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COMPARE-ACUTE:スタディの結果、心筋梗塞の直後にすべての閉塞した動脈を治療することの有益性が示された [2017-03-28] |
COMPARE-ACUTE: Study shows benefits to treating all blocked arteries at once after myocardial infarction |
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)後に評価し妥当であれば、すべての閉塞した動脈を治療することにより患者の予後が改善しその後の侵襲的施術の必要性を軽減でき得る、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Session で発表された。主治医がMI責任病変の狭窄のみを治療した患者に比べ、FFRガイド下評価を受けすべての動脈を治療された患者は、この臨床試験の一次エンドポイントである総死亡、非致死性MI、脳卒中およびその後12か月間の血行再建術から成る複合エンドポイントを発現する確率が、65%低かった。このCOMPARE-ACUTE試験の結果は、ACCにおける発表と同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。 |
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経口薬リバーロキサバンはアスピリンに比べ静脈血栓塞栓症の再発リスクを3倍以上軽減する [2017-03-28] |
Oral rivaroxaban reduces risk of recurrent venous thromboembolism more than three-fold compared to aspirin |
静脈血栓塞栓症(VTE)リスクの高い患者において、低用量経口リバーロキサバンはアスピリンに比べ、静脈血栓塞栓症の再発を3倍以上軽減し、有意な出血性副作用増加は認めなかった、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。追跡期間中央値351日後、VTE再発を来したのはリバーロキサバン10 mg服用患者では1.2%、20 mg服用患者では1.5%であったのに対し、アスピリン服用患者では4.4%であった。この差は、両リバーロキサバン群でアスピリン群に比べ、統計学的に有意であった。 |
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抗血小板薬ではなく経口抗凝固薬は無症候性の弁尖血栓症を減少させる [2017-03-28] |
Oral anticoagulants, but not anti-platelet therapy associated with reduced subclinical leaflet thrombosis |
大動脈弁置換術を施行された患者の約12%が、弁の動きの低下する無症候性の弁尖血栓症を発症したとの観察研究が、American College of Cardiology's 66th Annual Scientific Session で発表され、同時にLancet に掲載された。CTスキャンの解析の結果、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)施行患者の13.6%および外科的大動脈弁置換術(SAVR)施行患者の3.8%において、無症候性弁尖血栓が認められ、全体では12.1%に認められた。血栓はTAVR患者においてSAVR患者よりも有意に高率に認められたが、この差はSAVR施行患者の方が若年であり全体的な健康状態が良好であることによると考えられる。 |
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PCSK9阻害はベースラインのLDLコレステロール値の高い高リスク患者において心血管系転帰を改善する [2017-03-28] |
PCSK9 inhibition improves cardiovascular outcomes in high risk patients with higher LDL-cholesterol at baseline |
早期に終了された臨床試験プログラムにおいて、治験薬PCSK9 阻害薬bococizumabを有効なスタチン療法に加え投与した場合、LDLコレステロール値に対する効果は様々であり、LDLコレステロール値が100 mg/dL未満の患者では心血管イベントに対する有益性はなかった。しかし、ベースラインのLDLコレステロール値が100 mg/dLを超える心血管系リスクの高い患者において、bococizumabはプラセボに比べ心血管系イベントリスクを有意に21%減少させた、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表され、同時にNew England Journal of Medicine に掲載された。 |
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TAVRは高齢者において微小出血のリスクを増加させ神経学的障害と関連する [2017-03-28] |
TAVR increases risk of microbleeds and related neurological impairment in older patients |
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を施行された高齢患者84人中4分の1近くが、施行後に新たな微小出血を来したとの単施設研究の結果が、American College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。TAVR前に施行されたMRI画像検査において、26%の患者に少なくとも1個の微小出血が認められた。施行3日後に、計40%の患者に微小出血が認められ、23%はTAVR施行前には存在しなかった新たな微小出血であった。TAVRの前後ともに観察された微小出血は、質問票ベースの神経認知機能評価における思考や記憶の障害と関連があった。 |
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EBBINGHAUS:エボロクマブをスタチン療法に追加することの認知面に関するエビデンスはない [2017-03-28] |
EBBINGHAUS: No evidence of cognitive issues when evolocumab is added to statin therapy |
新たなコレステロール低下薬をスタチン治療に追加することにより、記憶力低下や他の認知面や思考に関する新たな問題が引き起こされるとのエビデンスはないと、この問題に取り組む過去最大の最も厳密にデザインされたEBBINGHAUSスタディの結果が示された。研究者らは、エボロクマブ服用患者とプラセボ服用患者とで、患者に対する質問票または医師の報告による認知面での副作用における4つの認知機能検査値のいずれに関しても、重要な差がなかったことを明らかにした。この研究結果は、American College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。 |
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FOURIER:PCSK9阻害薬は一貫した抑制効果とLDL-Cの著明な低下を示した [2017-03-21] |
FOURIER: First outcomes trial of PCSK9 inhibitor shows consistent benefits and confirms marked drops in LDL-C |
新規PCSK9阻害薬の1つであるエボロクマブは、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を劇的に低下させることは示されているが、心血管疾患歴を有しスタチン治療を受けている患者の心血管イベントリスクも有意に低下させることが、American College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。エボロクマブはLDLコレステロール中央値を92mg/dLから30mg/dLに、59%低下させた。心血管死亡率単独への影響は認められなかったが、心筋梗塞および脳卒中において、それぞれ27%と21%の統計学的に有意な低下が認められた。FOURIER試験の結果は同時に、New England Journal of Medicine に掲載された。 |
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SURTAVI:TAVRは重症の大動脈弁狭窄を有する中等度リスク患者において安全かつ有効な手術である [2017-03-21] |
SURTAVI: TAVR is as safe and effective as surgery in intermediate-risk patients with severe aortic stenosis |
2年間のデータにより、重症の大動脈弁狭窄を有する中等度リスク患者において、自己拡張型経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)と標準的な開胸手術を比べた場合、脳卒中と全死亡を合わせた率に差がないことが明らかになった、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。全体として、30日、1年および2年間のデータにより、全死亡はTAVR群とSAVR群で同様であることが示された。さらに、主要な後遺障害を伴う脳卒中の割合において、統計学的に有意な差はなかった。SURTAVI試験の結果は同時に、New England Journal of Medicine に掲載された。 |
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ミソプロストールを非ステロイド性抗炎症薬と併用することでNSAID単独服用に比べ安全な可能性がある [2017-03-21] |
Combining misoprostol with non-steroidal anti-inflammatory drugs could be safer than NSAIDs alone |
胃潰瘍に対して、ミソプロストールを非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)とともに服用した人は、NSAID単独服用した人に比べ、重篤な心血管イベント、脳卒中および腎不全のリスクが有意に低かった、とAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。NSAIDをミソプロストールとともに服用している人は、心筋梗塞、心停止、または心室細動の発現リスクが44%低かった。両薬剤服用者は、NSAID単独服用者に比べ、脳卒中または一過性脳虚血発作のリスクが25%低く、急性腎不全のリスクが34%低かった。 |
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心拍計の正確さはデバイス、活動のタイプおよび運動強度により異なる [2017-03-21] |
Accuracy of heart rate monitors varies by device, activity type and exercise intensity |
研究者らは5つの一般的な手首装着型フィットネストラッカー(アップルウォッチ、Fitbitなど)を試し、様々なタイプの運動や運動強度においてどの程度正確に心拍を計測できるかを調査した。その結果に基づくと、特に活動中の心拍モニターが必要な人においては、旧式の胸帯モニターが最良であった。手首に装着するフィットネストラッカーは、心拍数を過大および過小評価した。誤差は、活動のタイプにより1分当たり±34拍から±15拍の範囲であった。このスタディ結果は、American College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。 |
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更年期障害の症状緩和のためのホルモン補充療法は動脈硬化を抑制し生存率を改善した [2017-03-21] |
Using hormone replacement therapy to relieve menopause symptoms lowered atherosclerosis and improved survival |
更年期障害の症状緩和のためのホルモン補充療法を行っている女性は、ホルモン補充療法を行っていない女性に比べ、死亡リスクが低く動脈硬化度が低かった、との単施設研究がAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。ホルモン補充療法を行っている女性はこれを行っていない女性に比べ、死亡する確率が全体で30%低く、冠動脈石灰化スコアがゼロ(計測可能な最小値)である確率も20%高く、冠動脈石灰化スコアが399超(重度の動脈硬化を示唆)である確率が36%低かった。 |
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心筋梗塞直後の睡眠時無呼吸のスクリーニング検査はやや信頼性に欠ける [2017-03-21] |
Tests that screen for sleep apnea shortly after a myocardial infarction are somewhat unreliable |
心筋梗塞直後に施行された検査の睡眠時無呼吸陽性の診断はやや信頼性に欠ける、との単施設研究がAmerican College of Cardiology's 66th Annual Scientific Sessionで発表された。患者はMI直後、および6か月後にスクリーニング検査を受けた。初回に閉塞性睡眠時無呼吸と診断された患者のうち、46%は6か月後の時点では睡眠時無呼吸ではなくなっていた。初回に中枢性睡眠時無呼吸と診断された患者のうち、83%が6か月後に閉塞性睡眠時無呼吸を有していることが明らかになった。初回の検査で睡眠時無呼吸がないと判断された患者の大多数(93%)は、6か月後も睡眠時無呼吸を有さないままであった。 |
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治療抵抗性高血圧に対する専門医を求めている患者5人中、わずか1人しか処方薬を服用していない [2017-03-14] |
Only 1 in 5 patients seeking specialist for resistant hypertension take medications as prescribed |
治療抵抗性高血圧に対し専門的な治療を求めている患者5人中、わずか1人しかすべての処方薬を服用していない、とHypertension に掲載された。この驚くべき結果は、主に、治療抵抗性高血圧患者が降圧薬に加え腎除神経を受けることにより、血圧が低下するか否かを検討するためにデザインされたスタディの結果から得られた。20%の患者が処方薬をすべて服用しており、20%は全く内服していないことが明らかになった。31%の患者においては、スタディ期間中に服薬コンプライアンスが改善または低下した。 |
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新たな標的が発見され、血圧はより有効にコントロールされる可能性がある [2017-03-14] |
Blood pressure could be more effectively controlled as new treatment target is discovered |
血圧を調節する一酸化窒素が、血管壁よりもむしろ神経内で産生されることが発見されたおかげで、より有効性の高い新たな降圧治療が可能になる、とHypertension に掲載された。研究者らはヒト被験者に対し、阻害薬を用いて神経内の酵素を阻害することにより一酸化窒素の産生を抑制させた。この酵素の一酸化窒素産生を停止させた時点で、研究チームは発生源からのこの気体の影響を計測した。驚いたことに、一酸化窒素産生抑制は血管抵抗および血圧自体を有意に上昇させた。 |
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不活発な状態および過剰体重は駆出率の保たれた心不全と関連がある [2017-03-07] |
Inactivity and excess weight linked to heart failure with preserved ejection fraction |
運動不足および過剰体重は、特に予後不良型の駆出率の保たれた心不全と強力な関連がある、とJournal of the American College of Cardiology に報告された。3つの大規模試験の参加者51,000人において、3,180人が心不全を発症した。駆出率の保たれた心不全の発症率は、推奨レベルの運動を行っている者では19%低かった。BMIが大きいことは、駆出率の低下した心不全よりも駆出率の保たれた心不全とより強力に関連があった。 |
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一般的な家電製品が電磁場を発生させペースメーカーに影響する [2017-03-07] |
Common household appliance emit electric and magnetic fields that interfere with pacemakers |
身体の非常に近くで毎日使用する家電製品などから発生した電磁場(EMF)が、ペースメーカーの心拍調整能に影響し得る、とCirculation に掲載された。患者は、ペースメーカーのセンシング不全が示されるまで、一般的な曝露と同様のEMFの曝露を受けた。その結果、ペースメーカーは、特に最大感度、いわゆる単極センシングモードに設定された時に、日常生活で発生し得るEMFへの感受性が高いことが示された。多くの症例において、EMF源を前腕長の距離に維持することにより、電磁場の影響によるリスクを制限することができた。 |
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