高リスクの心疾患患者集団において結婚の有無と死亡とに関連が認められた [2017-12-26]
Association found between marital status and death in high-risk cardiac patient population

結婚している心血管疾患患者に比べ、結婚していないことは死亡リスクが高いことと関連があった、と Journal of the American Heart Association に掲載された。結婚していないことにより総死亡リスクは24% 上昇し、心血管疾患による死亡リスクは45% 、心血管死/心筋梗塞リスクは52% 上昇した。特に、結婚歴のない者では心血管死/心筋梗塞リスクが40% 、離婚または別居している者で41% 、死別した者で71% 高かった。

小児期の虐待や逆境は成人期の心血管リスク上昇と関連がある [2017-12-26]
Abuse and adversity in childhood linked to more cardiovascular risk in adulthood

虐待を受ける、暴力を目撃する、いじめを受ける、またはその他の逆境に直面した子供および10代の若者は、成人期に心疾患を発症する確率が高い、との新たな科学的声明をAmerican Heart Association が学会誌 Circulation に掲載した。逆境が心血管および代謝の異常をどのように促進するかは依然として不明であるが、ストレスに対する行動応答(過食など)、メンタルヘルス上の問題、および基本的生物学的過程の崩壊がリスク上昇の基盤にある可能性が、最近のエビデンスから示唆される。慢性的にストレスレベルが高いこと、または急激なストレスレベル上昇の繰り返しは、正常な免疫、代謝、神経および内分泌の発育および機能を崩壊させ得る。

CTおよびMRIから作成したホログラムは医師が複雑な心臓手術を計画するのに役立つ [2017-12-19]
Holograms created from CT and MRI scans help doctors plan complex cardiac surgeries

ホログラムは小児の複雑な心臓手術を計画する際の補助となる可能性がある、とEuroEcho-Imaging 2017 で発表された。この概念実証試験において、異なる先天性心疾患を有する患者3人のホログラムが、MRIまたはCT画像を用いて構築された。外科医は、アプリケーションによりホログラムを操作し、回転したり切除することができた。このホログラムは院内の異なる領域で簡単に見ることができた。また、心臓病専門医と外科医が同時に、詳細な解剖図を見ることも可能であった。研究者らは、個々の心臓の画像から得たホログラム上のバーチャル手術により、外科医がプロテーゼや手技を実際に試してみることが可能となるであろう、と述べている。

心臓移植後の拒絶反応を早期に発見することで移植不全の悪化を予防することができる [2017-12-19]
Early identification of heart transplant graft rejection could prevent progression to graft failure

心血管画像により心臓移植後の拒絶反応を症状出現前に発見できる、とEuroEcho-Imaging 2017 で発表された。研究者らは、長軸方向グローバルストレインや円周方向グローバルストレインの進行性の低下を、液性拒絶反応が臨床的に明らかになる数か月前に発見した。重度の拒絶反応が起こる数か月前には、そのような変化は従来の心エコー計測値では明らかにされておらず、また細胞性拒絶反応も認められない。この2つの拒絶反応における違いは病態生理の違い、すなわち、細胞性拒絶反応はT細胞を介した急性の過程であるのに対し、液性拒絶反応はレシピエントがドナーに対する抗体を産生することによるものである。

男性型脱毛症および若年性の白髪は早期冠動脈疾患のリスクである [2017-12-12]
Male pattern baldness and premature greying associated with risk of early coronary artery disease

男性における男性型脱毛症および若年性白髪は40歳までの心疾患リスクを5倍以上に上昇させる、と69th Annual Conference of the Cardiological Society of India で発表された。このスタディは、インド人若年男性における若年性白髪および脱毛パターンと、冠動脈疾患の関連を調査した。年齢および他の心血管リスクファクターで補正した結果、男性型脱毛症は冠動脈疾患リスクを5.6倍上昇させ(p<0.0001)、若年性白髪はそのリスクを5.3倍上昇させた(p<0.0001)。肥満は若年性心疾患リスクを4倍上昇させた。

非心臓手術を施行された患者の周術期心筋傷害による死亡リスクは高い [2017-12-12]
Higher risk of death due to perioperative myocardial injury for patients undergoing non-cardiac surgery

非心臓手術は、心疾患を有するまたは心疾患発症リスクの高い人々の周術期心筋傷害(PMI)を引き起こす可能性があり、死亡リスクを上昇させた、とCirculation に掲載された。既存の冠動脈疾患、末梢動脈疾患、または脳卒中を有する65歳以上の患者において、7人に1人がPMIを発現した。PMI患者の90% 超が、典型的な胸痛を訴えた。PMI患者は、非PMI患者に比べ、30日以内の総死亡率が6倍高かった。このPMIに関連した死亡率上昇は、術後最長1年間持続した。

女性の体脂肪分布パターンは心血管代謝リスクが良好であることと関連するが、異所性脂肪はリスクが高い前兆である [2017-12-05]
Female pattern of fat distribution associated with improved cardiometabolic risk but ectopic fat portends greater risk

心筋梗塞、脳卒中および糖尿病のリスクを上昇させる可能性があるのは、体脂肪量ではなく脂肪がどこに蓄積しているかである、と2017 annual meeting of the Radiological Society of North America で発表された。スタディ参加者は、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)およびCTスキャンを用いて体組成を測定され、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)で脂肪定量化および解析を施行された。全体的に見て、男性は、女性に比べ心血管代謝リスクの計測値が高かったが、異所性脂肪は心血管代謝リスクとは有意な関連がなかった。異所性脂肪は、女性において男性に比べ、より強力に心血管代謝リスクと関連があった。

水泳や長距離走を行う男性トライアスロン選手は、左室心筋線維化リスクが高い可能性がある [2017-12-05]
Male triathletes who log greater distance may be at risk for myocardial fibrosis of the left ventricle

男性のトライアスロン選手は心筋線維化のリスクが高い可能性がある、と2017 annual meeting of the Radiological Society of North America で発表された。調査対象男性の18% において、MRI上左室の心筋線維化が明らかであったが、女性においてはまったくなかった。これらの選手は心筋線維化のない選手に比べ、水泳、自転車ロードレース、長距離走の合計が有意に長く、ピーク運動時の収縮期血圧が高かった。アイアンマントライアスロンおよび中距離トライアスロンを完走した人数は女性よりも男性の方が有意に多く、線維化リスクは運動レベルと関連があることが示唆された。