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日本人の男女において雇用形態の変化は脳卒中リスクに影響する [2017-04-25] |
Changes in employment status impacts risk of stroke among Japanese men and women |
中年の日本人男女において、失業は脳卒中リスクを上昇させるようである、とStroke に掲載された。継続的に雇用されている中年の日本人参加者に比べ、少なくとも1回の失業を経験した者は虚血性脳卒中または脳出血を発症するか、それらにより死亡するリスクが高かった。再雇用された男性もまた脳卒中リスクが高かったが、女性においてはそうではなかった。持続的に失業している男女は、さらに脳卒中死亡リスクが高かった。重要なことは、最も働き盛りの年代における雇用保障は脳卒中リスク軽減に役立ち得る、ということであると筆者らは述べている。 |
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心筋梗塞後の生存率は運動レベルとともに上昇する [2017-04-25] |
Odds of surviving after a myocardial infarction improve with the level of exercise |
運動は心筋梗塞(MI)後の生存率上昇と関連がある、とEuropean Journal of Preventive Cardiology に掲載された。生存率は運動量が多いほど上昇した。研究者らは、MI後即死した者と生存した者との運動レベルを比較した。その結果、運動をしていた者はMI後に死亡する確率が低かった。さらに、運動とMIによる死亡には用量依存性の関係が認められた。軽度または中等度/高度の運動を行った者は運動をしない者に比べ、それぞれ心筋梗塞により死亡する確率が32%および47%低かった。 |
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白髪の程度の評価は冠動脈疾患の予測因子となり得る [2017-04-18] |
Evaluation of hair greying could be used as a predictor for coronary artery disease |
男性において白髪は心疾患リスク上昇と関連することが認められた、とEuroPrevent 2017のポスターセッションで発表された。白髪化スコアが高いことは、暦年齢や確立された冠動脈疾患リスクファクターとは独立して、冠動脈疾患リスクを増加させた。冠動脈疾患患者は冠動脈疾患を有さない人々に比べ、白髪化スコアが統計学的に有意に高く、冠動脈石灰化が高度であった。多変量解析において、年齢、白髪化スコア、高血圧および脂質異常症は、冠動脈硬化が存在することの独立した予測因子であった。年齢のみが白髪の独立した予測因子であった。 |
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体の大きな女性は心房細動リスクが3倍高い [2017-04-18] |
Larger women have nearly threefold greater risk of atrial fibrillation |
体の大きな女性は小さい女性に比べて、心房細動のリスクが3倍近く高い、とEuroPrevent 2017で発表された。スタディでは150万人の女性を対象とし、最長33.6年(平均16年)追跡し、7,001人の女性が平均年齢49歳時に心房細動で入院した。初産年齢、糖尿病、高血圧および喫煙で補正した結果、体表面積が4分位で最小の女性と比べ、2番目、3番目、4番目(最大)の女性は、心房細動リスクがそれぞれ1.16、1.55および2.61倍高かった。 |
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消防士の直面する心血管系への特有のストレスに焦点を当てたスタディが行われた [2017-04-11] |
Study highlights the unique stress to the cardiovascular system faced by firefighters |
消火活動中の極端な高熱への曝露および身体活動は、血栓形成や血管機能の障害、心筋梗塞リスク上昇に関連する変化のきっかけとなる可能性がある、とCirculation に掲載された。非喫煙者の消防士17人が、約400℃に達する温度に曝露されながら、二階建ての建物から"被害者"(体重約80kg)の救助を試みるシミュレーション訓練に参加した。消防士の深部体温は20分の間に1.1℃近く上昇した。消火活動中の極端な高熱への曝露および身体活動は、血小板を活性化させ、血栓形成を増加させ、血管機能を低下させ、心筋虚血および障害を助長した。 |
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自己骨格筋由来細胞シートの移植は心筋症に対する実現可能な治療である [2017-04-11] |
Transplanting autologous cell-sheets from skeletal muscles is feasible treatment for cardiomyopathy |
障害された心臓に自己由来筋芽細胞シートを移植することにより、心不全症状が改善するとの第I相臨床試験の結果がJournal of the American Heart Association に掲載された。日本の研究者らは、心不全患者の大腿筋から採取した細胞でシートを作成し、これらの"細胞シート"を患者の心臓に外科的に接着させた。対象患者27人はこの施術による重大な合併症を来すことなく、シート移植1年後には運動耐容能および心機能が改善した。このスタディの結果、細胞シートは心筋症の実行可能な治療となる可能性のあることが示唆されるが、さらに大規模の臨床試験が必要である。 |
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外科的LAA閉鎖術は心房細動患者の血栓塞栓症を減少させる [2017-04-04] |
Surgical LAA occlusion reduces thromboembolism among patients with atrial fibrillation |
心房細動患者に対する心臓手術中の追加施術としての左心耳(LAA)閉鎖術は、血栓塞栓症リスクを40%低下させたとの観察研究の結果が、American College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。外科的LAA閉鎖術施行患者のうち、12か月以内に血栓塞栓症により入院したのは1.6%、LAA閉鎖術非施行患者においては2.5%であり(p=0.0016)、リスクは40%軽減された。LAA閉鎖術は死亡を15%減少させ、血栓塞栓症、出血性脳卒中および死亡のリスクを21%減少させた。 |
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SPAIN:再発性の意識消失発作はクローズドループ刺激と呼ばれるペーシングプログラムにより減少する [2017-04-04] |
SPAIN: Recurrent syncope reduced with pacing program called Closed Loop Stimulation |
再発性の意識消失発作患者で、意識消失発作に先立つ異常心調律を検出および停止させるようにデザインされたペーシングプログラムを実行するペースメーカーを挿入された患者は、失神が7倍減少したとAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。最初にクローズドループ刺激(DDD-CLS)ペーシングに組み入れられた患者のうち、72.2%において1年間の意識消失発作が50%減少したが、彼らがプラセボ群にクロスオーバーした後に意識消失発作が再発した。初回意識消失発作までの推定時間は、DDD-CLSを植え込まれた患者において長かった(29か月対プラセボ群9.3か月、p=0.0158)。 |
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ARISTOTLE:ジゴキシンを服用している心房細動患者における死亡リスク上昇に関する新たな懸念 [2017-04-04] |
ARISTOTLE: New concerns about heighted risk of death for patients with atrial fibrillation taking digoxin |
症状コントロール目的でジゴキシンを投与されている心房細動患者は、心不全の有無にかかわらず死亡リスクが高く、このリスクはジゴキシン血中濃度上昇に伴い上昇する、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。既にジゴキシンを投与されている患者において、全体的なジゴキシン使用と死亡との相関は有意ではなかった。しかし、このコホートであっても、死亡リスクはジゴキシン血中濃度と相関があった:ジゴキシン血中濃度が0.5 ng/mL上昇するごとに、死亡リスクは19%上昇した。 |
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RE-CIRCUIT:非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬の継続投与はアブレーション中のワルファリンの代替薬として優れている [2017-04-04] |
RE-CIRCUIT: Uninterrupted non-vitamin K antagonist oral anticoagulant is good alternative to warfarin during ablation |
心房細動治療目的のアブレーション周術期における非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬ダビガトランの継続投与により、ワルファリンの継続投与に比べ大出血発現率が有意に低下した、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。このRE-CIRCUITトライアルにおいて、一次エンドポイントであるアブレーション中または施術後2か月以内の大出血は、ダビガトラン投与患者で1.6%、ワルファリン投与患者では6.9%であり(相対リスク低下=77.2%)、5.3%減少した(p=0.0009)。 |
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非心臓手術後1か月以内の死亡リスクが高感度トロポニンTアッセイを用いることにより検出される [2017-04-04] |
Risk of death within one month of non-cardiac surgery detected using high-sensitivity troponin T assay |
高感度トロポニンTの血液検査は、迅速な治療により命を救える可能性のある非心臓手術後の心損傷を有する患者を検出できる、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。研究者らは、血液アッセイを用いることにより、ピークトロポニンT値が5 ng/L未満の患者の30日以内の死亡リスクは、わずか0.1%であると決定付けた。対照的に、ピークトロポニン値が20〜64 ng/Lの者はトロポニンT値が低い者に比べ、術後30日以内の死亡リスクが3倍であり、30日間の絶対リスクは3%であった。 |
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REACH:ライフスタイル介入は収縮期血圧を10 mmHg低下させる [2017-04-04] |
REACH: Lifestyle intervention leads to 10-point drop in systolic blood pressure |
高血圧に対するオンラインライフスタイル介入に関する初めてのランダム化二重盲検試験において、ウェブベースのライフスタイルカウンセリング(e-カウンセリング)は対象者の収縮期血圧を10 mmHg低下させ、それに対しウェブベースのコントロール介入に参加した患者における低下は6 mmHgであり、統計学的に有意であった。E-カウンセリング群はまた、脈圧が平均4 mmHg低下したのに対し、コントロール群では1.5 mmHgであった。筆者らは、e-カウンセリングによる介入は、降圧薬をさらに追加したのと同様の効果を示したと述べている。このREACHスタディはAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。 |
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