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PIONEER-HF:sacubitril/バルサルタンは安定した急性心不全のバイオマーカーを改善させる [2018-11-27] |
PIONEER-HF: Sacubitril/valsartan shows biomarker benefit in stabilized acute heart failure |
慢性心不全患者に使用される薬物療法は、急性心不全で入院した患者の予後不良マーカーをも改善する、とNew England Journal of Medicine に掲載され、American Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表された。アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬sacubitril/バルサルタンを内服している患者において、バイオマーカーNT-proBNPは標準治療を行われた患者よりも迅速に低下した。改善の徴候は、1週間と早い段階で認められた。他のバイオマーカーもまた、sacubitril/バルサルタンにより改善した。この結果は、この薬剤が急性に悪化した心不全患者の予後を改善し得ること、およびこれらの患者の標準治療となり得ることを示唆している。 |
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CIRT:低用量のメトトレキサートは二次予防において炎症または心血管イベントを減少させなかった [2018-11-27] |
CIRT: Low dose methotrexate fails to reduce inflammation or cardiovascular events in secondary prevention |
炎症軽減による心疾患および脳卒中リスク軽減と言えば、待望のCIRT試験の結果、リスクを有する患者において適切な炎症経路を標的とすることが重要であることが示された。昨年、CANTOS試験において、インターロイキン-1β阻害薬カナキヌマブが特定の炎症経路を標的とし、その後心筋梗塞および心血管死率を低下させることが示された。対照的に、CIRT試験の結果、低用量メトトレキサートは、この炎症経路は阻害せずまた主要な心血管イベント率も低下させないことが示された。この結果は、American Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。 |
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EWTOPIA 75:日本人高齢患者における動脈硬化性疾患の一次予防目的としてエゼチミブは標準治療よりも優れている [2018-11-27] |
EWTOPIA 75: Ezetimibe better than standard care for primary prevention of atherosclerotic disease in elderly Japanese patients |
コレステロール吸収阻害薬エゼチミブで治療された高齢患者は、標準治療を受けた患者に比べ動脈硬化性心血管イベントのリスクが有意に低かった。EWTOPIA 75試験は、高LDLコレステロール値(≧140 mg/dL)で心血管疾患歴を有さない患者3,796人を、栄養指導を受けエゼチミブを内服するまたはしない群に組み入れた。両群とも5年にわたりLDLコレステロールが低下したが、エゼチミブ治療群で低下度が高かった(p<0.001)。エゼチミブは心血管イベント(突然死、心筋梗塞、PCIまたはCABG、および/または脳卒中、p=0.002)を有意に予防した。この結果は、American Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表された。 |
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心的外傷後ストレス障害は心停止後1年の合併症や死亡増加と関連がある [2018-11-27] |
Post-traumatic stress disorder linked to increased complications and death a year after cardiac arrest |
心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状は心停止経験者の主要心血管イベントおよび死亡のリスクを、初回医学的危機後最長1年間有意に上昇させる可能性があるとの予備的研究結果が、American Heart Association's Resuscitation Science Symposium 2018 で発表された。軽度から中等度の脳傷害を負った連続114人の患者のうち、31.6% が退院時(心停止後平均21日後)に心停止によるPTSDと診断された。1年以上の追跡期間中に、8.8% が死亡し、25.4% が心筋梗塞、重症狭心症、心不全または緊急血行再建術施行、あるいは除細動/ペースメーカー植込みによる入院などの重大な心血管有害イベントを再発した。 |
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冠動脈石灰化レベルは冠動脈疾患リスク患者の優れた予測因子である [2018-11-27] |
Coronary calcium levels a better predictor of patients at risk for coronary heart disease |
American Heart Association Scientific Session 2018 で発表された新たなスタディの結果、冠動脈石灰化レベルを検査することは、今日の臨床で用いられている標準的なリスク評価式よりも、心筋梗塞のリスクである冠動脈狭窄および血行再建術の必要性を予測する優れた予測因子であることが明らかにされた。冠動脈石灰化計測値(MESAスコアおよび冠動脈石灰化リスクスコアなど)を含む計算式は、年齢、性別、血圧、およびコレステロール計測値などの標準的なリスクファクターのみに依存するPooled Cohort Equation よりも血行再建術を要する症候性冠動脈疾患の存在を予測する能力が優れていた。 |
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慢性的な騒音への曝露と心血管リスク上昇との関連の背景にあるメカニズムが明らかにされた [2018-11-27] |
Scientists identify mechanism behind relationship between chronic noise exposure and elevated cardiovascular risk |
環境騒音への曝露は、ストレス反応に関連する脳領域の活動を刺激することにより心筋梗塞(MI)および脳卒中のリスクを上昇させるようである、との予備研究の結果がAmerican Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表された。慢性的な騒音への曝露レベルが最大(高速道路や空港)の人々は、扁桃体活性が高く動脈内の炎症がより多かった。注目すべきことに、これらの人々は、騒音への曝露レベルが低い人々に比べ、他のリスクファクターに関係なくMIまたは脳卒中および他の重大な心血管イベント発症リスクも3倍以上高かった。 |
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REDUCE-IT:高用量の高純度EPAを含むオメガ3脂肪酸製剤は心血管イベントのリスクを軽減する [2018-11-20] |
REDUCE-IT: High dose of pure EPA in omega-3 drug cuts risk of cardiovascular events |
EPAとして知られ高純度かつ安定した形のオメガ3脂肪酸は、スタチンを内服しても依然として心血管疾患リスクが高い患者における心血管疾患、心筋梗塞、および脳卒中による死亡リスクを軽減した、とAmerican Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表され、同時に New England Journal of Medicine に掲載された。REDUCE-IT トライアルの結果、イコサペント酸エチルが重大な心血管イベントを25% 減少させ、うち20% は心血管疾患死の減少、31% はMIの減少であり、28% は脳卒中の減少であった。 |
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VITAL:オメガ3脂肪酸およびビタミンDの心血管疾患およびがんのリスクに対する効果 [2018-11-20] |
VITAL: Effect of Omega-3 fatty acids and Vitamin D on risk of cardiovascular disease and cancer |
オメガ3魚油は5年間の治療後に心筋梗塞(MI)リスクを28% 低下させたが脳卒中またはがんのリスクには効果がなかった、とAmerican Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表され、同時に New England Journal of Medicine に掲載された。この効果は魚の摂取量の少ない者において大(40% 減少)であった。さらに、ビタミンDはがん死を減少させ、それは治療開始1〜2年後から認められた。VITALは、オメガ3脂肪酸の一次予防に関する初めての大規模試験である。 |
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DECLARE-TIMI 58:SGLT-2阻害薬は心不全による入院を予防し腎疾患の進行を軽減する [2018-11-20] |
DECLARE-TIMI 58: SGLT-2 inhibition prevents hospitalization for heart failure and reduces renal disease progression |
選択的ナトリウム・グルコース共輸送体2 (SGLT-2) 阻害薬に対して、心血管アウトカムを評価したこれまでで最大のトライアルにおいて、多くの糖尿病患者においてダパグリフロジンが心不全による入院リスクを著明に低下させたことを明らかにした。この薬剤は血糖値を低下させ、心血管死および心不全による入院リスクを17% 低下させたが、これは心不全入院を27% 減少させたことによる。ダパグリフロジンはまた、腎アウトカムも改善した。このDECLARE-TIMI 58の結果は、American Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。 |
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FREEDOM試験追跡結果:糖尿病および進行した心疾患を有する患者はバイパス手術を施行された方が血管形成術を施行されるよりも生存期間が長い [2018-11-20] |
FREEDOM Follow-On: Patient with diabetes and advanced heart disease live longer after bypass surgery than angioplasty |
糖尿病および多枝冠動脈疾患を有し、冠動脈バイパス術(CABG)で治療された患者は薬剤溶出性ステントを用いた血管形成術(PCI)で治療された同様の患者に比べ生存期間が3年長かった。8年間追跡された患者において、総死亡率はPCI群においてCABG群よりも有意に高かった(24.3% vs. 18.3%、P=0.01)。65歳未満のCABG群患者が、8年後もより多く生存していた。このFREEDOM試験の結果は、American Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表され、同時に Journal of the American College of Cardiology に掲載された。 |
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AF-ALERT:オンラインの臨床方針決定支援システムは心房細動患者の心血管イベント予防に対し強力なツールである [2018-11-20] |
AF-ALERT: Online clinical decision support system is powerful tool for prevention of cardiovascular events in patients with atrial fibrillation |
入院中の高リスク心房細動患者において、脳卒中予防のために抗凝固療法を増加させるようにデザインされた警告ベースのコンピュータ意思決定支援システム(CDS)により、重大な心血管有害イベントが減少する可能性がある、とのAF-ALERTトライアルの結果がAmerican Heart Association Scientific Sessions 2018 で発表された。AFまたは心房粗動患者に対するこのプロバイダー向けの警告ベースCDSにより、90日後の死亡、MI、脳血管障害(脳卒中またはTIA)、および全身性塞栓症から成る複合アウトカムの割合が半減した。このコンピュータ警告はまた、90日間のMIおよび脳卒中頻度を、それぞれ87% および88% 減少させた。 |
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EMPA-HEART:エンパグリフロジンは早期および臨床的に有意なリバースリモデリングを促進する [2018-11-20] |
EMPA-HEART: Empagliflozin promotes early and clinically significant reverse remodeling |
糖尿病治療薬エンパグリフロジンは、心疾患を有する2型糖尿病患者の心臓の構造を改善し得る重要な効果を有する、とAmerican Heart Association's Scientific Sessions 2018 で発表された。EMPA-HEART CardioLink-6 試験は、心血管疾患歴を有する2型糖尿病患者の左室構造および機能へのエンパグリフロジンの効果をMRI検査を用いて6か月間調査した、初めてのランダム化、二重盲検、並行群間試験である。エンパグリフロジンを投与されると、心臓MRIで評価した左室重量が有意に減少した。 |
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簡便な血液検査により最も一般的な心不全が診断できる [2018-11-13] |
Simple blood test enables diagnosis of the most common form of heart failure |
駆出率が保たれた心不全(HFpEF)のバイオマーカーが開発された、とJAMA Cardiology に掲載された。このバイオマーカー‐cBIN1スコア(略してCS)‐は、筋肉の質的劣化および収縮能や拡張能を調節するタンパク質の計測を可能にする。タンパク質が減少するにつれCSは上昇し、心不全発症の指標として役立つ。このCSバイオマーカーは、簡便な血液検査で計測できる。このバイオマーカーが発見されるまで、症状の出現前に心筋の健康状態を計測する、あるいは症状出現後の心不全重症度を判断する方法はなかった。 |
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血中ビタミンDレベルが高いほど運動耐容能が良好である [2018-11-13] |
Higher levels of vitamin D in the blood are associated with better exercise capacity |
血中ビタミンDレベルは心肺フィットネスと関連がある、とEuropean Journal of Preventive Cardiology に掲載された。ビタミンDレベルが上位4分の1の参加者は、下位4分の1の参加者に比べ心肺フィットネスが4.3倍高かった。この相関関係は、年齢、性別、BMI、喫煙、高血圧、および糖尿病などの関連性に影響し得る因子で補正後も、2.9倍の強度で依然として有意であった。ビタミンDが10 nmol/L上昇する毎に、VO2 maxとして知られる運動中の最大酸素消費量が統計学的有意に0.78 mL/kg/min増加した。 |
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入院中に感染症を発症した脳卒中患者は再入院のリスクが高い [2018-11-06] |
Stroke patients who develop infections while hospitalized have higher risk of readmission |
虚血性脳卒中で入院し感染症を発症した患者は、脳卒中およびその他の患者背景に関係なく、30日以内に再入院する確率が有意に高い、とStroke に掲載された。研究者らは、入院中に発症したどんな感染症でも、再入院と関連するその他の因子で補正後の30日間再入院率を、20% 上昇させることを明らかにした。特定の感染症を調査したところ、尿路感染症などの一般的な感染症により30日間再入院リスクが10% 上昇することも示した。 |
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疾患リスクの高いドナーの心臓は心臓移植レシピエントの1年生存率を向上させる [2018-11-06] |
Donor hearts at increased disease risk offer better one-year survival rates for transplant recipients |
心臓移植候補者にとって疾病リスクの高い臓器を受け入れることは、リスクの低い臓器を待つことよりも1年生存率を上昇させる、とJournal of the American College of Cardiology に掲載された。高リスクドナーとは、HIV、B型およびC型肝炎ウイルスなどをレシピエントに意図せず伝染させてしまうリスクを有するドナー、と定義した。初回に高リスクドナーを受け入れた患者の1年生存率は92.1% であったのに対し、辞退した患者では83.1% であった。この有益性は5年間持続した。 |
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