冬または春に出産する女性は産後うつに罹りにくい [2017-10-31]
Women who give birth in winter or spring less likely to have postpartum depression

冬または春に出産する女性は、秋または夏に出産する女性に比べ、産後うつ(PPD)に罹りにくいことを示唆したスタディ結果が、2017 ANESTHESIOLOGY® で発表された。研究者らはまた、高齢出産の女性はPPDを発症する確率が低く、出産時に硬膜外麻酔などの麻酔を受けなかった女性において、リスクが高いことも明らかにした。さらに、BMIが高いこともPPDリスク上昇と関連があった。出産様式とPPDとには関連がなかった。

ケタミンは他の治療が無効な片頭痛患者に対する治療として有望である [2017-10-31]
Ketamine holds promise as a treatment for migraine in patients who failed other treatments

疼痛緩和に一般的に用いられ、うつ病に対する使用が増加しているケタミンは、他の治療が無効な片頭痛患者の頭痛緩和に役立つ可能性がある、と2017 ANESTHESIOLOGY® で発表された。61人を対象とした今回のスタディにおいて、入院患者にケタミンを用いて3〜7日間の治療を行った結果、約75% の患者が片頭痛強度の軽減を経験した。0〜10の尺度で、平均の片頭痛強度が入院時7.5であったものが、退院時には3.4であった。点滴期間は平均5.1日であり、痛みの尺度が最も低かったのは第4日目であった。

神経学的疾患の負担はこの25年で実質的に増大した [2017-10-24]
Burden of neurological disorders has increased substantially over the past 25 years

世界的に、神経学的疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、てんかんなど)の負担はこの25年間で実質的に増加した。最もよく見られる神経学的疾患は、緊張型頭痛(約15億症例)、片頭痛(約10億症例)、薬物乱用頭痛(約6,000万症例)、およびアルツハイマー病とその他の認知症(約4,600万症例)であった。1990〜2015年の間に神経学的疾患による死亡数は36.7% 増加し、障害調整生命年は7.4% 増加した。これは、Lancet に掲載されたGlobal Burden of Disease international project による報告のテーマである。

病態失認を呈する者は、記憶障害を自覚している者に比べアルツハイマー病の発症率が高い [2017-10-24]
People with anosognosia more likely to progress to Alzheimer's disease than those who are aware of their memory problems

記憶障害の自覚に基づき、アルツハイマー病を発症しないと思われる者を予測する臨床的に有用な方法が明らかにされた、とJournal of Clinical Psychiatry に掲載された。病態失認と呼ばれる記憶力低下が無自覚な者は、アルツハイマー病の発症率がより高かった。記憶障害を自覚している者は、認知症の発症率が低かった。PET脳機能画像を用いて研究者らは、疾患の自覚が障害されている者はまた、年齢や記憶障害の程度などグルコース取り込み低下と関連する他の因子を考慮しても、特定の脳領域のグルコース取り込みが低下していた。

女性において、40代の高血圧は認知症リスク上昇と関連がある [2017-10-17]
For women, high blood pressure in your 40s may be tied to increased risk of dementia

40代に高血圧を発症する女性はその後に認知症を発症する確率が高い、と Neurology®2017年10月4日オンライン版に掲載された。成人早期、つまり30代に高血圧を有することは認知症リスク上昇とは関連がなかった。しかし女性において、成人中期つまり40代の高血圧により、認知症リスクは 65% 上昇した。40代に高血圧を発症した女性は、30代から40代にかけて血圧が正常で安定していた女性に比べ、認知症発症リスクは 73% 高かった。

小児期におけるいじめへの曝露の精神衛生上の問題に対し、直接的な有害性が認められた [2017-10-17]
Direct detrimental effect of exposure to bullying in childhood to mental health issues found

小児期におけるいじめへの曝露が、うつおよび不安症状に及ぼす直接的影響、および妄想的思考や認知的解体に寄与する徴候が証明された、とJAMA Psychiatry に掲載された。スタディは11,108組の双生児を対象とし、一方がもう一方のコントロールとされた。いじめの有害な影響は、5年後には消失または軽減した。スタディ結果から、小児期のいじめへの曝露は、一部は既存の脆弱性の徴候として見られる可能性のあることも示唆された。多くの転帰において認められた経時的な影響の消失は、いじめられた子供の回復力の可能性を強調している。

段階的治療モデルを用いることで若年の不安障害を治療する専門家の時間が軽減できる [2017-10-10]
Using a stepped care model reduces therapist time when treating youth with anxiety

若年の不安障害に対し段階的治療モデルを用いることで、従来の治療サービスよりも少ない治療時間で同等の有効性をもたらすことができる、と Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry で報告された。このスタディでは、不安障害患者 281 人(6〜17歳)が従来の治療法、または段階的治療モデルにより治療された。第一段階(自助)後 40% が改善し、さらなる治療を必要としなかった。1年後、両群ともほぼ 70% の若年患者において完全に不安症状が消失していた。治療を成功させるために精神保健専門家が要した時間は、段階的治療を用いることにより 14% 減少した。

アルツハイマー型認知症の認知機能、行動および健康全般を改善するにはドネペジルが最も有効な薬剤である [2017-10-10]
Donepezil most effective medication for Alzheimer's dementia to improve cognition, behavior and overall health

集中力、記憶力、注意力および気分を高めるために用いられる4つの薬剤をランク付けしたスタディの結果、ドネペジルがアルツハイマー型認知症患者の認知機能を最も有効に改善するようである、と Journal of the American Geriatrics Society オンライン版に掲載された。このスタディはネットワークメタ解析を用いて、中等度から重度のアルツハイマー型認知症治療におけるドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンまたはメマンチンのあらゆる併用の安全性および有効性を比較した。その結果、認知機能、行動および健康全般を含むすべての有効性の転帰において、ドネペジルがアルツハイマー型認知症に対し最も有効な薬剤であるようであった。一方、ドネペジル内服患者においては、副作用が最も起こりやすかった。

スタディの結果、がんセンター患者の75% が過去にうつ病を診断されていなかったことが明らかになった [2017-10-03]
Study finds 75 percent of depressed cancer center patients were previously undiagnosed

うつ病と診断された40% のがん患者のうち、4人に3人はうつ病であると過去に言われていなかった、と 59th Annual Meeting of the American Society for Radiation Oncology で発表された。うつ病は男性患者(32%)よりも女性患者(47%)に多く(p=0.007)、そのうち能力障害により働くことのできない者は女性患者に多かった(働くことが可能な者48% vs. 33%;p=0.005)。これらの結果は、がん患者のQOLと転帰を改善するため、特に女性で能力障害のある者のうつ病スクリーニングの必要性が高いことを示唆している。

認知症を有する高齢の進行結腸がん患者の化学療法を差し控えることは生存率悪化につながる [2017-10-03]
Forgoing chemotherapy linked to worse survival in older patients with advanced colon cancer who had dementia

既存の認知症は高齢進行結腸がん患者の死亡リスクを上昇させる、とCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention に掲載された。SEER-Medicare データを用いた後ろ向きコホート研究の結果、既存の認知症は高齢進行結腸がん患者の死亡リスクを45% 上昇させることが明らかになった。既存の認知症を有するステージ3結腸がん患者の平均生存期間は、認知的に健康である患者のわずか57% であった。既存の認知症患者において、化学療法を受けないことは予後不良の原因の13% を占めていた。