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SOLO-1:オラパリブによる維持療法は進行卵巣がん患者の無増悪生存期間を推定3年間延長する [2018-10-30] |
SOLO-1: Olaparib maintenance extends progression-free survival by estimated 3-years in advanced ovarian cancer |
BRCA1 または2 遺伝子変異を有する進行卵巣がんと新たに診断された患者において、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬オラパリブを用いた維持療法は、無増悪生存期間の大幅な改善をもたらした、とESMO 2018 Congress で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。第III相SOLO-1トライアルの結果、プラセボ投与群患者のPFS中央値はわずか13.8か月であったのに対し、オラパリブ投与患者では未到達だったが、プラセボ群より約3年長いようである(p<0.0001)と筆者らは述べている。 |
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SABR-COMET:体幹部定位放射線治療は、一度は治療不能と思われた患者の生存率を大幅に改善する [2018-10-30] |
SABR-COMET: Stereotactic ablative radiotherapy substantially improves survival in patients once thought to be incurable |
この種の試験で初めての第II相臨床試験において、積極的な高精度放射線治療は少数転移患者の生存期間を大きく延長させ、無増悪生存期間(PFS)を2倍にすることが示された。体幹部定位放射線治療(SABR)を施行された患者の全生存期間中央値は41か月であったのに対し、標準治療群では28か月であった(p=0.09)。また、PFSはSABR群で12か月であったのに対し標準放射線治療群では6か月であり(p=0.001)、SABRはPFSを2倍にした。このSABR-COMETトライアルの結果は60th Annual Meeting of the American Society for Radiation Oncology で発表された。 |
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転移性乳がん細胞が休眠状態であるかすぐに命にかかわるかを判断する新たな手段 [2018-10-23] |
New way to determine whether metastatic breast cancer cells are dormant or soon to turn deadly |
乳がん患者が命にかかわる遠隔再発をするか否かを示すマーカーとしてのタンパク質が同定された、とBreast Cancer Research に掲載された。乳がん患者の原発腫瘍由来の細胞が骨髄に転移した場合、NR2F1 タンパク質がないかまたは少量であると患者はまもなく死亡した。しかし、骨髄内がん細胞のNR2F1 濃度の高い患者は、このタイプの遠隔再発の頻度が低く生存期間が長かった。この研究を用いて、医師は骨髄穿刺を行うことで患者をモニターできる可能性がある。 |
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日常臨床診療において乳腺濃度を測定する人口知能の画期的導入 [2018-10-23] |
Groundbreaking implementation of artificial intelligence in routine clinical practice to measure breast density |
人工知能(AI)のアルゴリズムは、熟練したマンモグラフィ読影医師のレベルで乳腺濃度を測定する、とRadiology に掲載された。研究者らは、アルゴリズムを日常臨床診療に導入する前に、何万件もの高品質デジタルマンモグラムを用いて訓練やテストを行った。その後8人の放射線科医が10,763件のマンモグラムを読影し、モデルが判断したものが高濃度の乳腺組織かそうでないかを判断した。読影医師はアルゴリズムによる評価を10,149件つまり94% のマンモグラムについて承認した。ディープラーニングアルゴリズムは、今やMassachusetts General Hospital において全てのスクリーニングマンモグラムを処理するのに用いられ乳腺濃度を提供しており、それらを放射線医が承認するか否かを判断している。 |
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チェックポイント阻害薬併用による術前補助化学療法のトライアルの結果、高リスクIII期悪性黒色腫に対する高い奏効率が示された [2018-10-16] |
Neoadjuvant combination checkpoint blockade trial yields high response rates for patients with high-risk stage 3 melanoma |
高リスクIII期悪性黒色腫に対するチェックポイント阻害薬併用による術前補助化学療法は高い奏効率を示し、半数近くが手術の時点で疾患の徴候を有さなかった、との第II相試験の結果がNature Medicine に掲載された。併用療法群(ニボルマブとCTLA-4阻害薬イピリムマブの併用)では、73% の患者において腫瘍が縮小し、45% が病理学的完全奏効を示し、73% においてグレード3の副作用が発現した。ニボルマブ単独群では、25% の患者において腫瘍が縮小し病理学的完全奏効を示したが、グレード3の副作用が発現したのはわずか8% であった。 |
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アスピリン常用は肝細胞がん発症リスクを有意に低下させた [2018-10-16] |
Regular aspirin use significantly reduced risk of developing hepatocellular carcinoma |
JAMA Oncology に掲載された2つの長期疫学研究のデータを解析した報告は、アスピリン常用により肝細胞がん(HCC)発症リスクを軽減し得ることを示唆した過去の研究によるエビデンスを支持する。アスピリン325 mg錠を週に2錠以上定期的に内服することにより、HCC発症相対リスクが49% 低下した。アスピリンを5年以上内服した者においては、相対リスクが59% 低下した。このリスク軽減はアスピリン内服を中止すると減少し、アスピリン内服中断後8年までに消失した。アセトアミノフェンまたはイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬の常用は、HCCリスクには影響しなかった。 |
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食事療法は腸内細菌叢に影響するのと同様に乳房内細菌叢にも影響する [2018-10-09] |
Diet affects the microbiome of the breast in a similar manner to the way it affects the gut |
乳腺は細菌叢を有しており、腸内細菌叢のように食事の影響を受ける可能性があるとの研究結果がCell Reports に掲載された。メスのサルを試験グループとして用いた結果、地中海式ダイエットを実践されたサルは欧米食を食べたサルに比べ、乳腺組織内の細菌叢が明らかに異なっていることが示された。地中海ダイエットを摂取することにより乳腺のラクトバチルス属、つまり前臨床モデルにおいて乳がんにおける腫瘍増殖を減少させることが示されたバクテリアが、約10倍増加した。地中海式ダイエットはまた、乳がんリスクを軽減させる可能性のある乳腺組織内の胆汁酸代謝産物を増加させた。 |
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最小サイズのナノ粒子‐カプセル化されたドキソルビシンがトリプルネガティブ乳がんの細胞死滅を増加させる [2018-10-09] |
Smallest sized nanoparticle-encapsulated doxorubicin increases cell kill in triple-negative breast cancer |
ナノ粒子‐カプセル化されたドキソルビシンはトリプルネガティブ乳がんの治療に有望である、とPrecision Nanomedicine に掲載された。ドキソルビシンは主に併用化学療法において用いられる、よく知られたアントラサイクリン系薬剤である。研究者らは、いくつかの抵抗性細胞株に対する生物学的活性に最も影響するナノ粒子の特性を同定するために、ナノ粒子を含むいくつかの剤型のドキソルビシン製剤を作成した。研究チームは薬剤のサイズおよび放出時間を操作しその結果、ドキソルビシンの放出が最も遅い最小のナノ粒子が、トリプルネガティブ乳がん細胞における細胞殺傷効果が高いことを明らかにした。 |
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ROS1陽性非小細胞肺がんに対するentrectinibの有望な結果 [2018-10-02] |
Promising results for entrectinib against ROS1-positive non-small cell lung cancer |
19th World Conference on Lung Cancer で発表されたROS1陽性非小細胞肺がんにおける治療薬entrectinib の第1相および第2相臨床試験の結果、奏効率は77.4% であり奏効期間中央値は24.6か月であることが示された。中枢神経系に病変が及んでいる患者において、脳転移における奏効率は55% であった。組み入れ時に脳転移を有さなかった患者では、無増悪生存期間(PFS)は26.3か月であった;組み入れ時に脳転移を有していた患者では、PFSは13.6か月であった。筆者らは、entrectinib はROS1陽性NSCLCに対するクリゾチニブに取って代わるファーストライン治療薬になり得る、と示唆している。 |
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喫煙歴に関係なく、非小細胞肺がんの女性患者は男性患者よりも寿命が長い [2018-10-02] |
Regardless of smoking history women survive non-small cell lung cancer longer than men |
非小細胞肺がんと診断された女性患者は対照の男性患者に比べ寿命が長い、とのSWOG スタディの結果がIASLC 19th World Conference on Lung Cancer で発表された。喫煙歴または他の因子に関係なく、女性は男性に比べ全生存(OS)率が有意に良好であった。この解析の結果、非喫煙女性(FNS)および既喫煙女性(FES)は、非喫煙男性(MNS)および既喫煙男性(MES)に比べ、有意にOS が良好であった。5年推定生存率は、FNS で73%、FES で69% であり、MNS では58%、MES では52% であった。 |
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