遊離糖摂取を減らした食事は非アルコール性脂肪性肝疾患に対する臨床的に適切な治療となる可能性がある [2019-01-29]
Diet low in free sugars has the potential be a clinically relevant treatment for nonalcoholic fatty liver disease

遊離糖摂取を減らした食事は若年男子の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有意に改善した、とJAMA に掲載された。NAFLDは小児において最も多い肝疾患であり、2型糖尿病、末期肝疾患、肝臓がんおよび心血管疾患と関連がある。研究者らは、遊離糖低摂取群は肝臓内の脂肪が平均31% 減少したのに対し、従来の食事群では改善がないことを示した。血液検査による肝臓の炎症の計測値もまた、従来の食事群に比べ遊離糖低摂取群において有意に改善した。

産後の低用量アスピリン常用は妊娠高血圧腎症歴を有する中年女性の脳卒中リスクを低下させる [2019-01-29]
Regular low-dose aspirin after delivery lowers stroke risk in middle-aged women with a history of preeclampsia

妊娠高血圧腎症歴を有する中年女性は脳卒中リスクが高く、産後にアスピリンを内服することによりリスクを軽減できる可能性がある、と Neurology に掲載された。妊娠中のアスピリン内服は高リスク女性の妊娠高血圧腎症発症リスクを減少させるが、ほとんどの女性は産後アスピリン内服を中止してしまう。アスピリン常用は妊娠高血圧腎症に伴う脳卒中リスク上昇を消すようであるが、それは60歳未満の女性においてのみであった。今回の研究は観察研究であった。妊娠高血圧腎症歴を有する選択された女性において、脳卒中一次予防に対するアスピリンの有効性を確立するためのランダム化コントロール試験が必要である。

未治療のPTSDは外傷性イベントのタイプに関係なく心血管疾患の有病率を上昇させる [2019-01-22]
Untreated PTSD associated with higher prevalence of cardiovascular disease regardless of traumatic event type

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、メタボリック症候群同様、心血管疾患およびがんとも関連する、とJournal of Neuroscience Research に掲載された。PTSD と診断された84人(テロの被害者39人、その他の外傷性イベントの被害者45人)を対象とした今回のスタディにおいて、男性は循環器系および代謝系の合併症を有する確率が高く、一方、女性は良性および悪性腫瘍の有病率が高かった。PTSD の期間が長いことは心血管疾患発症と関連があり、テロ襲撃後のPTSD はがん有病率が高いことと関連があった。

収入が顕著に低下した若年成人は心血管疾患リスクが2倍近い [2019-01-22]
Young adults with significant drops in income had nearly double the risk of cardiovascular disease

若年成人期の突然の予測不可能な個人収入の低下は、心疾患および/または総死亡のリスクが高いことと関連がある、とCirculation に掲載された。研究者らは、スタディ開始時に米国内の4つの異なる都市に住む23〜35歳の3,937人のデータを解析した。個人収入の変動が最大であると、個人収入の変動がより少ない同等の群に比べ、追跡期間10年の死亡リスクは倍近くであり、心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患または死亡のリスクは倍以上であった。

心筋細胞の機能的異常が周産期心筋症の原因である可能性が確認された [2019-01-15]
Functional heart cell defect identified as possible cause of peripartum cardiomyopathy

Circulation に掲載された研究の結果、周産期心筋症(PPCM)の主原因の1つが、心筋細胞の機能的異常である可能性が示された。研究者らは、PPCM を有する女性において健常女性に比べ、心筋細胞内のSTAT3 タンパク質のレベルが高いことを明らかにした。また、血管形成に関与する増殖因子や免疫システムを活性化する因子の放出障害を特徴とする、PPCM 患者の心筋細胞の機能的異常がこの疾患の基盤にあるメカニズムであることも発見した。この結果は、診断的および治療的意味合いがある可能性がある。

新たに心不全と診断された患者に対する適量の飲酒により、延命効果が得られる可能性がある [2019-01-15]
Moderate drinking may have survival benefits for newly diagnosed heart failure patients

新たに心不全と診断された65歳超の患者は、状態を悪化させることなく適量の飲酒(女性で1日1杯。男性で1日2杯)を継続できる、と JAMA Network Open に掲載された。実際、このスタディでは禁酒者よりも適量の飲酒者において、延命効果が認められた。平均して、適量飲酒者の生存期間は禁酒者に比べ1年長いのみであったが、この差は統計学的に有意であった。最大の延命効果は、週10杯の飲酒によるようであったが、このデータは確定的な結論を出すには不十分であった。

人工知能システムは脳内出血の診断および分類を学習する [2019-01-08]
Artificial intelligence system learns to diagnose and classify intracranial hemorrhage

人工知能を用いて脳内出血を迅速に診断および分類し、比較的少ない画像データセットからその判断の基礎を提供するシステムが開発された。このモデルシステムは、CTスキャン画像上の脳内出血の診断および分類において、検査時に放射線科医が読影した結果と同程度に正確であった。非専門家の読影よりも優れていた。このようなシステムは、正確な治療のための迅速な使用を可能とし、生命を脅かす可能性のある脳卒中の症状を有する患者を評価する救急治療部においては、不可欠なものとなり得る。この論文はNature Biomedical Engineering に掲載された。

出産は将来の心疾患および脳卒中リスクを14% 上昇させる [2019-01-08]
Giving birth associated with 14% higher risk of future heart disease and stroke

出産することは子供をもたない場合に比べ、将来の心疾患および脳卒中リスクを14% 上昇させる、とEuropean Journal of Preventive Cardiology に掲載された。BMI、糖尿病、高血圧、喫煙、および収入レベルに関係なく、出産1回ごとに心血管疾患発症率が4% 上昇した。筆者らは、妊娠が体内の炎症、腹部、血中および動脈内の脂肪蓄積に繋がる可能性がある、と推測している。これらの変化は心血管系に永続的な影響を及ぼし、後の心臓および脳卒中のリスクを上昇させる可能性がある。