若年の甲状腺がん既往者は心疾患や骨粗鬆症リスクが高い [2017-01-31]
Young thyroid cancer survivors face increased risk of heart conditions and osteoporosis

若年の甲状腺がん既往者は高血圧、心疾患および骨粗鬆症のリスクが高い、とASCO 2017 Cancer Survivorship Symposiumで発表された。40歳前に甲状腺がんと診断された既往者は、がんの既往のないマッチさせたコントロール群に比べ、心臓周囲の炎症(心膜心筋炎、心内膜心筋症、および心筋炎)を発症する割合が5倍高く、心臓弁膜症を発症する割合が2倍以上であった。若年の甲状腺がん既往者はまた、コントロール群に比べ、高血圧や不整脈などの心疾患を有する割合が高かった。さらに、若年患者は骨粗鬆症を発症するリスクが7倍以上高かった。

身体的および心理的理由により、がんの診断後に患者の活動性は低下する [2017-01-31]
Physical and psychological reasons patients decrease physical activity after cancer diagnosis

12の病院においてがん治療を受ける患者に対する新たな調査の結果、がんと診断された後の運動が、有益であることが証明されているにもかかわらず、75%もの患者において減少しており、一方、16%は診断前の運動を維持し、4%は運動を増やしたことが示された。がん治療に伴う倦怠感や疼痛に加え、モチベーション維持や鍛え続けることが困難であることなどの、心理的な障壁が運動を減少させる因子として認められた。ASCO 2017 Cancer Survivorship Symposiumで発表されたこの結果は、がんの一連の治療を通して、身体活動をサポートし促進するための新たな手段が必要であることを示唆している。

グリル肉の摂取は乳がん既往者の高死亡リスクと関連がある [2017-01-24]
Consumption of grilled meat linked to higher mortality risk among breast cancer survivors

グリル、バーベキュー、および燻製肉の摂取量が多いことは乳がん既往者の死亡リスクを上昇させる可能性がある、とJournal of the National Cancer Institute に掲載された。乳がんを有する女性において、診断前のグリル/バーベキューおよび燻製肉の摂取量が多かった者は、5年後の全死亡リスクが23%高かった。燻製の牛肉/ラム/豚肉の摂取により全死亡リスクが17%上昇し、乳がん特異的死亡リスクが23%上昇した。診断前および診断後のグリル/バーベキューおよび燻製肉の摂取が少なかった女性に比べ、多く摂取し続けた者は全死亡リスクが31%高かった。

仕事関連ストレスへの長期曝露は一部のがんリスクを上昇させる [2017-01-24]
Prolonged exposure to work-related stress linked to increased risk of certain cancers

男性において、仕事関連のストレスに長期曝露されることは、肺、結腸、直腸および胃がんや非ホジキンリンパ腫の割合を上昇させる、とPreventive Medicine に掲載された。スタディ参加者は、生涯の就業期間に4つの職業を経験しており、一部の者は最大12以上経験していた。仕事のストレスに15〜30年、また場合によっては30年以上曝露された男性は、5つのがんとの有意な関連が認められた。仕事関連ストレスとがんとの関連は、ストレスフルな仕事が15年未満であった者においては認められなかった。

非小細胞肺がん手術からの回復が遅れた患者に対する術後補助化学療法は有益である [2017-01-17]
Adjuvant chemotherapy benefits patients with delayed recovery from surgery for non-small-cell lung cancer

新たなスタディの結果、非小細胞肺がん手術からの回復が遅い患者であっても術後最長4か月経過後に開始した化学療法でも有益である可能性がある、とJAMA Oncology オンライン版に掲載された。多剤併用化学療法を施行された、ステージI、IIまたはIIIの非小細胞肺がん患者12,473人を対象とした今回のスタディは、遅れて施行された化学療法(術後57〜127日)は死亡リスクを上昇させないことを示唆している(p=0.27)。化学療法を遅れて施行された患者は、手術のみを施行された患者に比べ死亡リスクが低かった(p<0.001)。このスタディの限界には、因果関係を確立できなかったことが挙げられる。

マンモグラフィーは生命を脅かさない腫瘍の過剰診断は増加させるが進行性腫瘍は減少させない [2017-01-17]
Mammography increases overdiagnosis of nonthreatening tumors but no reduction of advanced tumors

乳がんスクリーニングは非進行腫瘍およびDCISの発現率を実質的に増加させるが進行性腫瘍発現率は減少させないとのあるコホート研究結果がAnnals of Internal Medicineに掲載された。研究者らは、スクリーニングされた女性において、進行性の腫瘍およびDCIS症例と診断された女性の約3分の1が、過剰診断であったと結論付けた。過剰診断の問題は、これにより臨床的有益性なしに有害な可能性のある手術、化学療法、および放射線療法に患者をさらすことである。スクリーニングが進行性腫瘍の発生率を低下させるか否かが、治療における重要な意味合いを有する。

早期臨床試験の結果、小児神経線維腫症1型に関連する叢状神経線維腫の縮小が示された [2017-01-10]
Early-phase trial demonstrates shrinkage in pediatric neurofibromatosis type 1-related plexiform neurofibromas

新たな経口薬の早期臨床試験において、一般的な遺伝子疾患である神経線維腫症1型(NF1)および叢状神経線維腫を有する小児は、selumetinibに忍容性があり、多くの症例においてこの新たな経口薬が奏効し、腫瘍が縮小した。現時点では、NF-1に関連する叢状神経線維腫に有効な治療はないと考えられているが、今回のトライアルにおいて、70%を超える患者で部分奏効が認められた。奏効性は、増悪が認められない病変に加え、年20%以上の割合で進行した腫瘍においても観察された。腫瘍縮小は、長期にわたり維持された。このスタディ結果はNew England Journal of Medicine に掲載された。

骨転移患者に対する低頻度の薬剤投与は骨折またはその他の骨イベントを増加させない [2017-01-10]
Less frequent dosing of drug for patients with bone metastases does not increase risk of fracture or other skeletal events

乳がん、前立腺がん、または多発性骨髄腫の骨転移患者において、ビスホスホネート系薬剤ゾレドロン酸の12週ごと投与は、標準的な4週ごと投与に比べ、骨イベントを増加させることはなかったとJAMA に掲載された。研究者らは、1,822人の患者を2年間にわたり、ゾレドロン酸を4週ごと静脈内投与(911人)、または12週ごと投与(911人)群に割り付けた。骨関連イベント率は群間で有意差がなかった(非劣性に関しp<0.001)。ペインスコア、顎骨壊死、および腎機能不全もまた、治療群間で有意差はなかった。