival for patients with BRAF-mutated metastatic colorectal cancer

Encorafenib、binimetinib およびセツキシマブの3剤併用療法は、BRAF 変異型転移性大腸がん(mCRC)の全生存期間(OS)を有意に改善した、とのBEACON CRC 第III相臨床試験の結果が ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019 で発表された。この併用療法によるOS中央値は9か月であったの対し、現在の標準治療では5.4か月であった(p<0.0001)。3剤併用療法の客観的奏効率(ORR)は26% であったのに対し、標準治療ではわずか2% であった(p<0.0001)。この3剤併用療法は、BRAF 変異型mCRC患者に対する化学療法に取って替わるべきである、と研究者らは示唆している。

REARRANGE:レゴラフェニブの可変用量投与は転移性大腸がん患者のQOLを改善する [2019-07-16]
REARRANGE: Efficacy of flexible dose of regorafenib improves quality of life in patients with metastatic colon cancer

レゴラフェニブの可変用量投与は、転移性大腸がん患者において倦怠感、高血圧または手足症候群などのいくつかの指標を数値上改善し忍容性を向上させた、とESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019 で発表された。このREARRANGE 試験では、平均治療期間は標準治療群で3.2 か月、減量群で3.7 か月であり、隔週投与群では3.8 か月であった。無増悪生存期間中央値に関しては、群間差はなかった(約2か月)。統計学的有意には到達していないが、患者にとっては非常に厄介になり得る一部の副作用が数値上は減少した、と筆者らは述べている。

Niraparib は化学療法による複数治療歴のある卵巣がん患者の寿命を延長させる [2019-07-09]
Niraparib prolongs life for patients with ovarian cancer after multiple chemotherapy treatments

Lancet Oncology に掲載された新たな研究で、4次治療以降の化学療法を施行された卵巣がん患者の延命に対する、PARP 阻害薬niraparib の極めて有望な結果が示された。この研究で、BRCA 遺伝子に変異を有さない卵巣がん患者の生存期間が長いことが示された。さらにこの研究では、患者をプラチナ製剤ベースの化学療法に抵抗性または感受性に分類した。最終の化学療法が奏効した女性のうち、27% はniraparib が奏効し、疾患が増殖または進展するまでの平均期間は9.2か月であった。

60年以上使用されている化学療法薬の高用量使用により、リンパ腫に対する免疫系の攻撃が増強する [2019-07-09]
High doses of 60-plus year-old chemotherapy drug found to spur immune system attack on lymphoma

高用量のシクロホスファミドは、既に知られているように、がん細胞を直接死滅させるだけでなく、免疫系の攻撃を増強させる、とCancer Discovery に掲載された。ヒトリンパ腫の組織を移植したマウスモデルにおいて、低用量ではなく高用量のこの薬剤が、リンパ腫細胞に強いストレスをかける方法でダメージを与えることが示された。ストレスを与えられた細胞は、マクロファージに腫瘍細胞を破壊することを命じる物質であるサイトカインを分泌することで応答する。この発見により、シクロホスファミドおよび他のアルキル化剤が、どのように作用するかに関する長年にわたる疑問が解消され、免疫系がある種のがんを攻撃する新たな方法が示唆された。

新たな併用療法は転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対し安全かつ有効であることを示した [2019-07-02]
New combination therapy established as safe and effective for men with metastatic castrate resistant prostate cancer

転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、分子標的治療を併用する新たな治療法は、副作用を軽減させながら最大限の治療効果を発揮する、との第I相試験の結果が Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging (SNMMI) 2019 Annual Meeting で発表された。mCRPC を有する男性は、標的放射性核種療法177Lu PSMA 617 および腫瘍特異的放射線増感剤 idronoxil(NOX66、1日400mg または 800mg)を併用投与された。この併用療法後に、全患者の70% 近くにおいてPSAレ ベルが50% 超低下した。有害事象は全患者の31% において報告されたが、800 mgのNOX66 を投与された患者では12.5% であった。

膠芽腫の5年生存率を改善するにはより積極的な治療が必要である [2019-07-02]
More aggressive treatments needed to improve 5-year survival rate for glioblastoma

膠芽腫患者の生存期間中央値および短期生存率は改善したにもかかわらず、5年生存を達成する患者の割合は依然として低い−わずか5.5% である−、とMayo Clinic Proceedings に掲載された。5年生存を達成した者は、比較的若年の成人であり、女性で白人以外である傾向にあった。他の因子は、概して健康であること、平均収入が高いこと、脳の左側または脳幹外の腫瘍であること、さらに放射線療法による治療であった。先行研究とは反対に、腫瘍サイズは長期生存率に大きく影響しなかった。この結果から、長期生存に焦点を当てた、より積極的な治療の必要性が示唆される。