就寝時に降圧薬を内服することで朝内服するよりも心疾患リスクが低下する [2019-10-29]
Taking hypertension medications at bedtime reduces risk of heart disease more than morning medication

全ての降圧薬を就寝時に内服する高血圧患者は、朝に内服する患者に比べ、血圧コントロールが良好であり、死亡リスクや心血管疾患により引き起こされる病気のリスクが低い、と European Heart Journal に掲載された。Hygia Chronotherapy 試験の参加者のうち、就寝時に内服した者は心筋梗塞(MI)およびこれによる死亡、脳卒中、心不全または冠動脈血行再建リスクが45% 低下した。個々のアウトカムをみてみると、心血管死リスクは66% 、MI リスクは44%、冠動脈血行再建リスクは40%、心不全リスクは42%、脳卒中リスクは49%、それぞれ低下した。

心筋梗塞後の治療アドヒアランスはスマートフォンアプリケーションを用いることで向上する [2019-10-29]
Adherence to treatment after a myocardial infarction increases with use of a smartphone application

スマートフォンのリマインダーアプリを使用する心疾患患者は、文書による指示を受け取った患者に比べ内服率が高い、と45th Argentine Congress of Cardiology で発表された。90人の心筋梗塞後患者(平均年齢63歳、男性75%)が、アプリまたは詳細な文書(標準的な方法)を用いた服薬リマインダー群にランダムに割り付けられた。90日後、正確に内服している患者の割合は、標準的な方法群(21%)に比べ、デジタルアプリ群(65%)において有意に多かった(p<0.001)。アプリ群はまた、各薬剤がなぜ処方されているかについての知識もより多く得ていた。

より積極的な高血圧コントロールは高齢者の大脳白質病変を減少させる可能性がある [2019-10-23]
More aggressive hypertension control likely to reduce white matter lesions in the brains of older adults

高齢者の日々の血圧をより積極的にコントロールすることにより脳の健康が改善する可能性がある、と Circulation に掲載された。3年後、大脳白質病変の増加は、積極的な血圧コントロール治療を受けた患者において、標準治療を受けた患者に比べ、最大40% 少なかった。積極的治療を受けた患者はまた、心筋梗塞、脳卒中および心不全による入院などの心血管イベント発生率が低かった。収縮期血圧を130 mmHg未満に維持することは安全であり、高齢高血圧患者に対するより合理的で有益な治療目標となる可能性がある、と筆者らは結論付けている。

スタチン系薬剤が、一部の患者に筋肉痛を引き起こす原因を説明できるメカニズムが発見された [2019-10-23]
Potential mechanism found that explains why statins cause muscle pain in some patients

コレステロール低下薬である、スタチン製剤内服患者の一部が筋肉痛を発症する原因を説明できるメカニズムが発見された。スタチンは筋細胞内に侵入し酸化ストレスを引き起こし、その結果筋肉がこのストレスを除去しようとして抗酸化物質産生を増加させる。副作用であるこの抗酸化物質産生は、スタチンに曝露されない筋肉よりもかなり高レベルのグルタミン酸と呼ばれるアミノ酸の放出であった。グルタミン酸が筋肉痛受容体の活性化物質である可能性があるため、これの放出が筋肉痛を感じさせる引き金として提示された。研究者らはまた、抗酸化物質としてよく知られるビタミンEなどを投与することが、グルタミン酸放出を減少させるのに役立つことを明らかにした。

早期閉経は非致死性心血管イベントリスクを上昇させる [2019-10-15]
Early menopause puts women at greater risk of a non-fatal cardiovascular event

閉経が50歳未満の女性は心血管疾患リスクが高い、と Lancet Public Health に掲載された。40歳未満に早期閉経した女性は、閉経が50〜51歳であった女性に比べ、心筋梗塞、狭心症または脳卒中などの非致死性心血管イベントを60歳未満で発症する確率が2倍近く高かった。閉経が40〜44歳であった女性は、心血管疾患に罹患する確率が40% 高かった。早期閉経の女性を同定することは、早期診断しリスクファクターを積極的に管理することに役立つ可能性がある。

非外傷性の原因で歯を1本以上失った成人は心筋梗塞および脳卒中を発症しやすい [2019-10-15]
Adults missing one or more teeth from nontraumatic events are more prone to myocardial infarction and stroke

非外傷性の原因で歯を1本以上失った成人は心血管疾患を発症するリスクが高い、とAmerican College of Cardiology Middle East Conference 2019、10th Emirates Cardiac Society Congress 2019 共同学会で発表された。心血管疾患を発症したスタディ参加者の28% は全歯欠損であり、それに比べ歯を失っていない者の心血管疾患の発症は、わずか7% であった。さらに、全歯欠損ではないが1本以上欠損した歯のある者は、他のリスクファクターで補正してもなお、心血管疾患発症率が高かった。

COAPT試験:心不全および二次性僧帽弁閉鎖不全症を有する患者における経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)の効果は持続性である [2019-10-08]
COAPT: Continued benefits of the MitraClip in patients with heart failure and secondary mitral regurgitation

経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)を用いた重度の二次性僧帽弁閉鎖不全症の減少は、選択された心不全患者の3年後の予後を安全に改善する。最初はガイドラインによる治療(GDMT)に割り付けられ、2年後に形成術を施行された患者も、同様の効果を得た。心不全による全ての入院における36か月以内の一次有効性エンドポイントは、MitraClip とGDMT 併用群で220であり、GDMT 単独群で378であった(P=0.00000006)。クロスオーバーした患者を含む3年後の全患者の全死亡率はMitraClip とGDMT の併用群で42.8% であり、GDMT 単独群で55.5% であった(P=0.001)。このCOAPT試験結果は、31st annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT) scientific symposium で発表された。

TWILIGHT試験:PCI後のチカグレロル単剤療法およびDAPTは有害事象を増やすことなく出血を減少させる [2019-10-08]
TWILIGHT: Ticagrelor monotherapy after PCI and DAPT reduces bleeding without increasing adverse events

ランダム化プラセボコントロール TWILIGHT 試験の新たなデータから、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に成功し3か月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)が終了した高リスク患者において、チカグレロルとアスピリンの併用に比べ、チカグレロル単剤療法は死亡、心筋梗塞、または脳卒中のリスクを上昇させることなく出血イベントを減少させたことが明らかになった。1年後、大出血発現率は、チカグレロルとプラセボ併用患者で4.0% であり、チカグレロルとアスピリン併用患者で7.1% であった(P<0.001)。これらの結果は31st annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT) scientific symposium で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。

BMIではなく脂肪量指標(FMI)は糖尿病患者の心血管イベントと関連がある [2019-10-01]
Fat mass index, not BMI, associated with cardiovascular events in people with diabetes

糖尿病患者において、ボディマスインデックス(BMI)ではなく脂肪量指標(FMI)が心血管イベントの高リスクと関連がある、と Canadian Medical Association Journal に掲載された。研究者らはACCORD研究(米国のスタディ、平均年齢約63歳、男性62%)の10,251人のデータを解析した。その結果、脂肪量の多い2型糖尿病患者は、脂肪量の少ない患者に比べ、主要心血管イベントのリスクが高かった。過去の研究結果とは対照的に、除脂肪体重の保護的役割は、今回の研究対象の2型糖尿病患者においては認められなかった。

妊娠高血圧は後の心血管疾患リスクを上昇させる [2019-10-01]
Pregnancy hypertension increases women's risk of cardiovascular disease later in life

Circulation に掲載された研究の結果、妊娠中に高血圧を伴った女性は後に心血管疾患を発症するリスクが高いことが示された。妊娠を完了した女性190万人近くの電子カルテをレビューした結果、妊娠高血圧腎症または他のタイプの妊娠高血圧を伴う妊娠を1回以上経験した女性は脳卒中、心筋梗塞、心不全、または類似のイベントを呈する確率が高かった。妊娠高血圧を呈した女性は、妊娠高血圧を呈さなかった女性に比べ、心血管死数が倍であった。これらの女性はまた、妊娠高血圧を有さなかった女性に比べ慢性高血圧の発症が4.5倍速かった。