乳がん罹患後の妊娠は再発率を上昇させない(ASCO, Abstract LBA10066)
精巣腫瘍による性腺機能低下症は慢性的な健康問題と関連がある(ASCO, Abstract LBA10012)
浸潤性乳がんのリスクを低下させる(ASCO, Abstract LBA500)
新規診断転移性前立腺がんにおける予後の改善(ASCO, Abstract LBA3)
Larotrectinibは多様な腫瘍タイプに効果的である(ASCO, Abstract LBA2501)
短期および長期の放射線治療は患者の可動性を維持するのに役立つ(ASCO, Abstract LBA10004)
胸膜中皮腫に対する初めての免疫療法の兆しが見える(ASCO, Abstract LBA8507)
心理的介入はがん患者の苦悩を緩和する(ASCO, Abstract LBA10001)
結腸がんに対する補助療法の改善(ASCO, Abstract LBA1)
症状を自己報告するウェブベースのシステムは患者の生存期間延長に役立つ(ASCO, Abstract LBA2)
OlaparibはBRCA関連転移性乳がんの増殖を遅延させる(ASCO, Abstract LBA4)
多発性骨髄腫に対する新たなタイプの免疫療法(ASCO, Abstract LBA3001)
EGFR遺伝子変異陽性肺がんの新たな治療の可能性(ASCO, Abstract LBA8507)
アレクチニブは肺がんの無増悪生存期間を改善する(ASCO, Abstract LBA9008)
胆管がん患者の生存期間延長(ASCO, Abstract 4006)
分子標的治療は肺がんの再発を遅延させる(ASCO, Abstract 8500)
結腸がん治療後の健康的なライフスタイルは生存率を改善する(ASCO, Abstract 10006)
ワクチン使用による経口HPV感染の軽減(ASCO, Abstract 6004)
妊娠を考えている乳がん患者にとって心強い情報 [2017-06-27]
Reassuring information for women with breast cancer who are contemplating pregnancy

1,200人の女性を対象としたレトロスペクティブ研究の結果から、妊娠を考えている乳がん既往者に安心が届けられた、と2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で報告された。がんと診断されてからの追跡期間中央値10年ののち、無病生存期間は妊娠した女性と妊娠しなかった女性とで、エストロゲン受容体(ER)の発現状況に関係なく、差がなかった。二次解析の結果、妊娠し出産または中絶、乳がんの診断後2年未満に妊娠または2年超経過してから妊娠、母乳育児をしたか否かで、無病生存期間に差はなかった。

PLATINUM:精巣腫瘍によるテストステロン低値は長期にわたる合併症と関連がある [2017-06-27]
PLATINUM: Low testosterone levels after testicular cancer linked to long-term health complications

テストステロンが正常値の精巣腫瘍既往者に比べ、性腺機能低下症を有する精巣腫瘍既往者は広範囲に及ぶ慢性的な健康上の問題を有する可能性が高い、と2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。Platinum Study における精巣腫瘍既往者491人のうち、38%がテストステロン低値またはテストステロン補充療法中であった。テストステロン低値の精巣腫瘍既往者は、高コレステロール、高血圧、勃起不全、糖尿病、および不安や抑うつに対する薬剤を内服している割合が高かった(それぞれ20% vs. 6%、19% vs. 11%、20% vs. 12%、6% vs. 3%、15% vs. 10%)。

PERTAIN:第2のHER2阻害薬を上乗せすることで、一部の女性において浸潤性乳がんのリスクが低下する可能性がある [2017-06-20]
PERTAIN: Adding a second HER2 blocker may lower risk of invasive breast cancer for some women

HER2陽性乳がん患者4,805人を対象とした第III相PERTAIN臨床試験の結果、術後の標準治療トラスツズマブに第2の抗HER2薬ペルツズマブを上乗せすることで、そのベネフィットはわずかではあるが、有効である可能性が示唆された、と2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。トラスツズマブにペルツズマブを上乗せすることで、トラスツズマブ単独に比べ、3年後の浸潤性乳がんへの進展が19%低下した。追跡期間中央値約4年の時点で、浸潤性乳がんに進展した患者はペルツズマブ群の171人(7.1%)に対し、プラセボ群では210人(8.7%)であった。

LATITUDE:アビラテロンは転移性前立腺がんの増殖を18か月遅延させ、生存期間を延長する [2017-06-20]
LATITUDE: Abiraterone delays metastatic prostate cancer growth by 18 months and extends survival

高リスク、転移性前立腺がんと新規診断された患者に対し、アビラテロンとプレドニゾンを標準ホルモン療法に併用することで死亡リスクを38%低下させる、と2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で取り上げられた。アンドロゲン遮断療法の施行歴のない男性1,200人を対象とした多国間共同第III相臨床試験LATITUDEにおいて、アビラテロンは増悪までの期間中央値を14.8か月から33か月に、2倍以上増加させた。全生存期間中央値はアビラテロン群では未到達、プラセボ群では34.7か月であった。

新薬は小児および成人のがん種を問わず、持続的な有効性を示す [2017-06-20]
New drug shows durable efficacy across diverse pediatric and adult cancers

分子標的、経口、がんの発生部位に関係なく変異の型に基づく、初めての療法−患者の年齢やがんの種類にかかわらず有効な薬剤−が開発されたようである。Larotrectinibは、がん細胞内のTRK遺伝子が他の遺伝子と融合する際の遺伝子異常による産物であるトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合蛋白質の、選択的阻害薬である。17の異なる型の進行がんを有する成人および小児を対象とした臨床試験において、larotrectinibによる治療は76%の患者で奏効を認めた。Larotrectinibに対する奏効は持続的であり、79%が治療開始後12か月の時点で持続していた。このスタディ結果は2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で取り上げられた。

転移性脊髄圧迫症状の治療には単回照射で十分である [2017-06-20]
Single radiation treatment sufficient to treat metastatic spinal cord compression symptoms

転移性がん患者において一般的に認められる脊髄圧迫は、QOL損失の主要な原因である。放射線治療は疼痛やその他の症状を緩和するのに広く用いられているが、標準的な推奨スケジュールはなく、方法も様々である。2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で取り上げられた第III相臨床試験の結果、単回照射療法がまる1週間の放射線療法と同様に有効であることが示された。8週後に、単回照射を受けた患者の69.5%、および5回照射を受けた患者の73.3%は同様の歩行状態を有し、短期および長期の放射線療法のいずれもが患者の可動性を維持するのに役立つことが示された。

MAPS-2:早期研究の結果、免疫療法は悪性胸膜中皮腫を有効に治療する可能性があることが示唆された [2017-06-20]
MAPS-2: Early research suggests immunotherapy may effectively treat malignant pleural mesothelioma

フランスにおいて現在進行中のMAPS-2と呼ばれる第II相臨床試験の早期結果から、免疫療法が再発後悪性胸膜中皮腫の増殖を遅延させる可能性があることが示された。12週後にがんが増悪しなかったのは、nivolumab投与群では44%であり、nivolumabとipilimumabの併用投与群では50%であった。平均追跡期間10.4か月後、無増悪生存期間中央値は、nivolumab単独群で4か月であり、nivolumabとipilimumab併用群で5.6か月であった。これらの結果は、この状況における免疫チェックポイント阻害薬の使用を支持するものである。このスタディ結果は2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で取り上げられた。

短期間の心理的介入は、がん患者のうつ症状を軽減し心理的ウェルビーイングを改善する [2017-06-20]
Brief psychological intervention reduces depression and improves psychological well-being in cancer patients

進行がん患者305人を対象としたランダム化臨床試験の結果、Managing Cancer And Living Meaningfully (CALM) と呼ばれる短期間の心理的介入が、患者や家族が進行がんの実際的な感情的損害を処理するのに役立つことが示唆された。3か月後、CALMを受けた患者の52%においてうつ症状が臨床的に重要な軽減を示したのに対し、通常のケアを受けた患者におけるその割合は33%であった。CALMを受けた患者はまた、3か月後および6か月後の心理的ウェルビーイングが改善しており、エンド・オブ・ライフへの準備がよりできていた。このスタディ結果は2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。

結腸がん術後補助化学療法に対する個別化治療のためのリスクに基づく新たな標準治療が世界的研究により定められた [2017-06-13]
Global study sets new risk-based standard to personalize chemotherapy for colon cancer after surgery

リンパ節転移陽性結腸がん(ステージIII)に対する術後補助化学療法は、一部の患者では長期にわたる標準コースの半分しか必要でない可能性がある、と2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。北米、ヨーロッパ、およびアジアにおける6つの臨床試験の解析において、比較的再発リスクの低い患者では3か月間の化学療法は6か月間の化学療法と同様に有効であった。3か月の治療レジメンはまた、副作用、特に神経障害が少なかった。筆者らは、再発リスクの低い60%の患者にとって3か月の化学療法は新たな標準治療となるであろう、と示唆している。

ウェブベースの症状報告システムは苦痛を軽減する行動につながり、予後を改善する [2017-06-13]
Web-based symptom reporting system leads to actions that alleviate suffering and improve outcomes

766人の患者を対象としたランダム化臨床試験の結果、簡便な介入−患者がリアルタイムで症状を報告することができ、医師への警告のきっかけとなるウェブベースのツール−は、生存期間延長などの大きな恩恵をもたらし得ることが示された。この試験では、外来化学療法を施行されている進行固形がん(泌尿生殖器、婦人科、乳腺及び肺)の患者766人を組み入れた。化学療法中の症状をこのツールを使用して定期的に報告した患者は、この方法を使用しなかった患者に比べ、生存期間中央値が5か月長かった。彼らはまた、より長期の化学療法に耐えることができた。この結果は、2017年American Society of Clinical Oncology年次集会Plenary Sessionで発表された。

スタディの結果、PARP阻害剤が乳がん治療において重要な役割を果たす可能性があることが示唆された [2017-06-13]
Study findings suggest PARP inhibitors could play an important role in breast cancer treatment

約300人の女性を対象とした第III相臨床試験の結果により、PARP阻害剤がBRCA関連乳がんの新たなタイプの治療として導入される可能性がある。Olaparibを投与された患者の約60%において腫瘍が縮小したのに対し、化学療法を施行された患者におけるその割合は29%であった。追跡期間中央値14か月の時点で、がん再発率はolaparib投与群で化学療法群より42%低かった。がん進行までの期間中央値はolaparib投与群で7か月であり、化学療法群で4.2か月であった。このスタディ結果は、2017年American Society of Clinical Oncology年次集会Plenary Sessionで取り上げられた。

CAR T細胞療法は多発性骨髄腫を長期寛解に持ち込む [2017-06-13]
CAR T-cell therapy sends multiple myeloma into lasting remission

2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された早期臨床試験において、多発性骨髄腫患者35人中33人(94%)が新たなタイプの免疫療法−B細胞成熟蛋白BCMAを標的としたキメラ抗原受容体(CAR)T細胞−を受けることにより臨床的寛解を得た。治療効果を示す最初の徴候はCAR T細胞の初回注射から10日と、早期に出現した。CAR-T細胞療法は、各患者に対し個別に作成される。患者自身のT細胞が収集され、ラボで遺伝子の再構成が行われ、患者に注射し戻される。多くの患者は、軽度の副作用を発現するのみである。

第2世代EGFR阻害薬はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者の生存期間を改善する [2017-06-13]
Second-generation EGFR inhibitor improves survival in EGFR positive non-small cell lung cancer

第III相臨床試験の結果は、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺がんと新規に診断された患者に対し、新たな治療の可能性を指し示している。研究者らはアジアおよびヨーロッパの患者452人を、dacomitinibまたはゲフィチニブを投与する群にランダムに割り付けた。Dacomitinib投与群はゲフェチニブ投与群に比べ、がん進行または死亡の確率が41%低かった。無増悪生存期間はdacomitinib投与群で14.7か月であり、ゲフィチニブ投与群では9.2か月であった。しかし、副作用はdacomitinib投与群でより重篤であった。このスタディ結果は2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。

新たなALK阻害剤は現在の標準治療よりも肺がんの増殖を1年以上長く停止させる [2017-06-13]
New ALK inhibitor halts lung cancer growth more than a year longer than current standard of care

2017年American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相臨床試験の結果は、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対し、より有効な初回治療を指し示した。現在の標準治療であるクリゾチニブに比べ、新たなALK阻害剤アレクチニブは、がん増殖を期間中央値で15か月長く停止させ(無増悪生存期間中央値はアレクチニブで25.7か月、クリゾチニブで10.4か月)、重篤な副作用は少なかった。さらに、12か月後の脳転移率はアレクチニブ治療群の方がはるかに低かった(9% vs. 41%)。

BILCAP:経口抗がん剤が胆管がん患者の生存期間を1年以上延長する [2017-06-06]
BILCAP: Oral chemotherapy extends survival by more than a year in biliary tract cancer

胆管がん患者447人を対象とした第III相ランダム化比較試験の結果、術後にカペシタビンを投与することにより、手術単独の場合と比較し、生存期間中央値が15か月延長することが示された、と2017年ASCO年次集会で発表された。がん再発までの期間中央値は、カペシタビン投与群で25か月であり、コントロール群では18か月であった。最も顕著な副作用は、カペシタビンによく見られる手足の発疹であった。これらの所見は、本疾患に新たな標準治療の基盤を提供する可能性がある。

ADJUVANT:ゲフィチニブは非小細胞肺がんの再発予防において術後補助化学療法よりも有効である [2017-06-06]
ADJUVANT: Gefitinib more effective than adjuvant chemotherapy in preventing recurrence of non-small cell lung cancer

分子標的治療薬ゲフィチニブは、標準治療である化学療法よりも術後再発予防においてより有効なようである。第III相臨床試験において、ゲフィチニブを投与された上皮成長因子受容体(EGFR)陽性、ステージII-IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の患者は、通常の化学療法を受けた患者に比べ、無再発期間が約10か月長かった。再発までの期間中央値は、ゲフィチニブ群で28.7か月であり、化学療法群で18か月であった。試験期間中に76人が死亡した(全登録患者の34.2%);41人はゲフィチニブ群、35人は化学療法群であった。このスタディ結果は2017年ASCO年次集会で発表される。

結腸がん患者の治療後の食事や行動で経過に差が出る [2017-06-06]
What patients with colon cancer eat, drink, and do after treatment makes a difference

ステージIII結腸がん患者992人を対象としたスタディの結果、術後補助化学療法中および療法後は健康的なライフスタイルであったと報告した患者は、あまり健康的でないライフスタイルであった患者に比べ経過が良好であることが示された、と2017年ASCO年次集会で報告される。健康的なライフスタイルスコアが最も高い患者は、スコアが最も低い患者に比べ、死亡リスクが42%低く、再発率も低い傾向にあった。飲酒をスコアに含めると、ライフスタイルスコアが最も高い患者群は、スコアが最も低い患者群に比べ、死亡率が51%低く、再発率も36%低かった。

HPVワクチン接種は経口HPV感染を減少させるが、十分に活用されていない [2017-06-06]
HPV vaccination may reduce oral HPV infections but is still under-utilized

HPVワクチン接種の経口HPV感染に及ぼす影響を調査した初めての大規模試験の1つで、このワクチンの高度な予防効果の可能性が示された。米国における若年成人を対象としたこのスタディの結果、ワクチン接種を1回以上受けたと報告した者はワクチン接種を受けなかった者に比べ、高リスクのHPV感染有病率が88%低かった。研究者らは、HPVワクチン接種率は、特に男性においては依然として低く、それがこのワクチンの集団レベルの有益性を限定している、と述べている。このスタディ結果は2017年ASCO年次集会で発表される。