驚きの逆転の発想で、がんを発生前で止める細胞過程が発見された [2019-01-29]
In surprising reversal, scientists find a cellular process that stops cancer before it starts

がんに対するテロメアの関係を研究する科学者らが驚くべき発見をした:オートファジーと呼ばれる細胞内リサイクル過程(一般的に生存機構と考えられている)が、実は細胞死を促進し、それによってがんの発生を抑制する。実際は、オートファジーを介した細胞死による停止がなければ、細胞は休むことなく複製を続けていた。さらに、これらの細胞の染色体は融合し構造異常が生じ、がん細胞に見られる重度のDNA損傷を引き起こしていたことを示している。Nature に掲載されるこの研究は、オートファジーが全く新たな腫瘍抑制経路であることを示し、がんを抑制しようと努力する中でのこの過程を阻害する治療は、がんを非常に初期段階で意図せずに促進する可能性があることを示唆している。

分子プロファイリングは肺がんを早期に捉え新たな治療に導く可能性がある [2019-01-29]
Molecular profiling could catch lung cancer early and lead to new treatments

世界で初めての肺がん前がん病変の遺伝子シークエンシングが、非常に早期の肺がん発見と新たな治療への道を拓く可能性がある、とNature Medicine に掲載された。研究者らは、患者85人の129の生検サンプルを調査した。遺伝子変異、遺伝子発現および染色体不安定性などのゲノムの特徴の相違を同定し、病変の分子プロファイルを確認することで、がんを発症する病変をほぼ完璧な精度で予測可能にする十分な相違を発見した。どの前がん病変が有害であるかを同定することにより、医師は現在よりもかなり早期段階で手術を勧めるか否かを決断でき、良性病変を不必要な手術から救うことができる。

低リスク前立腺がんと診断された患者の一部において、中および高リスク前立腺がんと関連のある遺伝子変異が認められた [2019-01-22]
Genetic alterations associated with intermediate- and high-risk prostate cancer found in some patients diagnosed with low-risk disease

針生検により診断された低リスク前立腺がんにおける遺伝子変異から、前立腺内によりリスクの高いがんが内在している男性を同定することができる、とMayo Clinic Proceedings に掲載された。このスタディでは、針生検が、低リスク前立腺がんの一部の症例においても存在し、中〜高リスク前立腺がんと関連のある遺伝子変異を見逃し、疾患の増悪リスクを上昇させている可能性があることを明らかにした。筆者らは、Gleason パターン3のがんと診断された男性においては、Gleason パターン4および5において高頻度に変異のみられる遺伝子の追加検査が有益である可能性がある、と述べている。

早期腎がん患者に対する個別化治療計画が平均余命を延長させる可能性がある [2019-01-22]
Personalized treatment plans may extend life expectancy for patients with early-stage kidney cancer

腎疾患増悪のリスクファクターを有する早期腎細胞がん患者に対する個別化治療計画が平均余命を延長させる可能性がある、とRadiology に掲載された。研究者らは、コンピュータベースのシミュレーションを構築し、異なる治療法の影響を評価した。100万のシミュレーションに基づくと、正常腎機能の全年齢患者において、腎部分切除により最長の平均余命がもたらされた。しかし慢性腎臓病患者においては、積極的サーベイランスのような個別化治療の方がルーチンの腎切除術よりも平均余命を延長した。またこのモデルにより、MRI を用いた乳頭状腎細胞がん予測が一部の患者を積極的サーベイランスへと導くことにより、長期のヘルスアウトカムが改善する可能性があることも明らかにされた。

持続する血管運動性症状と乳がんリスクとの関連が確認された [2019-01-15]
Association between persistent vasomotor symptoms and breast cancer risk confirmed

持続する血管運動性症状(VMS)を有する女性は、VMS を全く経験したことのない女性に比べ乳がんと診断される確率が高い、と Menopause オンライン版に掲載された。VMS にはホットフラッシュや盗汗などの症状が含まれる。女性25,000人超を対象にした17.9か月の追跡を通して、1,399件の乳がん発症が認められた。持続するVMS(10年以上持続する症状で定義)を有する女性は、VMSを全く経験したことのない女性に比べ、乳がん発症率が高かった。乳がん特異的死亡率は持続性VMSを有する女性において高かったが、これは統計学的に有意ではなかった。

性別および分子学的サブタイプに基づいた膠芽腫に対する個別化治療は生存率を改善する可能性がある [2019-01-15]
Tailoring treatment for glioblastoma based on gender and molecular subtypes may improve survival

患者の治療奏効度や生存期間の潜在的な差異を説明するのに役立つ、男女における膠芽腫の明確な分子署名が同定された、とScience Translational Medicine に掲載された。彼らは、膠芽腫が遺伝子活性や生存率で識別される10のサブタイプに分けられることを明らかにした。例えば、ある群の腫瘍を有する女性は、他の4つのいずれの"女性"群の腫瘍を有する女性よりも生存期間が長かった−ちょうど3年に対し1年であった。同様に、ある男性の腫瘍群の生存期間が長いこともわかった−ちょうど18か月に対し1年であった。

ほとんどの固形がんに対する化学療法後は治療に関連した白血病のリスクが上昇する[2019-01-08]
Elevated risk of therapy-related leukemia after chemotherapy for most solid tumors

JAMA Oncology に掲載されたスタディの結果、2000〜2014年に化学療法で治療されたほとんどの固形がん患者は、治療に関連した骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病(tMDS/AML)のリスクが上昇することが示された。研究者らは、固形がんと診断され初回化学療法を受け、診断後1年以上生存した20〜84歳の患者700,000人超のSEERレジストリのデータを解析した。tMDS/AMLのリスクを原発がんのタイプで解析したところ、調査された23の固形がんのうち22のがんにおいてリスクが1.5倍から10倍超高いことが明らかにされた。例外は結腸がん患者であった。

がんと診断される数か月前に心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇する [2019-01-08]
Increased risk of myocardial infarction and stroke in months leading up to a cancer diagnosis

高齢がん患者は、がんを有さない同年代の人々の同期間と比べ、がんと診断される数か月前に心筋梗塞または虚血性脳卒中を発症する確率が高い、とBlood オンライン版に掲載された。概して、がんと診断される前年に血栓塞栓症を発症するリスクは70% 上昇した。このリスクは、がんと診断される前の月に最も高かった。進行がんに加え、肺および結腸がんが血栓塞栓症イベントリスク上昇と最も関連するようであった。