不健康な食習慣と心血管系の予後不良との関連 [2019-04-23]
Association between unhealthy eating behaviors and poor cardiovascular outcomes

朝食を抜き就寝時刻近くに夕食を摂る人は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)後の予後が最悪である、とEuropean Journal of Preventive Cardiology に掲載された。スタディは、患者113人(平均年齢60歳、男性73%)を対象とした。1日2食が習慣の人は、退院後30日以内の死亡、MI 再発、または狭心症の率が4〜5倍高かった。炎症反応、酸化ストレス、および血管内皮機能が、不健康な食習慣と心血管系のアウトカムとの関連に関与している可能性がある、と筆者らは考えている。彼らは、夕食と就寝時刻までに最低2時間は開けること、たっぷりの朝食を摂ること、を推奨している。

メトホルミンは前糖尿病患者の左室肥大を元に戻す [2019-04-23]
Metformin reverses left ventricular hypertrophy in patient with prediabetes

糖尿病治療薬メトホルミンを前糖尿病患者に使用することにより、心血管疾患に繋がる左室肥大(LVH)を元に戻す可能性がある、とEuropean Heart Journal に掲載された。MET-REMODEL トライアルにおいて、メトホルミンは心疾患を有する前糖尿病患者においてLVHを軽減することが示された。メトホルミンを内服した患者において、プラセボを内服した患者に比べ、危険な左室壁肥厚が2倍減少した。メトホルミンは血圧を低下させ、酸化ストレスを軽減し、スタディ参加者は体重が平均3.6 kg減少したのに対し、プラセボ群では変化がなかった。

40歳未満で糖尿病と診断された人々は心血管疾患および死亡のリスクが高まる [2019-04-16]
People under 40 diagnosed with type 2 diabetes face increased risk of cardiovascular disease and death

2型糖尿病と診断された40歳未満の人々は、糖尿病を有さない同年代の人々に比べ、脳卒中、心筋梗塞、心不全または心房細動を発症、あるいはそれらにより死亡する確率が高い、とCirculation に掲載された。ほとんどのカテゴリーにおいて、女性は男性に比べ心血管疾患および死亡のリスクが上昇した。心血管疾患および寿命短縮のリスク上昇は、診断年齢上昇に伴い着実に低下した。全ての死亡リスク上昇は、80歳以上で診断された人々では、糖尿病を有さない同年代の人々と同等であった。

頭部放射線治療を受けた小児がん既往者において遺伝子バリアントが脳卒中リスク上昇と関連する [2019-04-16]
Genetic variant linked to increased risk of stroke in childhood cancer survivors treated with cranial radiation therapy

一般的な一塩基多型(SNP)が、原発がんに対し頭部放射線治療(CRT)を受けた小児がん既往者における脳卒中発症リスク上昇と関連する、とAACR Annual Meeting 2019 で発表された。CRT を施行された5p15.33遺伝子座上の共通のSNPを保有するがん既往者は、CRT を施行されたこのSNP を有さない患者に比べ、脳卒中発症リスクは約3倍高かった。25〜50 Gyで治療された者は、このSNP を保有している場合、脳卒中リスクは約5倍高く、一方25 Gy未満または50 Gy超で治療された者は、このSNP を保有している場合、脳卒中リスクは約3倍高かった。

非STEMI患者において心停止後の血管造影のタイミングは生存率に影響しない [2019-04-09]
Timing of angiography does not impact survival after cardiac arrest for non-STEMI patients

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の所見のない心停止からの蘇生後の患者において、緊急冠動脈造影は数日後に冠動脈造影を施行した場合に比べ、90日間の生存率を改善しなかった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。両群ともに生存率は予測よりも良好であり、心停止後90日の生存率は緊急冠動脈インターベンションを施行された群で64.5% であり、インターベンションを遅れて施行された群で67.2% であった。このスタディ結果は発表と同時にNew England Journal of Medicine オンライン版に掲載された。

ワイヤレス心不全センサーは全ての駆出率範囲にわたり性別に関係なく入院を減少させた [2019-04-09]
Wireless heart failure sensor reduces hospitalizations across all ejection fraction ranges and both genders

CardioMEMS心不全センサー(ワイヤレスで肺動脈圧をモニターするようにデザインされている)植え込み後1年間に、心不全入院が58% 減少した、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。患者の駆出率が保持されているか(>50%)、低下しているか(<40%)、またはミッドレンジ(41〜50%)かにかかわらず、このセンサーにより入院を予防することができた。女性や少数人種および民族においても明らかに有益であった。植え込み型除細動器または心臓再同期療法除細動器を植え込まれている患者とそうでない患者、および虚血性または非虚血性心筋症の患者いずれにおいても、このCardioMEMSセンサーにより入院率低下が認められた。

STOPDAPT-2:より短期間のDAPT後にP2Y12阻害薬単剤療法を継続することにより1年後の予後が改善する [2019-04-02]
STOPDAPT-2: Shorter DAPT followed by P2Y12 inhibitor monotherapy improves outcomes at one year

ステント留置1か月後にアスピリン服用を中止したがP2Y12 阻害薬クロピドグレル服用を継続した患者は、併用投与を続けた患者に比べ1年後の予後が有意に良好であった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。STOPDAPT-2 トライアルでは、アスピリンの早期中止はトライアルの主要評価項目(心血管死、心筋梗塞、ステント血栓症、脳卒中および大出血の複合)の観点から優れていることが示された。また、アスピリン中止により、出血は減少し虚血性イベントは増加しなかった。もう1つのトライアルSMART-CHOICEにおいて、ステント留置後3か月後にアスピリンを中止しP2Y12 阻害薬服用を継続した患者においても、同様の結果が得られた。

SAFARI-STEMI:インターベンション医はPCIに対し橈骨動脈および大腿動脈アプローチを用いるが、予後は同等である [2019-04-02]
SAFARI-STEMI: Interventionalists use radial and femoral access for PCI with similar outcomes

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)を呈する患者における経皮的冠動脈インターベンションは、橈骨動脈または大腿動脈いずれのアプローチでも安全に施行することができる、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。早期終了されたこのスタディは、橈骨動脈および大腿動脈アプローチは30日死亡リスクの点で同等であることを示唆した。STEMI再発、ステント血栓症および出血性合併症など、その他の転帰は2群間で有意差がなかった。

POET:感染性心内膜炎において部分的経口抗菌薬治療は安全かつ有効である [2019-04-02]
POET: Partial oral antibiotic therapy safe and effective in infectious endocarditis

静注抗菌薬治療から経口抗菌薬治療に切り替えられた心内膜炎患者は、従来の静注抗菌薬治療を継続された患者に比べ、長期生存率が良好であり合併症が少なかった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。追跡期間中央値3.5年後、主要評価項目イベントを来したのは部分的経口治療を受けた患者では26.4% であり、静注治療群では38.2% で、統計学的に有意な差があった。今回のトライアルでは、一定の細菌種により引き起こされた左心系感染性心内膜炎患者のみが組み入れられた。

MOMENTUM-3:最大規模のLVADトライアルの結果、最新世代のデバイスの臨床的有意性が示された [2019-04-02]
MOMENTUM-3: Largest LVAD trial demonstrates the clinical superiority of the newest generation device

進行した心不全で、新型の左心補助人工心臓(LVAD)を装着された患者は、旧型で既存の心臓ポンプを使用された患者に比べ、2年後の脳卒中、ポンプ血栓症および出血エピソードが有意に少なかった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。2年後、主要エンドポイント(後遺症を伴う脳卒中、または再装着あるいは装置の不具合による除去がないこと)に達したのはHeartMate 3 を装着された患者の74.7% であり、HeartMate II を装着された患者では60.6%であった。リスクは40% 低下した。

REDUCE-IT:心血管系リスクの高い人々に対し、イコサペント酸エチルはこれまで報告されていたよりも保護効果が高い可能性がある [2019-04-02]
REDUCE-IT: Icosapent ethyl may be more protective than previously reported for people at high cardiovascular risk

高用量のイコサペント酸エチル(オメガ3脂肪酸の処方薬)を服用することで、スタチンを内服していても心血管リスクの高い人々において初回、再発および全ての虚血性イベントが有意に低下する、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表され、同時にJournal of the American College of Cardiology に掲載された。プラセボに比べ、イコサペント酸エチルにより初回およびその後の心血管死、非致死性MI、脳卒中、冠動脈インターベンション、または不安定狭心症による入院が30% 減少し、この薬剤が過去に報告されていたよりも保護効果が高い可能性があることが示された。

COAPT:経カテーテル僧帽弁修復は心不全および2次性僧帽弁閉鎖不全を有する患者のQOLを改善する [2019-04-02]
COAPT: Transcatheter mitral valve repair improves quality of life for patients with heart failure and secondary mitral regurgitation

心不全及び2次性僧帽弁閉鎖不全を有する患者は、経カテーテル僧帽弁置換術(TMVR)施行後に体調がよく心不全症状が減少したと報告した、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表され、Journal of the American College of Cardiology に掲載された。トライアル開始時、参加者のQOL 評価スコアは100点中52点であり、QOL は比較的低いことを示していた。1か月後、TMVR を施行された患者は、標準治療を受けた患者に比べ、スコアが16点改善した。2年後、TMVR 群のスコアは標準治療群のスコアに比べ13点高かった。