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大いに期待されていたトライアルは、全てのリスク群に対しTAVRは外科手術と同等あるいは優れていることを示した [2019-03-26] |
Highly anticipated trials show TAVR equal to or better than surgery across all risk groups |
American College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で取り上げられた2つのスタディの結果、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)が外科手術リスクの低い大動脈弁狭窄症患者に拡大された。1つ目のスタディでは、後遺症を伴う脳卒中または総死亡を合計した発現率が、TAVR を施行された低リスク患者において5.3% であったのに対し、外科的大動脈弁置換術(SAVR)では6.7% であった。もう1つのスタディPARTNER-3 では、TAVR は1年後の一次エンドポイントである死亡、脳卒中および再入院を46% と、有意に減少させた。このスタディ結果は同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。 |
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経カテーテル弁置換術は弁の解剖学的異常を有する患者において安全である [2019-03-26] |
Transcatheter valve replacement safe in those with unusual valve anatomy |
典型的な大動脈三尖弁を有する患者に比べ、大動脈二尖弁患者においては、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)施行後の死亡率は同等であるが、脳卒中の確率は高かった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。研究者らは大動脈二尖弁を有する患者2,691人と同人数の大動脈三尖弁患者を比較した。30日間および1年間の総死亡率は2群間で同等であった。このスタディは、大動脈弁狭窄症を来した大動脈二尖弁患者において、TAVRを施行することの正当性を裏付けるものである。 |
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CLEAR:スタチンへの追加治療は高リスク患者におけるLDLコレステロール降下のもう1つの選択肢である [2019-03-26] |
CLEAR: Statin add-on may offer another option for reducing LDL in high risk patients |
スタチンに加えベンペド酸を併用した心筋梗塞または脳卒中の高リスク患者は、12週後のLDLコレステロール値が有意に低かった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。12週の治療後、この治験薬を投与された患者のLDLコレステロール値は、プラセボ群に比べ17.4% 低かった。このコレステロール値低下は52週持続し、重篤な有害事象および筋肉関連副作用を含む有害事象に差はなかった。筆者らは、動脈硬化性心血管疾患の高リスク患者に対し、この薬剤が既存の治療への追加治療の選択肢となり得る、と述べている。 |
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AUGUSTUS:AFibとACSを有する患者に対するアピキサバンとP2Y12阻害薬の併用は最も有効であり有害事象が最も少ない [2019-03-26] |
AUGUSTUS: Apixaban plus P2Y12 inhibitor most effective with fewest adverse events for patients with both AFib and ACS |
心筋梗塞、脳卒中および血栓のリスクが高く、アピキサバンとクロピドグレルなどの抗血小板薬で治療された患者は、ワルファリンなどの古いタイプの抗凝固薬を投与された患者に比べ、出血および入院のリスクが有意に低かった、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。さらに、アスピリンを併用せずクロピドグレルを投与された患者は出血リスクが47% 低く、MI、脳卒中または血栓のイベントは増加しなかった。このスタディ結果は公表と同時にNew England Journal of Medicine オンライン版に掲載された。 |
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WRAP-IT:抗菌性のエンベロープは心臓デバイス関連感染症のリスクを著明に低下させる [2019-03-26] |
WRAP-IT: Antibiotic envelope markedly cuts risk of cardiac device-related infection |
ペースメーカーや除細動器などの心臓デバイスを生体吸収性の抗菌性エンベロープで包むことにより、1年以内の重大なデバイス関連感染リスクが40% 減少し合併症は増加しない、とAmerican College of Cardiology's 68thAnnual Scientific Session で発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。25か国の患者計6,983人がWRAP-IT トライアルに参加した。この抗菌性エンベロープを挿入された患者のうち、25人(0.7%)が1年以内に重大なデバイス感染を発症したのに対し、コントロール群では42人(1.2%)であった。 |
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DECLARE-TIMI 58:糖尿病治療薬は広範な心不全に対し有効である [2019-03-26] |
DECLARE-TIMI 58: Diabetes drug effective against heart failure in wide spectrum of patients |
糖尿病治療薬ダパグリフロジンの心血管系に対する有益性は広範な患者に認められ、特に駆出率の低下した患者において顕著である、とAmerican College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表され、同時にCirculation に掲載された。研究者らは、ダパグリフロジンが駆出率やスタディ開始時の心不全の有無に関係なく、全ての患者を通じて心不全による入院を減少させたことを明らかにした。しかし、この薬剤が心血管死亡率および総死亡率を有意に減少させたのは、駆出率の低下した患者においてのみであった。この結果はDECLARE-TIMI 58から得られたものである。 |
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糖質制限は心房細動の発生率を増加させる [2019-03-19] |
Restriction of carbohydrates increases incidence of atrial fibrillation |
毎日のカロリーを穀物、果物およびデンプン質の多い野菜から摂取する割合の低い人々は、心房細動(AFib)を発生する可能性が有意に高い、と American College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で発表された。研究では、約14,000人の20年以上にわたる医療記録を分析した。研究者らは、対象者を炭水化物の摂取量により低、中等度、高摂取群に分類した。低摂取群ではAFib発生率が、中等度摂取群に比べ18% 高い傾向にあり、高摂取群に比べ16% 高い傾向にあった。 |
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フィットネスは70歳以上の人々に対し従来の心血管系リスク因子より有益である [2019-03-19] |
Fitness may be more informative than traditional cardiovascular risk factors for people older than 70 |
70歳以上の人々の間では、フィットネスは従来の心血管系リスク因子の数よりも、生存のより優れた予測因子であることが、American College of Cardiology's 68th Annual Scientific Session で明らかにされた。最大のフィットネスを行う人は、最小のフィットネスを行う人に比べ、10年後生きている確率が倍以上であった。対照的に、患者の心血管系リスク因子の総数は、彼らの死亡リスクとは関連がなかった。研究者らは、いつもの運動について簡単に聞くことによってフィットネスを評価することは、リスク層別化を改善できる低コストで活用されていない手段である、と示唆している。 |
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肥満パラドックスは過体重患者の良好な生存率にまで拡大した [2019-03-12] |
Obesity paradox extended to better stroke survival for overweight patients |
直感に反すると思うかもしれないが、ある程度の余分な体脂肪があることは脳卒中後に生き残る可能性を増大させることと関連があるようだ、との予備研究の結果が5月に開催されるAmerican Academy of Neurology's 71st Annual Meeting で発表される。参加者の平均BMIは27.5であった。重度肥満者は標準体重者に比べ、脳卒中後に死亡する確率が62% 低かった。また、肥満者では46%、過体重者では15% 低かった。逆に、低体重者は標準体重者に比べ、脳卒中後に死亡する確率が67% 高かった。 |
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TAVR後の退院が遅延することは死亡率の有意な上昇と関連がある [2019-03-12] |
Delayed discharge after TAVR associated with a significant increase in mortality |
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)施行後3日以上の入院を要する患者は、72時間未満に退院する患者に比べ、術後1年間の心筋梗塞、脳卒中または死亡のリスクが有意に高い、と JACC: Cardiovascular Interventions に掲載された。患者計24,285人を対象にした2011〜2015年の解析の結果、55.1% が72時間以内に退院し、一方44.9% は72時間を超えてから退院した。院内合併症で補正した結果、退院遅延は1年総死亡率の独立した予測因子であった。 |
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男性において腕立て伏せの能力は将来の心血管疾患イベント発生率が低いことと関連がある [2019-03-05] |
Push-up capacity linked with lower incidence of future cardiovascular disease events among men |
腕立て伏せを40回超連続してできる活動性の高い中年男性は心血管疾患(CVD)のリスクが有意に低かった、とJAMA Network Open に掲載された。10年間のスタディ期間中に、37のCVD関連アウトカムが報告された。CVDイベントが発生したのは、1人を除いて全員が、ベースライン時の検査で腕立て伏せを連続40回以下しかできない者であった。腕立て伏せを40回超できた男性は、10回未満だった男性に比べ、CVDイベントリスクが96% 低かった。腕立て伏せの能力は、最大下運動負荷試験で推定した有酸素容量に比べ、CVDイベントの発生率が低いことと強く相関した。 |
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降圧における運動の有益性は長時間の座位を避けることで増強される [2019-03-05] |
Benefits of exercise on lowering blood pressure can be enhanced by avoiding prolonged periods of sitting |
過剰体重や肥満の高齢男女において、朝の30分の運動は日中8時間にわたり、特に収縮期血圧を低下させる、とHypertension に掲載された。日中、座位30分ごとに3分間の軽いブレイクを入れることにより、過剰体重または肥満の女性において朝の降圧に対する有益な効果が増強されるが、男性においてはそうではなかった。なぜ性差があるのかは不明であるが、運動に対するアドレナリン反応の違いや、今回のスタディ対象の女性全員が閉経後であった事実を含む因子の組み合わせによる可能性がある、と筆者らは考えている。 |
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