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個人の記憶形成について小児脳腫瘍における放射線療法の未知の影響 [2018-08-28] |
Previously unknown effect of radiation therapy on creation of personal memories in children with brain tumors |
髄芽腫に対し放射線療法を受けた若年患者は、特定の出来事に関する新たな記憶を形成するのに苦労する、とJournal of Neuroscience に掲載された。研究者らは、小児期に放射線療法を施行された7〜18歳の若年者および健常対照群に対し2つの異なる記憶‐前月の出来事および思い出せる限り昔の出来事‐を思い出すよう伝えた。その結果、脳腫瘍治療患者は健常対照群に比べ、最近の記憶については時間や場所などの詳細な報告が少なかったが、過去の記憶については詳細を報告することができた。古い記憶は保持できるが新たな記憶形成が困難であることは、これらの患者において観察される海馬のニューロン新生が減少したことと関連している可能性がある。 |
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簡単な検査により免疫療法が奏効しない膀胱がん患者を同定できる可能性がある [2018-08-28] |
Simple test could identify bladder cancer patients who won't respond to immunotherapy |
膀胱がんに対し、一般的に使用される免疫療法でベネフィットが得られる見込みのない患者を、ある簡単な血液検査で同定できる、とCancer Immunology Research に掲載された。このパイロット研究は、治療前に施行された炎症性分子インターロイキン-2の免疫細胞からの放出を計測した血液検査が、治療からベネフィットを得られない患者の約50% を即座に同定できることを示している。全体として、この検査は約80% の症例において治療効果を正確に予測した。これにより、不必要かつ無効な治療期間数か月を短縮することができる可能性がある。 |
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免疫療法がより有効である可能性の高い胃腫瘍の同定 [2018-08-21] |
Identifying gastric tumors that are likely to be more responsive to immunotherapy |
MUC16遺伝子の変異を有する胃がん組織は腫瘍変異負荷が高いことと関連がある、とJAMA Oncology オンライン版に掲載された。研究者らは米国における437件の胃がん組織検体(ディスカバリーセット)およびアジア人の胃がん組織検体256件(バリデーションセット)を解析した。両者において、MUC16変異を有する胃がん検体はMUC16変異を有さない検体に比べ、腫瘍変異負荷が有意に大きかった。この変異はディスカバリーセットの38.4% およびバリデーションセットの22.3% に存在した。腫瘍変異負荷が高い腫瘍は免疫療法の有効性が高い傾向にあった。 |
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放射線療法と乳腺腫瘤摘出術の併用はDCIS患者の死亡リスクを低下させる [2018-08-21] |
Radiation therapy plus lumpectomy associated with reduced risk death in women with DCIS |
非浸潤性乳管がん(DCIS)患者において、乳腺腫瘤摘出術+放射線療法の併用は乳腺腫瘤摘出術単独または乳房切除術単独に比べ、乳がん死リスク軽減において軽度の臨床的有益性を有した、とJAMA Network Open オンライン版に掲載された。これは観察研究である。DCISに対し放射線療法+乳腺腫瘤摘出術の併用療法を施行された患者において乳がん生存率の軽度の改善が認められた。絶対リスク減少率は0.27% であり、つまり1人の命を救うために370人を治療する必要があることを示している。乳腺腫瘤摘出術+放射線療法の併用を施行された患者は、乳房摘出術を施行された患者に比べ局所再発は多かったが死亡は少なかった。 |
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新規混合薬は分子標的治療を強化し副作用を減少させる [2018-08-07] |
Novel drug cocktails strengthen targeted cancer therapies while lessening side effects |
ある混合薬は分子標的治療によるがん攻撃をより効果的に支援し、一般的な副作用は軽減する、と Cancer Research に掲載された。混合薬はまた、がんを複数の方向から攻撃し薬剤耐性獲得を食い止め、増殖を抑制するのにも役立ち得る。抗がん剤、抗腫瘍抗生物質、および化合物を含む混合薬は、それ自体では一般的に治療効果の得られない低用量で投与される。そのかわりに、これらの薬剤は他の分子標的治療に対する患者の反応を補強する。研究者らは、この新規混合薬をヒトのがん細胞株、ショウジョウバエ、およびマウスに試すことで、この新たな方法が分子標的治療薬を増強することを発見した。 |
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4つの栄養状態スコアの解析結果から、アルコールをやめる食事から最大の抗がん効果が得られることが示された [2018-08-07] |
Analysis of four nutritional scores showed biggest anti-cancer benefit from diet that discourages alcohol |
健康的な食事や運動と、アルコール摂取をやめることの両方を推奨する食事療法は、乳がん、前立腺がん、および大腸がんに加え、がん全体のリスクを減少させたとの解析結果が、Cancer Research に掲載された。いくつかの栄養学的勧告を評価したこのスタディの結果、全ての食事が何らかのリスク軽減と関連があったが、特にがん予防を念頭において作成された World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research (WCRF/AICR)の勧告は、最も強力にリスクを低下させた。アルコールを避けるというWCRF/AICRの勧告が、食事療法のがんリスク軽減効果に最も寄与したようである、と筆者らは述べている。 |
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