サイロキシン血中濃度が正常高値であることは心房細動リスク上昇と関連がある [2017-10-31]
High-normal levels of thyroxine linked to increased risk of atrial fibrillation

血液中を循環している甲状腺ホルモン値(遊離サイロキシン、FT4)が高い人は、たとえホルモン値が正常範囲内であっても、同低値の人に比べ心房細動(AF)発症率が高い、と Circulation に掲載された。同サイズの4グループに分けた結果、FT4値が最も高いグループは最も低いグループに比べ、AFリスクが45% 上昇した。甲状腺ホルモン値が軽度上昇するだけでも、AFリスクは上昇した。しかし、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が正常高値であっても、AFリスクは上昇しなかった。

心房細動発症リスクは年齢および体重増加とともに上昇する [2017-10-31]
Risk of developing atrial fibrillation rises with increasing age and weight

男性は女性よりも平均で約10年早く心房細動(AF)を発症し、過体重であることが主要なリスクファクターである、との大規模スタディの結果が Circulation に掲載された。追跡期間中央値12.6年の間で、診断率は男性で50歳以上、女性で60歳以上の時に急上昇した。男女ともに、90歳までに24% がAFを発症した。発症は、男性ではC反応性蛋白上昇と密接に関連し、新規AF症例は男性の方が女性よりも BMI 上昇に伴いより増加した。AFを有することにより、死亡リスクは3倍以上に上昇した。

太極拳は従来の心臓リハビリテーションを拒否した患者の運動行動を改善する可能性がある [2017-10-24]
Tai Chi may improve exercise behaviors in patients who decline traditional cardiac rehabilitation

太極拳の緩徐かつ穏やかな動き-ペースを上げることも可能−は従来の心臓リハビリテーションを拒否した患者の代替運動療法の選択肢として有望である、との予備的研究が Journal of the American Heart Association に掲載された。研究者らは、太極拳にはトレーニング開始時の軽度の筋肉痛以外に有害事象はなく、安全であることを明らかにした。予定されたクラスの約66% に参加した患者は太極拳を非常に気に入った。太極拳は軽度から中等度の強度に到達することができる、と筆者らは述べている。呼吸やリラクゼーションに重点を置くことは心理的苦痛の軽減にも役立つ。

脳の機能的結合は心停止後の神経障害からの長期的回復予測に役立つ [2017-10-24]
Brain's functional connectivity helps predict long-term recovery from neurological disability after cardiac arrest

MRIベースの脳内機能的結合の計測は、心停止後神経障害を有する患者の長期的回復予測に役立つ、と Radiology オンライン版に掲載された。患者の心停止1年後に研究者らは、心停止後の神経機能計測に一般的に使用されるCerebral Performance Category Scaleを用いて、患者を評価した。1年後に高度に自立していた者において、高度に障害のある者に比べ、機能的結合は強力であった。ネットワーク間の機能的結合の変化は、MRI検査のいずれの構造的計測値よりも高い精度で転帰を予測した。

非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬と一部の薬剤の併用は大出血リスクを上昇させる [2017-10-17]
Non-vitamin K blood thinners plus concomitant use of certain mediations raises major bleeding risk

非弁膜症性心房細動患者において、一般的に処方される一部の薬剤と非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の併用により大出血リスクが上昇する、と JAMA に掲載された。研究者らは、アミオダロン、フルコナゾール、リファンピンおよびフェニトインとNOACの併用により、NOAC単独に比べ大出血率が有意に高いことを明らかにした。NOAC単独使用に比べ、アトルバスタチン、ジゴキシン、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシンとの併用は大出血発現率が有意に低く、ベラパミル、ジルチアゼム、サイクロスポリン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、または posaconazoleおよび dronedaroneとの併用では有意差がなかった。

青年期のビタミンK摂取量が少ないことは不健康な左室肥大と関連がある [2017-10-17]
Low consumption of vitamin K by adolescents associated with unhealthy enlargement of the left ventricle

その他の点では健康な若年者766人を対象としたスタディにおいて、ビタミンK1(ほうれん草、キャベツ、玉レタスおよびオリーブオイルなどに含まれる)摂取が最小の者は、不健康な左室肥大リスクが3.3倍高かった、と Journal of Nutrition に掲載された。ビタミンK1摂取が最小の14〜18歳は、ビタミンK1を適切に摂取している者に比べ、左室全体のサイズおよび壁厚は有意に増大し、左室駆出率は有意に低かった。この変化は、心臓の構造や機能に影響することが知られている他の因子とは関係なく、認められた。

がん既往歴を有する患者は心筋梗塞後にエビデンスに基づく治療を受ける確率が低い [2017-10-10]
Patients with history of cancer are less likely to receive evidence-based treatments following a myocardial infarction

心筋梗塞(MI)治療は患者のがん既往歴に左右される、と European Heart Journal: Acute Cardiovascular Care に掲載された。心臓発作を来した患者35,000人超を対象としたこのスタディの結果、がん既往歴を有する患者は 、MI に対してエビデンスに基づく治療を受ける確率が低いことが明らかになった。がん既往歴を有する患者はPCI施行率が 24% 低く、P2Y12拮抗薬およびスタチンの処方率がそれぞれ 18% および 13% 低かった。これらの患者はまた、合併症がより多く、入院中の死亡率が 45% 高かった。

MI患者の復職後1年以内の失業率は驚くほど高い [2017-10-10]
Surprisingly high degree of unemployment within a year after an MI patient returns to work

心筋梗塞(MI)後に復職してから1年以内に、4分の1の患者が離職する、と Journal of the American Heart Association に掲載された。MI発症前に就労していた22,394人のうち、91% が MI 発症から1年以内に復職した。しかし、復職後1年以内に 24% の患者が離職し、社会保障給付を受けていた。糖尿病、心不全、うつ病および低学歴や低収入である既往者は、MI発症から1年後に働いていない確率が最も高かった。

臍帯血から得られた幹細胞の静脈内注入は左室機能およびQOLを改善する [2017-10-03]
Intravenous stem cell infusion derived from umbilical cords improves left ventricular function and quality of life

臍帯血から得られた幹細胞を使用した心不全治療は、心筋機能およびQOLを著明に改善する可能性がある、とCirculation Research に掲載された。プラセボ治療に比べ、幹細胞治療は、治療後1年以内の左室機能の持続的かつ有意な改善を示した。臍帯血幹細胞の静脈内注入により、日常の機能状態およびQOLが大きく改善した。臍帯血幹細胞の静脈内注入は、有害事象および、臓器移植や骨髄移植を受けた患者に一般的に見られる免疫合併症である同種抗体の出現を来すことはなく、安全であった。

長期、低用量アスピリン療法の中断は心血管イベントリスクを上昇させる可能性がある [2017-10-03]
Stopping long-term, low-dose aspirin therapy may increase risk of a cardiovascular event

長期、低用量アスピリン療法の中断は心血管イベント発現リスクを上昇させる可能性がある、とCirculation に掲載された。研究者らは心筋梗塞および脳卒中予防目的で低用量アスピリンを内服している601,527人のカルテを調査した。3年間の追跡期間中、62,690例の心血管イベントが発現した。アスピリン内服を中断した患者74人当たり1人が、1年以内にさらに心血管イベントを来した。アスピリン内服を継続した者に比べ、内服を中断した者は心血管イベント発現率が37% 高かった。この上昇したリスクは、時間が経っても消失しないようであった。