一部の疾患を有する女性においてカルシウム補充は認知症リスクと関連する [2016-08-29]
Calcium supplements linked to dementia risk in women with certain health conditions

脳卒中または他の脳血管疾患徴候を経験した高齢女性において、カルシウム補充は認知症リスク増加と関連する可能性がある、とNeurologyに掲載された。今回の観察研究において、カルシウム補充療法を受けた女性は、カルシウム補充療法を受けなかった女性に比べ、認知症発症リスクが2倍であった。リスク増加は、脳血管疾患を有する女性のみに認められた。脳卒中既往で補充療法を受けた女性は、脳卒中既往で補充療法を受けなかった女性に比べ、認知症発症リスクが7倍近く高かった。

妊娠初期の抗精神病薬使用による先天異常のリスクは低い [2016-08-29]
Low risk of birth defects following use of antipsychotics early in pregnancy

妊婦130万人を対象にしたスタディの結果、リスペリドンに関してはさらに調査が必要ではあるが、他の軽減因子を考慮すると、妊娠初期の抗精神病薬治療による先天異常のリスクは有意に増加しない、とJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。未調整解析では、非定型抗精神病薬により先天異常リスクが増加することが示唆されたが、合併する精神および身体疾患やそれらに関連する行動を考慮すると、リスペリドンは例外である可能性はあるが、定型または非定型抗精神病薬による先天異常の有意なリスク増加は認められなかった。

両親および祖父母のうつ病は孫のうつ病リスクを上昇させる [2016-08-23]
Depression in parents and grandparents increases grandchild's depression risk

両親および祖父母に大うつ病性障害(MDD)を有することは孫のMDDリスク上昇と関連があり、このことは早期介入が有益な可能性のある者を同定するのに役立つ、とJAMA Psychiatryオンライン版に掲載された。2世代を比較した結果、うつ病の両親を有する孫は親がうつ病でない場合よりもMDDリスクが2倍であり、破壊的行動障害、物質依存、自殺念慮または自殺のジェスチャーおよび機能低下のリスクも高いことがスタディにより示唆された。3世代を比較したところ、両親のどちらか、および祖父母のどちらかがうつ病を有する場合、MDDリスクは3倍高かった。

治療抵抗性うつ病患者に対する新たな神経生理学的治療 [2016-08-23]
New physiological treatment for patients with treatment-resistant depression

治療抵抗性うつ病患者の代謝異常を同定し治療することにより、症状が改善し一部の症例では寛解に至ることさえ可能である、とAmerican Journal of Psychiatryオンライン版に掲載された。研究者らは、治療抵抗性うつ病の青少年および若年成人および16人のコントロールにおける代謝異常を調査した。特定の代謝産物による影響は患者により異なったが、64%の患者においては神経伝達物質の代謝異常を有していたのに対し、コントロールにおいては異常を認めなかった。これらの患者のほとんど全てにおいて、原因となっている代謝異常を治療することによりうつ病が改善し、一部の患者では完全寛解が認められた。

母乳育児は脳の発育および神経認知転帰が良好であることと関連がある [2016-08-09]
Breastfeeding associated with better brain development and neurocognitive outcomes

生後28日間に多くの母乳を摂取した早産児は、同時期の新生児に比べ局所脳容積が大きく、7歳時点の認知機能が良好であるなど転帰が良好である、とJournal of Pediatricsに掲載された。新生児集中治療室に入院中に、主に母乳を多くの日数与えられた乳児は、深部灰白質、すなわち処理能力や神経シグナルを他の脳領域に伝達させるのに重要な領域、が大きかった。7歳までの間、これらの小児はIQ、算数、作業記憶および運動機能検査の成績が良好であった。

2つの標準的ADHD治療薬の併用により良好な結果がもたらされる [2016-08-09]
Combining two standard ADHD medications offers better results for patients

Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatryに掲載されたスタディの結果、注意欠如・多動症(ADHD)小児において、2つの標準的治療薬の併用により、いずれかの単剤療法に比べ臨床的改善が大であることが報告された。ADHDを有する参加者(7〜14歳)は、d-メチルフェニデート、guanfacine、または2剤併用による治療群のいずれかにランダムに割り付けられた。臨床試験の結果、特に不注意症状およびより全体的な反応指標に関し、併用療法において2つの単剤療法よりも、一貫して有益性が上乗せされることが示された。臨床的有効率は、単剤群の62〜63%から併用群の75%に上昇した。

においを正確に感知する能力の低下は認知機能低下と関連する [2016-08-02]
Decreased ability to correctly identify odors associated with cognitive decline

臭覚検査は、認知機能低下および早期アルツハイマー病の検出に有用であることが証明される可能性がある、とAlzheimer's Association's International Conferenceで発表された。あるスタディにおいて研究者らは、嗅内皮質厚ではなく、University of Pennsylvania Smell Identification Test(UPSIT)低スコアが、認知症やアルツハイマー病と有意に関連があることを明らかにした(低UPSITスコアは、においを正確に感知する能力が低下していることを示す)。嗅内皮質厚ではなく、低UPSITスコアはまた、認知機能低下も予測した。しかし、認知症に移行した患者において、嗅内皮質厚はUPSITスコアと有意に関連があった。

HALT:研究者らは認知症の管理において抗精神病薬の使用減少に成功した [2016-08-02]
HALT: Researchers successfully decrease use of antipsychotics in dementia care

Halting Antipsychotic use in Long Term care(HALT)プロジェクトは、認知症の行動・心理症状の治療における抗精神病薬の使用を劇的に減少させた、と2016年Alzheimer's Association International Conferenceで発表された。ケア施設23個所の居住者140人を組み入れた今回のスタディにおいて、長期管理施設の看護師らに対するトレーニングを介して、非薬物的、人中心のアプローチを用いて認知症の行動・心理症状を管理することで、減薬が達成された。抗精神病薬中止を達成した患者121人のうち、初回の減薬後6か月の時点で75%が抗精神病薬を中止したままであった。