装着型スマートウォッチはがん治療期間中のQOLおよび日常機能の評価に役立つ [2018-07-31]
Wearable fitness trackers can help assess quality of life and daily functioning during treatment for cancer

スマートウォッチは、がん治療期間中の患者のQOLおよび日常機能の評価に対する有益な手段である、と npj Digital Medicine オンライン版に掲載された。装着型の活動モニターには、歩数、登った階段、カロリー、心拍数および睡眠を日々記録する、腕に装着する市販の装置が組み込まれた。研究者らは、進行がんを有する患者37人のスマートウォッチのデータと、患者自身の疼痛、倦怠感および睡眠の質などの症状評価とを比較した。日々の歩数や階段昇降が多いことは、プロバイダー調査上の患者の状態がより良好であること、および有害事象や入院が少ないことと関連があった。

がん患者は抗PD-1療法による遅発性の自己免疫反応を来す可能性がある [2018-07-31]
Cancer patients may experience delayed autoimmune reactions from anti-PD-1 therapy

抗PD-1療法を受けるがん患者で、湿疹、乾癬、または他の皮膚の自己免疫疾患を発症する者は、これらの有害事象を遅れて、時には治療完遂後に来す可能性がある。今回のスタディでは、皮膚疾患を来した患者17人中12人が、ペンブロリズマブまたはニボルマブを用いた治療開始後3か月以上経過してから発症した。最も早い反応は2週間後であり、最も遅いのは38か月後であった。5人の患者においては、抗PD-1療法に起因する皮膚反応が、既に薬剤投与が終了した後に発現した。この結果はJAMA Dermatology に掲載された。

5年間フットボールをすることは前立腺がんを有する男性の骨密度維持と関連がある [2018-07-24]
Playing football over 5-years is linked with preserved bone mineral density in men with prostate cancer

Journal of the American Heart Association に掲載された、前立腺がん治療としてアンドロゲン除去療法を施行された高齢患者のスタディにおいて、5年間フットボールをすることは大腿骨頸部の骨密度(BMD)が維持されていることと関連があった。5年後の追跡時、右大腿骨頸部のBMDはフットボールプレイヤーにおいて2.8% 改善したのに対し、コントロール群では2.0% の改善であった。体組成、フィットネス、および身体機能とは関連がなかった。今回、フットボール選手においてBMDの低下がなかったことは、BMDは通常加齢や特に前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法を行われた男性において認められることを考慮すると注目すべきことである、と筆者らは指摘している。

一側多発乳がんを有する女性は乳房切除術を行わずに乳房温存手術を問題なく完遂できる [2018-07-24]
Women with multiple ipsilateral breast cancer can successfully complete breast conservation therapy rather than mastectomy

Annals of Surgical Oncology に掲載された新たなスタディの結果、乳房温存手術は一側多発乳がんを有する大多数の患者に対して、実行可能な選択肢であることが明らかにされた。新たに実施された多施設臨床試験では、乳房温存手術を施行された一側多発乳がん患者の予後と、乳房切除術に変更された患者の予後を比較した。試験参加適格者198人中184人(92.9%)において乳房温存術が問題なく完了し、うち134人は1回の手術であった。次のステップは、一次エンドポイントである局所再発率、およびさらに乳房の美容的な改善やこれらの患者における放射線照射部位の適切性などの二次エンドポイントの評価である。      

ロボット支援腎部分切除術は、開腹手術または腹腔鏡下手術に比べ合併症や死亡を減少させる [2018-07-17]
Robotic partial nephrectomy decreases complications and death in early kidney cancer compared to open or laparoscopic techniques

ロボット支援腎部分切除術は、腹腔鏡下腎部分切除術と同等か時にはそれよりも優れているとの体系的レビューおよびメタ解析の結果が、Journal of Urology 8月号に掲載された。ロボット支援手術を開腹腎部分切除術と比べた結果、ロボット支援腎部分切除術により術中および術後の合併症、がん再発、全死亡率、入院期間および再入院が減少するなど、良好な転帰がもたらされた。これら2つの手技で、がん特異的死亡率に差はなかった。しかし、ロボット支援手術では全死亡率が低く、術中および術後の合併症が少なかった。

HER2陽性乳がんに対するtucatinibとT-DM1の併用に関する有望な臨床試験結果 [2018-07-17]
Promising clinical trial results of tucatinib with T-DM1 against HER2-positive breast cancer

JAMA Oncology に掲載された第1b相臨床試験の結果、多種類の抗がん剤前治療歴を有するHER2陽性乳がんに対し、tucatinib(以前はONT-380)とT-DM1の併用療法が有望であることが示された。治療を受けた患者57人中48% においてこの併用療法は奏効し、がんコントロール期間中央値は8.2か月であった。重要なことに、tucatinib はHER2陽性乳がんからの脳転移(乳がんの主要な死因)に対しても有効であった。Tucatinib はHER2増殖因子受容体の小分子阻害薬である。この薬剤が小分子であるという事実は、この薬が血液脳関門を通り抜け乳がんの脳転移病変に対して作用することが可能であることを意味している。

閉経前の乳がんリスクにおける肥満の役割を理解する [2018-07-10]
Understanding the role obesity plays in breast cancer risk before menopause

体脂肪の多い若年女性は閉経前に乳がんを発症する確率が低い、とJAMA Oncology に掲載された。研究者らは、閉経前女性における乳がん相対リスクは、BMIが5単位増加するごとに、年齢により12〜23% 低下したと判断した。最も影響力が強かったのは18〜24歳のBMIとの関連であり、この年代で非常に肥満であった女性は同時期にBMIが低かった女性に比べ、閉経前乳がんを発症する確率が4.2倍低かった。

携帯用デバイスは化学療法を受けた小児がん既往者における心機能障害を正確に検出する可能性がある [2018-07-10]
Handheld device may accurately detect cardiac dysfunction in childhood cancer survivors treated with chemotherapy

アントラサイクリン系化学療法剤により治療された小児がん既往者において、心機能障害を検出するようにデザインされた無線装置は、心臓核磁気共鳴(CMR)画像よりも正確であり偽陰性率が低い、とClinical Cancer Research に掲載された。研究者らは、Vivio(脈波および頸動脈から得た心音図データを収集するプロトタイプ携帯型装置)と心エコーおよびCMR画像を、アントラサイクリン系化学療法剤に曝露されたことのある患者191人において比較した。CMR画像をゴールドスタンダードとして用いた結果、VivioはLVEFの異常な者の検出において高感度で偽陰性率は低かった。

進行前立腺がんに対する放射性リガンド療法を用いた早期治療は生存期間を延長する [2018-07-03]
Early treatment of advance prostate cancer with radioligand therapy prolongs life

2018 Annual Meeting of the Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging で発表され、Journal of Nuclear Medicine に掲載された研究の結果、転移を有する前立腺がん患者に対し、ルテチウム-177 (177Lu)前立腺特異的膜抗原(PSMA)放射性リガンド療法を早期に行うことの有益性が示された。スタディには転移を有する前立腺がん患者224人が含まれ、ガリウム-68 (68Ga)-PSMA PET/CTすなわち177Lu-PSMA放射性療法(PRLT)の診断パートナーを用いた診断後に、再度ステージ分類された。その結果、 177Lu PRLTで治療された患者の70% においてPSA値が低下し、54% ではPSA値が50% 超低下した。これまでに、この治療法が用いられたのは末期患者のみである。

LOCATE:Fluciclovine PET/CTはこれまで検出できなかった前立腺がん病変の部位を特定し治療管理を変える [2018-07-03]
LOCATE: Fluciclovine PET/CT locates previously undetected prostate cancer lesions and changes treatment management

生化学的再発の前立腺がん患者の精密検査にfluorine-18 (18F)-fluciclovine PET/CTを追加することにより、これまでに検出できなかった病変の部位を特定でき多くの患者において治療管理が変わる、と2018 Annual Meeting of the Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging で発表され、同時にJournal of Nuclear Medicine に掲載された。LOCATEトライアルでは 、18F-fluciclovine画像診断により59% の患者において臨床管理が変更された。これらの変更のうち、78% は"大きな"変更(つまり、治療法の変更)に分類された。がんは前立腺および骨盤内および腹腔内リンパ節や骨など他の臓器でも検出された。