心理的介入はがん再発の恐怖を軽減する(ASCO, Abstract LBS10000)
脳内アミロイドレベルは将来の認知機能低下と関連する
オンラインの認知行動療法は有効である(APA, Abstract P3-154)

6月13日、20日のDOL NewsはASCO特集のため、Psychiatryニュースは
お休みさせていただきました。

心理的介入はリラクゼーショントレーニングよりも、がん既往者の再発に対する恐怖を緩和する [2017-06-27]
Psychological intervention relieves cancer survivors fear of recurrence better than relaxation training

すべてのがん患者の約50%および若年乳がん既往者の約70%が、中等度から重度の再発の恐怖を報告している。第II相ランダム化臨床試験において、研究者らは、再発の恐怖が重度であると報告したステージI-IIIの乳がん、大腸がん、または悪性黒色腫の既往者222人を、Conquer Fear 心理的介入またはリラクゼーショントレーニング(コントロール群)にランダムに割り付けた。その結果、Conquer Fear は介入直後、3か月後および6か月後の再発の恐怖を大幅に軽減した。全般性不安障害、がん特異的苦悩、およびQOLは心理的介入群がリラクゼーショントレーニングよりも優れていた。このスタディ結果は2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で取り上げられた。

脳内アミロイドレベル上昇はその後の認知機能低下の可能性を上昇させる [2017-06-27]
Elevated brain amyloid levels increase likelihood of cognitive decline in following years

認知機能が正常な集団において、脳内のアミロイド蛋白レベルが上昇している者はその後に認知機能が低下する確率が高かった、とJAMA に掲載された。研究者らは、脳脊髄液または陽電子放射断層撮影で計測した脳内アミロイドが上昇している認知機能が正常な人々において、アルツハイマー病関連認知機能低下のリスクを特徴付けし定量化するスタディを行った。スタディに参加した認知機能の正常な445人(平均年齢74歳)のうち、243人はアミロイドレベルが正常であり、202人はアミロイドレベルが上昇していた。アミロイドレベルが上昇していた者は、4年後の認知機能計測の平均スコアが不良であった。

オンラインで配信される認知行動療法はうつ病治療に対し有効である [2017-06-06]
Cognitive behavioral therapy delivered online is effective for treating depression

インターネット配信の認知行動療法(iCBT)は成人のうつ病治療に対し有効である、と結論付けた新たなメタ解析の結果が2017年American Psychiatric Association年次集会で発表された。iCBTは抑うつ症状軽減に有効であり、治療後6か月にわたり症状に対する好ましい効果を維持した。スタディの結果、医師がiCBTプログラムに参加したスタディと、iCBTにおいて医師の補助のないスタディとで、抑うつ症状に統計学的な有意差はなかった。オンラインCBTは抑うつ症状軽減に有効であり、従来の対面治療を受けることのできない患者にとってよい治療法となる可能性がある、と筆者らは結論付けている。