地中海式およびMIND食は認知機能障害のリスクを最大35%低下させる可能性がある [2017-07-25]
Mediterranean and MIND diets may lower risk of cognitive impairment up to 35 percent

地域住民を対象とした4つの大規模研究の結果から、健康的な食事療法の実践と高齢期の良好な認知機能との関連が支持された。この結果は2017 Alzheimer's Association International Conference で報告された。研究者らは、心血管系の健康に寄与することが長年にわたり知られている食事療法を一貫して実践している人々は、高齢期の良好な認知機能も維持している確率が高いことを明らかにした。例えば、地中海式-DASH食介入(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay [MIND])食および地中海式ダイエットの遵守は、健常高齢者の認知機能障害リスクを30〜35%低下させた。これらのいずれかの食事療法をほどほどにしか遵守しなかった参加者は、認知機能障害発症リスクの低下率は18%であった。

睡眠呼吸障害はアルツハイマー病の調節可能なリスクファクターの可能性がある [2017-07-25]
Sleep disordered breathing may be a modifiable risk factor for Alzheimer's disease

Alzheimer's Association International Conference 2017 で報告された幾つかの新たな研究の解析から、睡眠呼吸障害(SDB)とアルツハイマー病のバイオマーカー蓄積との有意な関連が明らかにされた。研究者らは、認知機能の正常な者および軽度認知障害患者のいずれにおいても、SDBが脳のβアミロイド蓄積を加速することを報告した。閉塞性睡眠時無呼吸は脳のβアミロイド沈着を増加させ、脳脊髄液(CSF)のβアミロイドレベルを低下させ、タウ蛋白レベルを上昇させた。これらの結果から、SDBは認知症リスクを低下させ、既に存在する認知症の進行を遅延させるのに役立つ可能性のある、調整可能な因子であることが示唆された。

認知機能の正常な人々において外傷性脳損傷歴は認知機能の変化に影響しない [2017-07-18]
History of traumatic brain injury does not affect rate of cognitive change for those with normal cognition

認知機能の正常な参加者またはアルツハイマー病患者において、意識消失を伴った外傷性脳損傷(TBI)歴は、経時的な認知機能変化には影響しないようである。研究者らは706人の参加者(認知機能の正常な432人;アルツハイマー型認知症274人)において、経時的な認知機能検査の成績を比較した。さらに、アルツハイマー病のリスクを増大させることで知られる遺伝子であるAPOEε4遺伝子を調査し、TBIと認知機能低下との関連における遺伝子の役割の可能性も検討した。その結果、APOE遺伝子型に関係なく有意な群間差はなかった。これらの結果はJournal of Alzheimer's Disease に掲載された。

睡眠の質が不良な人々はアルツハイマー病の生物学的マーカーをより多く有している [2017-07-18]
People with worse sleep quality have more biological markers for Alzheimer's disease

睡眠が不良であることは、それ以外では健康である人々が睡眠の問題を有さない人々に比べ、後にアルツハイマー病を発症するリスクが高いことへのサインである可能性がある、とNeurology に掲載された。研究者らは、思考および記憶の能力は正常であるが、アルツハイマー発症リスクが高いと考えられる101人(平均年齢63歳)を登録した。睡眠の質が不良であり、睡眠に関する問題および日中の眠気がより多いほど、睡眠の問題を有さない人々に比べ、脳脊髄液中のアルツハイマー病生物学的マーカーをより多く有していた。これらの生物学的マーカーにはアミロイド、タウ蛋白および脳細胞損傷や炎症などの徴候が含まれた。

脳トレーニングアプリが軽度認知障害の人々の記憶障害を改善することが明らかになった [2017-07-11]
Brain training app found to improve memory in people with mild cognitive impairment

"脳トレーニング"ゲームは軽度認知障害(MCI)患者の記憶障害を改善することが、International Journal of Neuropsychopharmacology に掲載されたスタディにより示唆された。研究者らは健忘性MCI患者42人を、iPadのゲームを用いた認知トレーニング群、またはコントロール群にランダムに割り付けた。認知トレーニング群ではエラーが約3分の1少なく、必要とするトライアル数が少なく、記憶スコアが約40%改善した。トレーニング後には、より複雑な視覚情報を記憶することができた。ゲームをすることで、患者の自信や主観的記憶もまた改善した。

精神疾患を有するアルツハイマー病患者において誤診は一般的である [2017-07-11]
Misdiagnosis common among patients with Alzheimer's disease who experience psychosis

精神疾患−妄想や幻覚を含む−を有するアルツハイマー病患者は、精神疾患を有さない者に比べ、レビー小体型認知症と誤診される確率が5倍以上高い、とAlzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions に掲載された。研究者らはまた、アルツハイマー病の誤診率が全体の24%であり、偽陽性および偽陰性のいずれも12%であることを明らかにした。これらの結果から、アルツハイマー病において、精神病症状がいかに一般的かについての理解が低い可能性があることが懸念される。

介護者の精神状態は神経変性疾患患者の死亡率と関連する [2017-07-04]
Mental health of caregivers linked to mortality of people with neurodegenerative diseases

認知症患者はその家族介護者が精神的ストレスを受けると死亡が早まる、と Proceedings of the National Academy of Sciences に掲載された。抑うつ、不安およびその他の精神疾患症状を有する介護者にケアされる患者は、患者の性別、年齢、疾患重症度および精神状態を考慮しても、精神状態の良好な介護者のケアを受けている患者に比べ、一般的に死亡時期が早い。例えば、健康状態の不良な介護者にケアされた患者は、精神状態がほぼ良好な親族にケアされた患者に比べ、平均約14か月早く死亡した。

中等度の運動をする人は脳内糖代謝パターンがより健康的である [2017-07-04]
People with moderate-intensity physical activity have healthier patterns of glucose metabolism in the brain

アルツハイマー病リスクを有し、中等度の運動をする人は脳内糖代謝パターンがより健康的であるが、低強度の運動の場合はそうではない、と Journal of Alzheimer's Disease に掲載された。研究者らは加速度計を用いて、アルツハイマー病の遺伝子リスクが高いが現時点では認知機能障害を有さない参加者の、毎日の身体活動量を計測した。中等度の運動は、解析したすべての脳領域における糖代謝レベルが高いことと関連があった。中等度の運動を1日68分以上行った参加者は、それより少なかった参加者に比べ、糖代謝プロファイルが良好であった。