せん妄は認知症の過程を加速するなどの長期的な影響を及ぼす可能性がある [2017-01-31]
Delirium may have long-lasting consequences including accelerating the dementia process

せん妄は認知症の過程を加速する可能性がある、とJAMA Psychiatry に掲載された。科学者らは、3つのヨーロッパ地域住民群を観察し、65歳以上987人の脳標本を調査した。個々の死亡前10年間の記憶、思考およびせん妄経験が記録されていた。これらとアルツハイマー病やその他の認知症による病理学的異常を組み合わせると、せん妄と認知症変化を有する者は、記憶障害が最も重度であった。認知症を有していないと思われている人々においても、せん妄エピソードは早期段階の認知症であることを示している可能性がある、との研究結果が示された。

妊娠糖尿病は初産婦における産後うつ病の独立したリスクファクターであることが示された [2017-01-31]
Gestational diabetes identified as independent risk factor for postpartum depression in first-time mothers

妊娠糖尿病は初産婦における産後うつ病(PPD)のリスクを上昇させる、とDepression and Anxiety に掲載された。研究者らはまた、うつ病歴を有する女性は、過去にうつ病と診断されたことのない女性に比べ、PPDを発症する割合が20倍以上高いことも明らかにした。さらに、妊娠糖尿病のみがPPDリスクを上昇させる一方で、母親のうつ病歴と妊娠糖尿病が合併することによりPPDの割合がさらに上昇した。これは、この種の研究で過去最大の規模であり、700,000人以上の女性を対象とした。

認知症と高血圧発症年齢との間に驚くべき相関が認められた [2017-01-24]
Surprising relationship found between dementia and age of hypertension onset

晩年、特に80歳以降の高血圧発症は90歳以降の認知症リスクが低いことと関連がある、とAlzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association オンライン版に掲載された。スタディ参加者のうち、80〜89歳時に高血圧を発症したと報告した者は、高血圧歴がない者に比べ、90歳以降の認知症発症リスクが42%低かった。高血圧が90歳以降に発症した者はさらにリスクが低く、認知症発症リスクが63%低かった。

脳震盪はアルツハイマー病関連脳萎縮および認知機能低下を加速させる [2017-01-24]
Concussions accelerate Alzheimer's disease-related brain atrophy and cognitive decline

Brain に掲載された研究の結果、アルツハイマー病の遺伝的リスクの高い患者において、脳震盪はアルツハイマー病関連脳萎縮および認知機能低下を加速させることが示された。MRI画像検査を用いて、研究者らは脳震盪の経験を有することにより、アルツハイマー病で最初に侵される脳領域の皮質厚が減少することを示した。これらの脳の異常は、比較的若年者(平均年齢32歳)に認められた。このスタディ結果から、脳震盪は遺伝的因子と組み合わさると、アルツハイマー病関連領域の脳皮質厚減少の加速および記憶能低下と関連する可能性があることが示唆される。

活動の少ない成人は遺伝的危険因子を有する者と同様の認知症発症リスクに直面している [2017-01-17]
Sedentary adults face same likelihood of developing dementia as those with genetic risk factors

活動の少ない高齢者で認知症に関する遺伝的危険因子を有さない者は、遺伝子的に罹患しやすい者と認知症発症率が全く同じ可能性がある、とJournal of Alzheimer's Disease に掲載された。研究者らは、Canadian Study of Health and Agingの参加者を追跡し、"アポリポタンパクE"遺伝子多型を有する者は認知症発症率がより高い一方で、不活動性がこの遺伝子多型の非キャリアに対する認知症発症リスクを劇的に上昇させることを明らかにした。ほとんどの者が認知症の遺伝子リスクを有さないことから、運動が有効な予防法になる可能性がある、と筆者らは示唆している。

地中海式ダイエットを行う高齢者は脳容積が大きい状態を維持する [2017-01-17]
Brain volume remains larger in older people who follow a Mediterranean diet

地中海式ダイエットを行った高齢者はこの食事療法を厳密に行わなかった者に比べ、3年間にわたり脳容積が大きい状態を維持した、とNeurology に掲載された。地中海式ダイエットを厳密に行わなかった者は、この食事法を厳密に行った者に比べ、全脳容積の減少がより高度であった。食事の違いにより、全脳容積の0.5%の変化が説明され、これは通常の加齢による変化の半分であった。以前のスタディに反して、魚の摂取量が多く肉の摂取量が少ないことは脳の変化には関連がなかった。

筆運びは診断数年前の芸術家の神経変性疾患を示している可能性がある [2017-01-10]
Brushstrokes of paintings may point to neurodegenerative disorders in artists years before diagnosis

Neuropsychology に掲載された新たなスタディにおいて、芸術家の神経変性疾患を診断から数年前に検出できる可能性があることが示された。研究者らは、通常の加齢または神経変性疾患を呈した7人の有名な芸術家の作品から、絵画2,092点を調査した。それぞれの絵画の筆運びを、"フラクタル幾何学"として知られる複雑なパターンの解析に用いられる数学を応用して解析した。フラクタル幾何学は、しばしば"自然の指紋"と呼ばれる自己模倣的な幾何学パターンを記述する数学である。このスタディは、通常の加齢による者と神経変性疾患を来した芸術家とを区別する、絵画のフラクタル次元の明らかな変化パターンを示した。

資源の乏しい環境下における一般的な精神疾患に対する文化的に適合させた精神的介入の有効性 [2017-01-10]
Effectiveness of a culturally adapted psychological intervention for common mental disorders in resource-poor setting

ジンバブエにおける一般的な精神疾患スクリーニング陽性者において、lay health workerによる教育やサポートを伴う問題解決療法により、強化した通常のケアに比べ、6か月後の症状が改善したとJAMA に掲載された。ランダム化された患者573人中、女性86%、平均年齢33歳、42%がHIV陽性であり、91%で6か月後の追跡ができた。介入群の参加者はコントロール群に比べ、一般的な精神疾患の測定上の症状が少なかった。介入群の参加者はまた、うつ症状リスクが低かった(14% vs. 50%)。