ニカルジピンは冠動脈slow flowによる胸痛で受診した患者の治療を成功させる [2018-12-25]
Nicardipine successfully treats patients who present with chest pain from coronary slow flow

ニカルジピンの冠動脈内注入は冠動脈slow flow の状態で来院した患者の治療を成功させる、とJournal of Invasive Cardiology に掲載された。心臓発作様症状で来院した患者において、画像が動脈硬化の徴候を示さない場合には胸痛に対する治療手段がほとんどない。これらの症例の一部は、冠動脈slow flow が原因である。研究者らは、冠動脈slow flow を有し、心臓カテーテル法の間に冠動脈内ニカルジピン投与を施行された患者30人を調査した。その結果、血液slow flow を有する冠動脈が49発見された。ニカルジピン治療後に、全ての冠動脈の血流が正常化した。

メトフォルミンは駆出率の保たれた心不全の治療に用いることができる [2018-12-25]
Metformin could be used to treat heart failure with preserved ejection fraction

2型糖尿病治療に一般的に用いられる薬剤であるメトフォルミンは、2020年までに65歳以上の8%超が患うと予測されている、駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の治療にも用いられる可能性がある。Journal of General Physiology に掲載されたこの研究は、メトフォルミンがタイチンと呼ばれる重要な心筋タンパク質を弛緩させ、血液を体内に押し出す前に心臓を血液で適切に充満させることを示した。研究者らは、メトフォルミンをHFpEF様の症状を有するマウスに投与し、その結果、この薬剤が左室スティフネスを軽減させ運動耐容能を改善することを明らかにした。

インフルエンザの予防接種は心不全患者の標準治療であるべきである [2018-12-18]
Influenza vaccination should be a standard treatment for people with heart failure

毎年インフルエンザの予防接種を受けることは心不全患者の命を救う可能性がある、とCirculation に掲載された。予防接種を受けることで、受けない場合に比べ、新たに診断された心不全患者の早期死亡のリスクは18% 減少した。さらに、毎年の接種により、接種を受けない場合に比べ、総死亡および心血管死ともに19% 低下した。接種のタイミングが重要であり、流行の早期(9〜10月)に実施される方が11〜12月に実施されるよりも、心血管死および総死亡がかなり少なかった。

血中TMAOレベルを標的とすることは心疾患予防に役立つ有望な新戦略である可能性がある [2018-12-18]
Targeting TMAO levels in the blood may be a promising new strategy for helping prevent heart disease

赤身肉摂取を制限する他の理由が同定された:心疾患とも関連があり、腸で生成されるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)と呼ばれる化学物質レベルが上昇するためである。European Heart Journal に掲載された論文において、赤身肉の多い食事を摂取する人々のTMAO値は、白身肉の多い食事またはほとんどが植物性タンパク質を摂取する人々の3倍であることが報告された。赤身肉摂取をやめることで、TMAO値は最終的に低下する。この結果から、TMAO値を測定(医師が簡単な血液検査で行えるもの)し標的とすることは個別の食事療法に関する有望な戦略であり、心疾患予防に役立つ可能性があることが示唆される。

逆説的だが、"代謝的に健康な肥満"の急性心不全患者は生存率が良好である [2018-12-11]
Paradoxically, acute heart failure patients with "metabolically healthy obesity" have better survival

"代謝的に健康な肥満"の急性心不全患者は、"代謝的に不健康な肥満"または代謝の状態に関係なく正常体重の患者に比べ生存率が良好である、とのスタディ結果がEuroEcho-Imaging 2018 で発表された。"代謝的に健康な肥満"というのは、肥満であるが高血圧、高コレステロール、および耐糖能異常のような代謝リスクファクターを有さない人々が該当する。代謝的に健康な肥満患者は、代謝的に不健康な肥満患者に比べ生存率が有意に良好であった(それぞれ79.4% および66.5%)。また、代謝的な健康状態が良好(63.9%)および不良(55.5%)な患者に比べても、生存率は有意に良好であった。肥満患者は心構造および心機能の悪化も少なかった。

トラスツズマブにカルベジロールを併用する乳がん患者は心損傷が軽い [2018-12-11]
Breast cancer patients who take carvedilol together with trastuzumab have less cardiac damage

トラスツズマブにβ遮断薬カルベジロールを併用した患者は心損傷が軽かった、とのスタディ結果がEuroEcho-Imaging 2018 で発表された。このスタディには遠隔転移のないHER2 陽性乳がん患者71人が登録された。患者は、トラスツズマブにカルベジロール併用、または非併用群にランダムに割り付けられた。3か月後の左室収縮能および拡張能は、二次元スペックルトラッキング心エコーにより、カルベジロール併用群において非併用群に比べ良好に維持されていることが示された。筆者らは、遠隔転移のないHER2陽性乳がん患者に対し、予防的カルベジロール投与は適切な治療である可能性はあるが、大規模スタディが必要である、と示唆している。

閉塞性睡眠時無呼吸およびいびきは女性においては男性と異なり心機能に影響する [2018-12-04]
Obstructive sleep apnea and snoring affect cardiac function in women differently than in men

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)およびいびきは、男性よりも女性において早期の心機能障害に繋がる可能性がある、と2018 annual meeting of the Radiological Society of North America で発表された。OSA およびいびきを有する群は男女とも、左室心筋重量が増加していた。いびき群といびきのない群を比べると、女性の方が男性よりも左室心筋重量の差が大きかった。この自己申告によるいびきにおける心臓の変化は早期の障害を指し示しており、未診断のOSA の徴候である可能性がある。

三角筋のエコー輝度は糖尿病または前糖尿病を示唆する可能性がある [2018-12-04]
Echogenicity of the deltoid muscle on ultrasound may indicate diabetes or pre-diabetes

超音波画像上で三角筋が異常に明るくみえることは糖尿病の警告サインである可能性がある、と2018 annual meeting of the Radiological Society of North America で発表された。肩の超音波画像を用いることにより、放射線科医は89% の患者の糖尿病の有無を正確に同定することができた。高輝度の三角筋はまた、前糖尿病の強力な予測因子でもあった。この理由は完全には解明されていないが、糖尿病および前糖尿病状態の人々におけるこの所見は、これらの人々において知られているインスリン作用異常による筋肉内のグリコーゲン合成の問題と関連している、と筆者らは示唆している。