小児期の貧困、虐待や家庭不和は血圧コントロール不良と関連する [2016-11-15]
History of childhood poverty, mistreatment or family dysfunction linked to poor blood pressure regulation

つらい小児期を過ごすことは血圧コントロール不良と関連する可能性がある、と2016年American Heart Association年次集会で発表された。成人における血圧変動は、高齢者の脳機能低下や脳卒中リスク上昇などの多くの問題と関連してきた。今回のスタディにおいて研究者らは、373人の対象(7〜38歳)に対し、23年間にわたって24時間血圧モニタリングを行った。小児期に貧困、虐待または家庭不和であったと報告した者は、日中に高血圧を有する割合が17%高かった。彼らはまた夜間の高血圧および24時間の血圧変動を有する割合も高かった。

大脳皮質のアミロイドレベルが高いことは自己申告の孤独と関連する [2016-11-15]
Higher cortical amyloid levels in brain associated with self-reported loneliness

JAMA Psychiatry に掲載された新たな研究では、認知機能の正常な成人79人を対象としたスタディのデータを用いて、前臨床期アルツハイマー病のマーカーである大脳皮質アミロイドレベルが、自己申告による孤独と関連するかどうかを調査した。大脳皮質アミロイドレベルが高いほど、年齢、性別、APOEε4、社会経済的地位、うつ病、不安およびソーシャルネットワークで補正後の、孤独が強かった。アミロイド陽性群はアミロイド陰性群に比べ、孤独と分類される割合が7.5倍高かった。スタディの結果によると、このアミロイド高値と孤独との関係は、APOEε4保因者において非保因者よりも強力であった。

非言語性記憶検査は海馬サイズと記憶の関連を明らかにする [2016-11-08]
Non-verbal memory tests reveal association between size of hippocampus and memory

非言語性記憶検査−幾何学的形状やパターンを記憶するなど−の成績は海馬サイズと関連があり、アルツハイマー病の診断を改善する手段となり得る、とAlzheimer's Research and Therapy に掲載された。物忘れ外来に紹介された226人を対象とした今回の予備試験により、脳容積、特に海馬のサイズと記憶の関連が示された。海馬はアルツハイマー病において萎縮するため、アルツハイマー病の早期診断に役立ち、アルツハイマー病発症リスクの高い軽度認知障害を有する人々を同定するのに役立つ可能性がある。

漸増的レジスタンストレーニングへの筋適応と脳機能との因果関係の可能性 [2016-11-08]
Positive causal link between muscle adaptations to progressive resistance training and brain function

軽度認知機能障害(MCI)を有する成人において筋力増加は脳機能改善につながる、とJournal of American Geriatrics に掲載された。SMARTは、MCIを有する55〜86歳の地域在住成人100人を対象としたランダム化、二重盲検トライアルであった。MRI検査の結果、漸増的レジスタンスウエイトトレーニングプログラム参加者の、脳の特定領域のサイズ増大が示された。これらの脳の変化はウエイトリフティング後の認知機能改善と関連があった。さらなる研究により筋力、脳発育、および認知機能を関連付ける根底にあるメッセンジャーが発見されるであろう、と筆者らは述べている。

脳構造の高度解析によりアルツハイマー病の進行が追跡できる可能性がある [2016-11-01]
Advanced analysis of brain structure may track progression to Alzheimer's disease

特定部位のサイズではなく、形に着目した新たな脳構造解析法を用いることで、早期の症状発現前のアルツハイマー病患者を同定することができる可能性がある。研究者らは高度計算ツールを用いて、標準MRI画像のデータを解析した。そして、海馬および扁桃体の非対称が、加齢による影響以上に疾患重症度を上昇させる、と報告した。軽度認知障害から認知症までの非対称の進行を調査することにより、疾患の増悪を予測できることを筆者らは明らかにした。この研究結果はBrain オンライン版に掲載された。

津波の後に自宅を離れた高齢者に認知機能低下が最も多く見られた [2016-11-01]
Cognitive decline most common in elderly who were uprooted from homes following tsunami

2011年、日本に起きた津波により、損傷または破壊された自宅を離れ隣人との接触を絶たれた高齢者は、自宅に住み続けることができた高齢者に比べ、認知症の症状を経験する割合が高かった、とProceedings of the National Academy of Sciences 早版に掲載された。津波前の調査では、回答者の4.1%が認知症の症状を有していると評価された;津波後、この割合は11.5%に跳ね上がった。自宅が損壊または大打撃を受けたままとなっているために、仮設住宅に移動した者は、認知機能低下レベルが最大であった。