がんサバイバーにおける不眠症治療のための認知行動療法および鍼治療の利用 [2018-05-29]
Use of cognitive behavioral therapy and acupuncture to treat insomnia in cancer survivors

がんサバイバーを対象としたランダム化臨床試験の結果、不眠症に対する8週間の鍼治療または認知行動療法(CBT-I)は、がんサバイバーの不眠症の重症度を低下させ、改善効果は認知行動療法を受けた患者において最大であったことが示された。8週間後、不眠症重症度スコアはCBT-I群で18.5から7.5へと10.9ポイント低下、鍼治療群では17.55から9.23へと8.3ポイント低下した。試験開始時に不眠症が軽度であった者の間では、鍼治療に比べCBT-Iで改善した者の方がはるかに多かった(85% vs. 18%)。このスタディ結果は、2018 ASCO Annual Meeting で発表されている。

晩年にわずかな財産しかないことは学歴とは関係なく認知症リスクを上昇させる [2018-05-29]
Limited wealth in later life associated with increased risk of dementia, independent of education

財源が少ない高齢者は認知症発症リスクが高い、とJAMA Psychiatry に掲載された。研究者らは1902〜1943年に英国で出生した高齢者6,000人超のデータを解析し、最も貧困な20% の人々は最も貧困でない20% の人々に比べ、認知症発症率が50% 高いことを明らかにした。この結果は学歴に関係なく当てはまった。様々な因子が関連し得る、と筆者らは述べている。健康的なライフスタイルおよび医学的リスクファクターの違いは関連し得るだろう。良い暮らしをしている人々は、活発に世間と関わり続けられる社会的文化的な機会を多く有していることも、関連があるだろう。

心臓手術前の運動能力が低いことは術後の認知機能障害と関連がある [2018-05-22]
Low exercise capacity before cardiac surgery associated with postoperative cognitive dysfunction

心臓手術前の6分間歩行距離は患者が術後認知機能障害(POCD)を発症するか否かの手がかりとなる可能性がある、とAnnals of Thoracic Surgery に掲載された。6分間の歩行距離(6MWD)が少ないことは、心臓手術後の記憶力、集中力、および注意力の問題に対するリスクファクターであった。実際、6MWDが少ないほど、術後の認知機能低下がより顕著であった。スタディ参加者181人中51人(28%)がPOCDを発症した。

研究の結果、うつ病と脳の老化は同時に起こり脳小血管病に影響を及ぼす可能性があることが示唆された [2018-05-22]
Research suggests depression and brain aging may occur simultaneously and affect small vessel disease

高齢者におけるうつ病は記憶障害と関連があり、うつ症状の強い高齢者は脳の構造的な相違がある可能性がある、とNeurology® オンライン版に掲載された。年齢、人種、抗うつ薬、およびその他の変数で補正した結果、うつ症状が強いことはエピソード記憶が不良であることと関連があった。うつ症状が強くない者と比べ、試験のスコアは標準偏差の0.21だけ低かった。また、うつ症状が強い者は脳の小血管病を有する確率が55% 高いことに加え、脳容積が小さいなどの脳の相違を呈していた。

抗コリン作用をもつ一部の抗うつ薬および尿失禁薬の長期使用は認知症に関連する [2018-05-15]
Long-term use of some anticholinergic antidepressants and incontinence medications linked to dementia

抗コリン作用をもつ一部の抗うつ薬の長期使用は、最長で、認知症と診断される20年前に内服していても、認知症リスク上昇と関連があるとBMJ に掲載された。この研究によりまた、膀胱の病気やパーキンソン病に処方された抗コリン薬も認知症と関連があることも示された。認知症と診断された人々は特定の種類の抗コリン薬を処方されている確率が最大30% 高かった。さらに、認知症との関連はこれらの薬剤への曝露が多いほど強かった。しかし、抗ヒスタミン薬や腹部痙攣に使用される他のいくつかの抗コリン薬には、認知症との関連は認めなかった。

中年期の中等度から重度の不安はその後の認知症に繋がる前駆症状である可能性がある [2018-05-15]
Moderate to severe mid-life anxiety may be a prodromal symptom leading to dementia later in life

中年期の中等度から重度の不安はその後の認知症に繋がる可能性があることが、論文として出版されたエビデンスの解析結果から示唆された、とBMJ Open オンライン版に掲載された。研究者らは、不安と認知症または軽度認知障害発症との関連を調査した2017年3月8日までに出版された全ての論文の3つのデータベースを検索した。彼らは、組み入れ基準に合致した合計約30,000人を対象とした4つのスタディを同定した。その結果、中等度から重度の不安と将来の認知症との関連が示され、診断までには最低10年間の時差があった。

神経心理学的検査は軽度認知障害の安定性を10年にわたり予測する [2018-05-01]
Neuropsychological tests predict stability of mild cognitive impairment over a decade

Journal of Alzheimer's Disease に掲載されたスタディの結果、一部の認知障害患者においては10年にわたる神経心理学的安定が可能であり、記憶および非言語的抽象的推論について計測した神経心理学的検査に基づき予測することができる。ベースライン時に、記憶テストのWord Delayed Total Recallおよび非言語的抽象的推論テストのRaven's Progressive Matricesにおいて高得点であることから、長期(10年間)の臨床的安定性が予測された。ベースライン時のRaven's Progressive Matricesの総得点が1ポイント増加する毎に、長期の安定性の確率が約2倍上昇した。

中年の認知機能障害マーカーとしての嗅覚障害スクリーニング [2018-05-01]
Screening for olfactory dysfunction as marker for cognitive impairment in middle-age

地域住民を対象としたある大規模研究において、嗅覚障害を有する65〜74歳の参加者は認知パフォーマンスが低下していることが明らかにされた。この強力な相関は、より若年の集団(55〜64歳)または高齢(75〜86歳)の集団においては認められなかった。中年の嗅覚脱失者は、いくつかの認知機能検査において成績が最低であった。全ての年齢群において定量的相関があり、嗅覚脱失群は嗅覚低下群よりも全てのサブ検査において検査成績が不良であり、嗅覚低下群は正常嗅覚群よりも不良であった。さらに、この影響は女性において男性よりも顕著であった。このスタディはJournal of Alzheimer's Disease に掲載された。