ナノレーザーは循環腫瘍細胞を検出し死滅させ、がんの転移を予防する [2017-08-29]
Nanolaser can detect and kill circulating tumor cells to prevent cancer metastases

スペーサーとして知られるナノレーザーは、血中の転移がん細胞を発見しこれらの細胞を死滅させる能力を有する、超高感度、水溶性、生体適合性プローブとして役立つ可能性がある、とNature Communications に掲載された。ナノレーザーは体内に放出されると(注射または液体内服により)、循環腫瘍細胞を発見し追跡、接着しこれらの細胞を破壊させがん転移を予防する。スペーサーはレーザー光を吸収し、温度を上昇させ、細胞内に衝撃波を引き起こし、細胞膜を破壊する。

NF1遺伝子変異過剰発現GISTが十二指腸空腸曲に発見された [2017-08-29]
Over-representation of NF1-mutated GIST tumors found in duodenal-jejunal flexure

小腸の特定の部位である十二指腸空腸曲には、NF1遺伝子変異を伴う消化管間質腫瘍(GIST)が高頻度に認められる、とJCO Precision Oncology に掲載された。NF1は、体細胞性または生殖細胞系のいずれにおいても変異の可能性があり、神経線維腫症1型(NF1)と呼ばれる遺伝疾患である。NF1を有する患者はこれを有さない者に比べ、GISTの発症確率が34倍高い。筆者らは、GISTを有するすべての患者に対し、NF1遺伝子変異を有する場合は患者家族への影響があるため、遺伝子検査を提案している。

新たにがんと診断された患者は短期の動脈血栓塞栓症リスクも上昇する [2017-08-22]
Newly diagnosed cancer patients face increased short-term risk of arterial thromboembolism

新たにがんと診断された患者は短期の動脈血栓塞栓症リスクも少なからず上昇する可能性がある、とJournal of the American College of Cardiology に掲載された。がんの診断から6か月以内に、がんを有しない対照群に比べ、2倍以上も多くの患者が動脈血栓塞栓症を経験した。心筋梗塞および虚血性脳卒中のリスクもまた、がん患者において上昇していた。肺、胃、および膵臓のがんにおいてリスクが最大であった。これらの結果から、新規にがんと診断された患者においては、抗血栓薬やスタチン系薬剤の投与を考慮すべきかどうかの疑問が生じている。

遠隔転移した乳がん細胞は乳がんの後期に原発腫瘍を離れる [2017-08-22]
Breast cancer cells that metastasize leave the primary tumor at late stages of disease development

体の他の部位に拡散した乳がん細胞は、疾患の後期に原発腫瘍からちぎれ離れる、とCancer Cell に掲載された。転移した乳がん細胞が原発腫瘍からちぎれ離れるのが、がんの早期なのか後期なのかは論議のあるところであった。研究チームは、原発巣の乳房腫瘍における遺伝子変化のほとんどが転移性腫瘍においても認められ、このがん細胞が、がん進行の後期に拡散したことを示していることを明らかにした。

閉経後女性において歯周病は様々ながんのリスクを上昇させる [2017-08-08]
Periodontal disease associated with increased risk of several types of cancer in postmenopausal women

歯周病歴を有する閉経後女性はがんのリスクも高い、との65,000人超の女性を対象とした新たなスタディがCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention に掲載された。歯周病歴は、がん全体の発症リスクを14%上昇させた。関連が最も強かったのは食道がんで、歯周病を有する女性において3倍以上確率が高かった。肺がん、胆のうがん、悪性黒色腫、および乳がんもまた、リスクが有意に高かった。悪性黒色腫などの一部のがんでは、非喫煙者においてもこの相関が認められた。

進行肺がん患者の一部はHER2分子標的治療のベネフィットを得る可能性がある [2017-08-08]
Select patients with advanced-stage lung cancer may benefit from HER2-directed therapy

Cancer に掲載された研究の結果、進行肺がん患者の3%がHER2遺伝子変異を有することが示された。これらの患者の71%は喫煙歴を有さず、年齢中央値は62歳であった。現在進行中の臨床試験では、検査で変異陽性の肺がんに対するHER2分子標的治療の有用性を評価している。この試験の早期データでは、HER2遺伝子変異が同定された患者24人中、12人がHER2分子標的治療を施行され、12人は従来の治療(例えば化学療法)を施行された。HER2分子標的治療を施行された患者の生存期間中央値は2.1年であったのに対し、その治療を受けなかった患者の生存期間中央値は1.4年であった。

乳がんの放射線治療中の制汗剤は皮膚の副作用を増加させることなく安全に使用し得る [2017-08-01]
Antiperspirants can be safely used during breast radiotherapy without risking increased skin side effects

乳がんの放射線治療を毎日受けている女性は、制汗剤の使用が放射線による皮膚の損傷を増大させる可能性があることから、一般的に制汗剤を使用すべきでないと言われているが、Radiotherapy and Oncology に掲載された新たなスタディの結果、このアドバイスは論理的に正しい科学に基づいていないことが示された。患者10人中8人が医師から制汗剤を使用しないように言われており、ほぼ同数の医師が日常的にそのように推奨しているが、このスタディにおいて、制汗剤使用の有無で皮膚に吸収される放射線量に差がないことも示された。

がん既往者において、運動は倦怠感を軽減し認知機能を良好にする [2017-08-01]
Exercise associated with reduced fatigue and better cognitive function in cancer survivors

Breast Cancer Research and Treatment に掲載された新たなスタディの結果、がん患者およびがん既往者は、倦怠感や"ケモブレイン"に対して早歩きという武器を有することが示された。運動や認知機能を自己報告に頼るのではなく、このスタディは認知機能を計測するiPadアプリ、および日常の身体活動を追跡する加速度計を用いた。日常の中等度から激しい身体活動は、注意力、記憶およびマルチタスクを計測する認知課題の成績が良好であることと関連があった。認知課題の成績における運動の影響は、倦怠感によるものであった。この結果から、がん既往者において倦怠感を標的とした運動による介入は認知機能も改善する可能性がある、とのエビデンスが得られる。