胃酸抑制剤の使用はパゾパニブを用いて治療された肉腫患者の生存率に好ましくない影響を及ぼす可能性がある [2019-02-26]
Use of gastric acid suppressants may negatively impact survival in sarcoma patients treated with pazopanib

軟部肉腫患者において、胃酸抑制剤(GAS)と抗がん剤パゾパニブの併用は無増悪生存期間および全生存期間を有意に短縮させた、とClinical Cancer Research に掲載された。パゾパニブ 治療中にGASを使用されなかった患者に比べ、治療期間の80% 以上の間GASを併用された患者は、無増悪生存期間が有意に短縮した(期間中央値それぞれ4.6か月、2.8か月)。GASの併用はまた、全生存期間を有意に短縮させた(8か月対12.6か月)。プラセボで治療された患者では、GASの併用と生存期間には関連がなかった。

スタディの結果、DDTへの曝露時期から乳がんと診断されるまでには40年の誘導期間があることが明らかにされた [2019-02-26]
Study finds 40-year induction period between time of exposure to DDT and diagnosis of breast cancer

高レベルのDDTに曝露された全ての女性は54歳まで乳がんのリスクが高かったが、がんリスクの可能性は初回曝露がいつだったかによる、との60年間のスタディがJournal of the National Cancer Institute に掲載された。14歳未満、特に幼少期や幼児期に曝露された女性は、閉経前乳がんを発症する確率が最も高かった。初回の曝露が14歳以降であった女性は、閉経後(50〜54歳)乳がんのリスクが高かった。

放射線ラベルPSMA標的治療は転移性前立腺がん男性において高い奏効率を示す [2019-02-19]
Radiolabeled PSMA-targeted treatment provides high response rates for men with metastatic prostate cancer

標準治療を行ったにもかかわらず進行したPSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん男性を対象にしたスタディの結果、Lutetium-177 PSMA-617と呼ばれる新たな標的放射線療法がこのがんに奏効することが2019 ASCO Genitourinary Cancers Symposium で示された。登録に先立ち、50〜87歳の男性は中央期間2.6か月後にPSAレベルが急速に倍になった。薬物療法を受けていた男性は治療後期間中央値13.3か月生存し、この病期の平均生存期間9か月よりも長かった。今回のスタディにおいて、PSAが50% 以上低下した男性は50人中32人であった。

KEYNOTE-426:ペムブロリズマブとアキシチニブの併用は進行腎がんの生存期間を延長する [2019-02-19]
KEYNOTE-426: Pembrolizumab plus axitinib extends survival for advanced kidney cancer

第III相KEYNOTE-426試験の結果、PD-1標的免疫療法ペムブロリズマブとVEGF標的チロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブの併用によるファーストライン治療は、転移性の淡明細胞型腎細胞がん患者の全生存期間および無増悪生存期間を延長することが示された。併用療法はスニチニブに比べ、死亡リスクを47% 減少させた(HR 0.53);12か月の全生存率は併用群で89.9%、スニチニブ群で78.3% であった。併用群では増悪なく生存した期間中央値は15.1か月であり、スニチニブ群では11.1か月であった。これらの結果は2019 ASCO Genitourinary Cancers Symposium で発表された。

異なるアントラサイクリン系薬剤への曝露による長期心血管系リスクは様々である [2019-02-12]
Exposure to different anthracyclines results in variable long-term cardiovascular risk

がん長期生存者28,000人超の予後研究により、異なるアントラサイクリン系薬剤への曝露による長期心血管系リスクは様々であることが示された、とJAMA Oncology に掲載された。抗がん剤ダウノルビシンは、ドキソルビシンに比べ心筋症リスクが低かった。他の抗がん剤であるミトキサントロンは、これまで推定されていたよりも長期心筋症リスクが大であるようであった。将来的には、がん長期生存者の心血管系合併症をスクリーニングしたり最新の治療法を開発したりする際に、これらの差異を考慮することが重要となるであろう、と筆者らは述べている。

座りながらテレビを観て長時間を費やすことと大腸がんリスクが高いことに関連が認められた [2019-02-12]
Connection found between prolonged time spent sitting while watching TV and increased risk of colorectal cancer

JNCI Cancer Spectrum に掲載された新たなスタディの結果、50歳前に大腸がんと診断された患者において、座りながらテレビを観て長時間を費やすことと大腸がんリスク上昇とに関連が認められた。1日1時間超のテレビ視聴により、それより少ない視聴時間の者に比べ、リスクが12% 上昇した。この結果は、テレビを1日2時間超視聴する者においてより顕著であり、リスクは70% 近く上昇した。この相関はBMIや運動とは独立しており、大腸がん家族歴を有しない女性においても一貫して認められた。

免疫調節因子FGL2蛋白質は膠芽腫の有効な標的である可能性がある [2019-02-05]
The immune regulator FGL2 protein may be effective target for glioblastoma

免疫の監視を停止させることで膠芽腫の進行を指示すると思われる免疫調節因子が発見され、治療研究の新たな領域であることが示された。この前臨床試験の結果は Nature Communications オンライン版に掲載された。このスタディでは、免疫系を抑制することで知られるフィブリノーゲン様蛋白質2(FGL2)が、膠芽腫において強く発現していることが示された。研究者らは、免疫系が正常のマウスにおいて腫瘍細胞の FGL2 を不活性化させたりまたは"ノックアウト"したりすることによって、腫瘍の進行を抑えることが可能なことを示した。このタイプの発現を理解することは、膠芽腫の進行の原因を知るために重要である。

乳がん患者の心房細動リスク上昇は年齢および診断からの時間による [2019-02-05]
Increased risk of atrial fibrillation in women with breast cancer depends on age and time since diagnosis

乳がんを有する女性は乳がんを有さない同年代の女性に比べ、がんと診断されてから3年以内の心房細動発症リスクが高い、と HeartRhythm に掲載された。60歳未満の患者は乳がん診断後6か月以内のAF発症リスクが2倍超であり、診断後6か月から3年では80% 高かった。60歳以上の患者は診断後6か月までは一般人口と同レベルのリスクであったが、6か月後から3年後の間はリスクが14% 高かった。