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記憶障害に気付かないことはアルツハイマー病発症の予測因子である [2018-02-27] |
Not being aware of memory problems predicts onset of Alzheimer's disease |
認知症発症リスクの高い人を担当する医師は、記憶障害を自覚しない患者は短期間に疾患が悪化するリスクが高いのではないか、と長年にわたり疑ってきたが、今回この疑いが研究により確認された、とNeurology に掲載された。自分の記憶障害に気付かない患者は、遺伝的リスク、年齢、性別および教育などの他の因子で補正してもなお、認知症発症リスクが高かった。認知症の増悪リスク上昇は、アルツハイマー病で傷つきやすい脳領域の代謝不全が進行していることを反映していた。 |
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高齢者の脳において日々の身体活動が多いことは灰白質の体積が大きいことと関連がある [2018-02-27] |
More everyday activities associated with increased amount of gray matter in brains of older adults |
高齢者において、運動に加え家の掃除や犬の散歩、ガーデニングなどの日々の身体活動性が高いことは、灰白質の体積が多いことと関連がある、とJournal of Gerontology : Psychological Sciences に掲載された。灰白質体積は、認知機能障害の症状が出現しなくとも成人期後期にしばしば減少し始める。身体活動と灰白質体積の関連は、灰白質体積が少ないことと関連のある年齢、性別、教育レベル、BMIおよびうつ症状などの因子で補正してもなお認められた。 |
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小児期の心疾患既往者は若年性認知症のリスクが高い可能性がある [2018-02-20] |
Survivors of childhood heart defects may have higher risk of premature dementia |
先天性心疾患を有し成人した人々は認知症、特に若年性認知症のリスクが高い可能性がある、とCirculation に掲載された。デンマークにおいて、先天性心疾患を有する人々における血管性認知症、アルツハイマー病などあらゆる原因による認知症リスクは、一般人口に比べ60% 高かった;若年性認知症(65歳前に診断)は160%(2.6倍)、65歳以降に診断された認知症は30% 多かった。認知症リスクは心房細動、心不全および糖尿病などその他の心疾患リスクファクターを発症した先天性心疾患患者において、より高かった。 |
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MRIスタディにより、飲酒をすると攻撃性を抑える脳領域がどのように遮断されるかに注目が集まる [2018-02-20] |
MRI study highlights how areas in the brain that temper aggression shut off when people drink alcohol |
研究者らは、脳内血流を計測する磁気共鳴画像(MRI)検査を用いて、人々が飲酒後にしばしば攻撃的および暴力的になる理由の理解を深めた。わずか2ドリンクだけで、通常はその人の攻撃性の抑制に関与する前頭前皮質の働きが変化することを指摘した。アルコールは全体的に見て前頭前皮質に大きな打撃を与えるが、たとえ少量のアルコールであっても、背内側および背外側前頭前野の活性とアルコールによる攻撃性とに有意な正相関関係が認められた。このスタディはCognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience に掲載された。 |
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オピオイドの中止はうつ病が治療され寛解していると成功率が高い [2018-02-13] |
Opioid cessation may be more successful when depression is treated to remission |
非がん性疼痛患者におけるオピオイド中止は、うつ病が治療され寛解している時に成功率が高い、とBritish Journal of Psychiatry 2月号に掲載された。研究者らは後ろ向きコホート研究を用いて、90日間以上オピオイドを処方された患者における抗うつ薬へのアドヒアランスの有無を比較した。患者は18〜80歳であり、HIVまたはがんの診断をされた患者は除外された。抗うつ薬へのアドヒアランスが良好でありオピオイド内服を中止した患者は、オピオイドを中止しなかった患者に比べ、うつ症状が迅速に大きく軽減した。 |
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ADHDの遺伝子リスクの多様性は学業成績が低いことと関連がある [2018-02-13] |
Majority of ADHD genetic risk variants associated with lower educational attainment |
Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry に掲載されたスタディにおいて、注意欠如/多動性障害(ADHD)に関連した5つの新たな遺伝子の多様性が、ADHDと学業成績との遺伝子のオーバーラップを活用することにより同定された。ADHD遺伝子リスクの多様性の多くが、学業成績が不良であることと関連した。筆者らは5つの新たなADHD関連遺伝子座、およびこれらのうち3つが学業成績にも関連していることを報告した。5つのAHDH関連遺伝子座のうち4つは、蛋白質コード遺伝子(KDM4A, MEF2C, PINK1, RUNX1T1)に関与している。ADHDと学業成績との著明な負の遺伝相関は、これらのフェノタイプ間の遺伝的基盤が共有されていることを支持する。 |
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Mediterranean-DASHダイエットは脳卒中既往者の認知機能低下を大幅に遅延させる可能性がある [2018-02-06] |
Mediterranean-DASH Diet may substantially slow cognitive decline in stroke survivors |
神経変性を遅らせることを目的としたMediterranean-DASHダイエット介入(Mediterranean-DASH Diet Intervention for Neurodegenerative Delay [MIND diet])は、脳卒中既往者の認知機能低下を遅延させる可能性がある、とAmerican Stroke Association's International Stroke Conference 2018 で発表された。研究者らは、脳卒中既往者106人の認知機能および食事日記を5.9年にわたり評価した。MINDダイエットスコアが最高であった者は、スコアが最低であった者に比べ、認知機能低下率が大幅に低かった。このダイエットの効果予測は、対象者の教育レベルや認知的および身体的活動への参加を考慮してもなお強力であった。 |
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ゾニサミドはレビー小体型認知症患者の精神症状を悪化させることなく運動症状を軽減させる [2018-02-06] |
Zonisamide reduces movement symptoms without worsening psychiatric symptoms in patients with Lewy body dementia |
Neurology®オンライン版によると、パーキンソン病治療薬レボドパの現在の服用量にゾニサミドを併用することにより、レビー小体型認知症患者の幻覚、妄想、または興奮などを悪化させることなく運動症状が改善した。研究者らは、初期のレビー小体型認知症と診断されてから平均1.5年経過した158人を追跡した。12週後、レボドパに加え1日50mg のゾニサミドを内服した患者は、プラセボ内服患者に比べ、動作スケールが4点以上改善していた。精神症状の悪化はなかった。 |
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