2014
AIは肺がん患者のスクリーニングにおいて心疾患の徴候を検出するのに役立つ(2019 annual meeting of the Radiological Society of North America [RSNA], Abstract RC303-02)
一般的な心臓病治療薬が、がん治療による心機能障害を軽減させる(EuroEcho2019, Abstract P367)
インターベンション治療は薬物療法と大して変わらない(American Heart Association's Scientific Sessions 2019, Late breaking Science II)
慢性腎臓病患者において侵襲的治療戦略により得るものはない(American Heart Association's Scientific Sessions 2019, Late breaking Science II)
ダパグリフロジンの有益性が糖尿病を合併しない心不全患者に拡大される(American Heart Association's Scientific Sessions 2019, Late breaking Science I)
心臓ポンプは一部の患者において合併症を引き起こす(American Heart Association's Scientific Sessions 2019, Late breaking Science IV)
10代の先天性心疾患患者が運動耐容能を改善する(American Heart Association's Scientific Sessions 2019, Late breaking Science V)
InclisiranによりLDLコレステロールが58% 低下(American Heart Association's Scientific Sessions 2019, Late breaking Science I)
人工知能システムは肺がんのスクリーニング目的で胸部CTを受けた患者の冠動脈石灰化を測定する [2019-12-17]
Artificial intelligence system measures coronary artery calcium in patients getting chest CT scans to screen for lung cancer

人工知能(AI)は、肺がんスクリーニング目的で胸部CTを受けた患者において、一般的な心疾患マーカーを測定する自動化された正確な方法を提供する、と2019 annual meeting of the Radiological Society of North America で発表された。研究者らは、これまで冠動脈石灰化が手動で測定されていた心臓CTおよび胸部CTを、ディープラーニングシステムに学習させた。大量喫煙者数千人のCT画像についてこのシステムを試験した結果、AIが導き出した冠動脈石灰化スコアは人間の読影によるものとぴったり一致した。ディープラーニングによるカルシウムスコアと6.5年間の心血管死には有意な相関があった。

心保護治療は乳がんまたは血液がん患者における心毒性発現を減少させる [2019-12-17]
Cardioprotective treatment reduces incidence of cardiotoxicity in patients with breast or hematological cancer

一般的な心臓病治療薬を投与されているがん患者はがん治療による心機能障害が少ない、と EuroEcho2019 で発表された。計913人の患者が登録された。心疾患治療薬を投与されている患者534人中、337人はβ遮断薬、152人はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、45人はβ遮断薬とACE 阻害薬の両者を内服した。1年間の追跡期間中、108人(12%)が心毒性を発現したが、心保護薬を内服している患者は心毒性リスクが有意に低かった(相対リスク0.381)。β遮断薬、ACE 阻害薬、またはARB で治療された乳がんまたは血液がん患者10症例につき、1例の心毒性が回避できた。

ISCHEMIA試験:インターベンション治療を施行された患者が薬物療法施行患者に比べ心イベント発生率が低い、とのエビデンスはない [2019-12-03]
ISCHEMIA: No evidence of lower cardiac event rates in patients treated with interventional procedures compared to medication

重症ではあるが安定した心疾患患者に対する早期の侵襲的治療は至適薬物療法に比べ有益性はない、と American Heart Association's Scientific Sessions 2019 の Late Breaking Science session で報告された。ISCHEMIA 試験では、ルーチンのステント留置やバイパス手術などの侵襲的治療を施行された患者において、薬物投与および生活習慣改善のアドバイスのみを受けた患者に比べ、主要な冠動脈疾患関連イベントの発生率は低下しなかった。しかし、狭心症症状を有する患者においては、侵襲的治療により症状の緩和およびQOL の改善が良好であり、それは4年間持続した。

ISCHEMIA-CKD試験:進行する慢性腎臓病に侵襲的心臓手術を施行しても心イベント率は低下しない [2019-12-03]
ISCHEMIA-CKD: Advanced chronic kidney disease treated with invasive heart procedures show no reduction in rate of cardiac events

中等度から重度の心筋虚血を有する慢性腎臓病(CKD)患者にルーチンの侵襲的血行再建術を施行しても、至適薬物療法(OMT)のみを施行された患者に比べ、死亡または心筋梗塞(MI)のリスクは低下しない、と American Heart Association's Scientific Sessions 201 9で発表された。対照的に、脳卒中などある一定のアウトカム発症率は侵襲的施術群で上昇したが、施術直後の脳卒中発症は稀であった。またこのISCHEMIA-CKD 試験の結果、狭心症症状を有する患者に対する侵襲的治療は、OMT のみの患者に比べ長期症状緩和やQOL を改善しなかった。

DAPA-HF試験:ダパグリフロジンはベースラインのHbA1c値に関係なく心不全を改善する [2019-12-03]
DAPA-HF: Dapagliflozin's improves heart failure outcomes regardless of baseline A1c levels

DAPA-HF試験の新たな解析の結果、SGLT-2阻害薬ダパグリフロジンの有益性が2型糖尿病治療としての効果を超えて拡大されることが示唆された、と American Heart Association's Scientific Sessions 2019 で発表された。追跡期間中央値18か月間に、ダパグリフロジン(1日1回10 mg)は主要評価項目である心血管死または心不全増悪を、糖尿病を有する患者において25% 減少させたのに対し、糖尿病を有さない患者において27% 減少させた(p=0.8)。重要なことに、主要評価項目におけるダパグリフロジンの効果は、ベースラインの糖化ヘモグロビン(A1c)値に関わらず実質的に同等であった。その他の結果から、副次的評価項目に対しても同様の有益性が認められた。

インペラ心室補助循環装置はステント治療後の一部の患者において合併症を引き起こす [2019-12-03]
Impella ventricular assist device associated with complications in some patients after stent procedure

ステント治療の一部として、血液循環を維持するために心室補助装置を必要とする重症患者において、特定の装置が重篤な合併症を引き起こす、とAmerican Heart Association's Scientific Sessions 2019 で発表され、同時に Circulation に掲載された。研究者らは、インペラポンプ使用後入院中の患者において、死亡、出血、急性腎障害および脳卒中のリスクが、動脈内バルーンポンプ使用患者に比べ高いことを明らかにした。特に、インペラポンプはバルーンポンプに比べ死亡リスクが24% と統計的に有意に高く、脳卒中リスクが34% 高かった。

FUEL試験:経口薬が重症の先天性単心室症の若年患者における運動耐容能を改善する [2019-12-03]
FUEL: Oral drug improves exercise capacity in adolescents with severe, congenital single-ventricle heart defects

小児心疾患患者に対する薬物療法の中で過去最大の臨床試験の結果、経口薬udenafil が重度の先天性単心室症を有する若年患者の運動耐容能を有意に改善したことが明らかになった。FUEL 試験の対象患者は、中等度運動中の酸素摂取量および他の運動耐容能測定値が有意に改善した。また、最大運動時の酸素摂取量においても数値的には改善を認めたが、これは統計学的に有意ではなかった。研究リーダーは、今回の生理的有益性はFontan 手術施行患者の治療における画期的な出来事である、と述べている。この試験結果は American Heart Association's Scientific Sessions 2019 で発表され、同時に Circulation に掲載された。

ORION試験:コレステロール低下治験薬はLDLコレステロール低下に有効である [2019-12-03]
ORION: Experimental cholesterol-lowering drug effective at lowering LDL-cholesterol

コレステロール低下治験薬inclisiranの年2回の注射は、既に最大用量のスタチン製剤を内服している患者の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール低下に有効であるとのORION-10 試験のデータが American Heart Association's Scientific Sessions 2019 で発表された。Inclisiran は初回投与から3か月後、その後は6か月毎に投与され、その結果510日目にはLDLコレステロールが58% 低下し、90〜540日の間の時間平均プラセボ補正LDL コレステロールは56% 低下した。AHAで発表された他の第3相試験(ORION-9)では、家族性高コレステロール血症患者においてinclisiran はLDL コレステロール値を50% 低下させた。