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新たな治療法は小児および若年成人T細胞性悪性腫瘍の生存率を改善する [2018-05-29] |
New regimens improve survival for children and young adults with T-cell cancers |
T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)またはT細胞性リンパ芽球性リンパ腫(T-LL)を有する小児および若年成人の90% が標準的な化学療法にネララビンを上乗せすることで4年間生存し84% が再発しなかった、との第III相臨床試験の結果が2018 ASCO Annual Meeting で発表された。この結果は、これらのT細胞性悪性腫瘍に対してこれまで報告された生存率の中で最も高いものである。標準的な化学療法にネララビンを上乗せすることで、T-ALLの中等度または高リスク患者群に対してさらなるベネフィットが得られた;4年後、ネララビン投与群の89% に再発がなかったのに対し、非投与群におけるその割合は83% であった。 |
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モバイルセンサーソフトウェアを用いて頭頸部がん症状の重症度を低下させる [2018-05-29] |
Use of mobile and sensor technology lowers symptom severity for people with head and neck cancer |
頭頸部がんに対し放射線療法を受けている患者で、モバイルセンサーソフトウェアを用いて症状の遠隔モニタリングを実施されている者は、がんとその治療による症状のいずれもがそれほどひどくないと報告した、と2018 ASCO Annual Meeting で発表された。参加者は、CYCOREと呼ばれるモバイルセンサーソフトウェア(169人)または通常のケアを受ける群(188人)にランダムに割り付けられた。CYCORE群はBluetooth対応の血圧計カフおよび体重計を使用した。放射線治療完遂後、CYCORE群は通常ケア群に比べ、平均全身症状および頭頸部がん特異的症状に関するスコア(それぞれ2.9対3.4および4.2対4.8)が低かった(すなわち良好)であった。 |
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経口薬のリバーロキサバンはがん患者の静脈血栓塞栓症リスクを軽減する [2018-05-22] |
Oral drug rivaroxaban reduces risk of venous thromboembolism among cancer patients |
経口第Xa因子阻害剤は、致命的な危険性のある深部静脈血栓症および肺塞栓症からがん患者を守るのに役立つ、とJournal of Clinical Oncology に掲載された。研究者らは、がんと静脈血栓塞栓症(VTE)を有する406人を組み入れた。これらの患者の多く(69%)は、VTE発症時にはがん治療(一般的には化学療法)を受けていた。半数は低分子ヘパリン(LMWH)投与群にランダムに割り付けられ、半数は経口薬リバーロキサバンを投与された。6か月間の治療後、VTE再発率はリバーロキサバン投与群で4% であり、LMWH投与群では11% であった。 |
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MRI fusion生検は標準的な方法に比べ臨床的に有意な前立腺がんを高率に検出する [2018-05-22] |
MRI fusion biopsy detects higher proportion of clinically significant prostate cancer compared to standard biopsy |
MRI fusion生検‐MRIと超音波を組み合わせて前立腺内の疑わしい部位を可視化し、その特定の領域を狙撃生検するもの−は、過去の生検では陰性であった患者において標準的な前立腺生検より性能が優れていた、とUrologic Oncology に掲載された。過去1回以上の前立腺生検において陰性であったスタディ対象患者779人(平均年齢63歳)が、その後MRI fusion生検も実施された。346人(44%)の患者においてがんが検出された。臨床的に有意ながん検出率は30.7% であり、fusion生検により検出されたのが26.3%(205例)、従来の生検で検出されたのはわずか4.4%(34例)であった。 |
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前臨床試験の結果、CAR-T細胞療法は大腸がんに対し有効で安全な治療法である可能性が示唆された [2018-05-15] |
Pre-clinical trial suggests that CAR-T cell therapy may be an effective and safe treatment for colorectal cancer |
切除不能進行再発大腸がんのマウスモデルにおいて、CAR-T細胞療法は腫瘍を死滅させ遠隔転移を予防することに成功した、との前臨床試験の結果がCancer Immunology Research に掲載された。研究者らは、大腸がんなどのGUCY2Cを発現しているがんを特異的に治療するためにCAR-T療法を作成した。今回のスタディにおいて、ヒトの大腸がん腫瘍を有しCAR-T療法で治療されたマウスは、腫瘍細胞と戦うことに成功した。調査されたマウス全てが副作用なく観察期間(75日間)生存したのに対し、コントロール治療を受けたマウスの生存期間は平均30日間であった。次のステップはヒトにおける第1相臨床試験である。 |
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T細胞バイオマーカーはCAR-T療法が奏効するCLL患者を予測する [2018-05-15] |
T cell biomarker predicts which patients with CLL will respond to CAR-T cell therapy |
一部の進行慢性リンパ球性白血病(CLL)患者において、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法が奏効しない理由が明らかにされた可能性があり、その答えは治療開始前の刺激を受けた患者の免疫系がどのようであるかと関連がある。Nature Medicine に掲載されたこのスタディは、CAR-T細胞療法前に生命力がありより健康なT細胞を有するCLL患者は部分寛解または完全寛解したが、これらのT細胞が十分でないと治療が奏効しなかった。これらの健康な"早期記憶"T細胞はCD45RO発現がないことに加えCD8およびCD27の発現が特徴的であった。 |
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新たな放射線治療技術は早期肝細胞がん患者に対し有望である [2018-05-01] |
Novel radiotherapy technique shows promise for patients with early-stage hepatocellular carcinoma |
高線量の放射線を腫瘍に照射するが周囲の正常組織は温存する新たな技術は、早期肝細胞がん患者の根治治療の選択肢として有望である、とRadiology に掲載された。放射線区域切除(RS)は、ラジオアイソトープイットリウム90(Y90)を用いて放射線作用を到達させる低侵襲治療である。RSは標的腫瘍をコントロールし、増悪を遅らせ、高周波アブレーション、手術および移植と同等に生存率を改善した。治療後5年間に、約4分の3の患者において標的腫瘍の増悪を認めなかった。 |
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TLR9アゴニストの併用はPD-1チェックポイント阻害薬に抵抗性の転移性悪性黒色腫患者において早期の有効性を示す [2018-05-01] |
TLR9 agonist combination shows early efficacy in patients with metastatic melanoma resistant to PD-1 checkpoint inhibition |
腫瘍内Toll様受容体9(TLR9)アゴニストCMP-001とベンブロリズマブの併用をPD-1チェックポイント阻害薬抵抗性の転移性悪性黒色腫患者に試験した結果、忍容性が良好であり臨床的活性を有したとの現在進行中の第Ib相臨床試験の予備データが、AACR Annual Meeting 2018 で発表された。発表時点で、週1回治療および3週に1回治療患者の奏効率はそれぞれ、23% および15% であった。治療が奏効した患者15人のうち11人がスタディ参加を継続していた;これらの患者のうち3人は1年を超えて効果が持続していた。 |
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